第61話 ついに始まった『ドキドキブートキャンプ!?』奈良さんはただ者ではなかった!?
川湯温泉に到着すると、川から蒸気がモクモクと上がっていた。川湯温泉は名前の通り……
「さすがですね!川から温泉出てますよ!……花梨ちゃん、あとでスコップ持って掘りに行きましょう!」
「……うむ!名湯である川湯温泉を満喫するとする!」
川湯温泉の川沿いに少し走ると橋が見えてきた。
「到着だよん!色んな所行ってるけど、ここのキャンプ場が一番だねだね!」
――北海道ではないのか?っと思ったが、多分別の意味で一番なんだろう……。
橋を渡ると『この川では温泉は出ません!』と書いていた……いやいや!普通は『川を掘っても温泉でません!』……数百メートル手前でジャブジャブ沸いてますが。
受付の小屋を素通し……っていいのか!?
「花梨ちゃん!勝手に入っちゃっていいんですか!受付閉まってますよ!!」
「……ふむ、いいのだ!キャンプしていると『管理人のおっちゃん』が『農場のスポーツカー』で料金回収と薪を運んできてくれるぞ!」
そして、キャンプ場の駐車場に到着し……キレイな芝生のキャンプ地を……って!?素通した!?
「ええ!?駐車場とキャンプ地を素通りしていいのですか!?」
「……うむ!我々はそのような整備されたキャンプ場でしないのだ!看板に書いていただろう!『野営地』と!」
……なんだと!?嫌な予感しかしないぞ!!
「よーし行くよん!」
「水槽楽部のバイクはすべてオフ車とする!」
――なんと!スポーツバイク?2台とスクータで『がれ地』に突っ込んだ!?
「ああわああわ!?か、花梨ちゃん!!だ、だ、大丈夫なのですか!?」
「……うむ!話すと舌を噛むぞ!」
って!?日花梨さん速い!42.5kmは出ている!?
がれ地を少し走った先、キャンプ場の奥の奥に……凄くオシャレな三角テントが建っていた。よく観ると『自転車』が置いている。
「……よし!ここをキャ……とする!」
――おーっと!花梨ちゃんがフィルタリング機能発動!
オシャレなテントの近所でキャンプすることになりそうだ。手前の『芝生の所』でキャンプした方がいいと思うのだが……私達より先客のテントから……女性が一人出てきた。
「あら、川崎さん遅かったわね」
って!バイクより速いって!?どうやって来たんだ!
「ええ!?奈良さん!メッチャ早いですよ!どうやって来たんですか?」
「私、前日入りだからね。学校終わってから来たわ。本宮方面行きの最終のバスに乗れれば余裕よ」
……余裕とは!?水槽楽部の共通点は、時間の感覚が半端なくズレている!
「……は……はぁ……これ全部自転車に乗せて来たのですか?なんか快適グッズ満載なのですけど」
4次元なのか!?パッと見た感じでは、
テント・チェアー・テーブル・薪を燃やすやつ?あとは……。
「調理グッズすごい!これ全部持って来たのですか?」
「ええ、そうよ。この装備で登山も出来るわ!」
……お鍋からお皿まである……。
「……なーなーみ!テント立てるの手伝うのだ!」
「あ!はい!今行きますー!」
なんだこの俊敏な水槽楽部は!?荷ほどきは既に終わっていて、テントを立て始めているではないか!?到着して3分経ってないぞ!?
「手伝うわ、七海さん。貴方も大変ね。魑魅魍魎が集う水槽楽部でよくやってるわ」
「あ!助かります!」
「……うむ!丁度、奈良のテントはワンポールタイプだ!ヘキサタープを連結する!」
――連結だと!?
奈良さんのテントの上部に大きな布……タープを引っかけた。丁度、テントの入口がタープの陰になるようになった。そして私達の持って来たテントも『ワンポールテント』だったのでタープの逆側を同じように引っかけた。
「なんか連結されましたね!このタープって便利な布ですね」
テントを支柱にしてタープが設営できた。手伝えと言われたが、一瞬でテントの設営が完了した。
「……うむ!やっぱりワンポールはこれが出来るのがいい!」
多分、調理班として大活躍しそうな日花梨さんもバイクからドンドン荷ほどきをし、調理グッズを並べ始めていた。その中にとんでもない物体が……。
「ひ、日花梨さん!これって……」
「……薪ストーブだねだね……目茶苦茶重かったよん!よくこんな大きなのを積んだんだよ!」
かなりキレ気味に言ってはいるが……持って来たのは日花梨さんだ。あれ?当初はB4?何たらを持ってくる予定だったはずだが……『初めてのマキちゃん』に変わっていた。
「聞いてよナナちゃん!なんか何処かの集団が家に侵入して、私のR3にホムセン箱をガッチガガチに付けられたよん……酷いことするよね!」
――だーれだ!そのような悪行をする水槽楽部は!?
「……うむ!間違いない『ホームセンターの神』の仕業だ!日花梨、ありがたく使うのだ!」
――『探偵』改め『ホームセンターの神・花梨』の爆誕である!
「日花梨さんのお陰で、水槽楽部のキャンプの調理に凄く活躍してくれそうですね」
薪ストーブをタープの真ん中に置き……よく観ると、タープの真ん中に煙突を通す穴が仕込まれていた。ブスッと煙突を刺し、丁度真ん中に薪ストーブ様が鎮座した。
「おおお!これはいい雰囲気のキャンプになりそうだねだね!あとは薪の調達だねだね!」
――『ゴゴゴゴ!ヴァァァァァァン!』
また治安の悪い音が……!?
「……ふむ!奴が来たようだ!」
川を挟んで対岸の道路をとんでもないスピードで走る『軽トラック』が見えた……。と思ったら『ドン……ミュー…ク!』というユーロビートの曲を全開で鳴らしながら、ドリフトをキメなら私達のテントまで来た……まずその音楽を止めろ!ドリフト走行と無謀運転はそのあとだ!
「ハロハロー!まだ朝だけどね!」
「お!死神さまお久しぶりです!キャンプ場の『みかじめ料』頂戴に参りました!」
突っ込み所満載だ!
「バイク3台と4名分、2泊で7600円になりやす!」
「あ!お金は私がお支払いしますね。あと、薪を5束頂けますか?合計10,100円ですね」
「毎度あり!姐さん!丁度いただきます!」
……なんか見たことある流れ……もしや!あんたも裏社会の人間なのか!?
「あとで道の駅にも来られます?日花梨様よかったら大社にも寄っていってくださいな!」
――まさかの大社の関係者だと!?
「ありゃりゃ!私行っても良いのかなかな?」
「もちろんですよ!また来年のお正月もお願いしたいと思ってますので!今年は大人気でしたからね」
――大人気!?『地獄絵図』なのか!?
「……ふむ、日花梨の巫女服姿は、年末のビッグイベントのコスプレイヤーを遙かに凌駕するクオリティ」
な、何か大変な事になってるかもかなかな!?そもそも、本物の巫女様≪中身は死神≫である。
八咫烏様をシンボルとした『熊野本宮大社』で『西洋の死神様』が『巫女服を』着て、『煩悩まみれの信者』から『賽銭を巻き上げる』図式が悍ましい!
まさに地獄絵図である!
「大丈夫ですよ!日花梨さんがお手伝いしてもらって、歴史上最高の人数が集まりましたからね」
確かに……元旦から『神々しい』……若干方向性が間違っている。
「薪の方、後から持って来ますね」
農場のスポーツカーは川原でもスポーツモード全開であった!
「愛芽さん、キャンプ場代とかは……」
「あ!いいですよ!部費から出しておきますので。お金のことは心配なく」
――とても心配です!
「じゃあ、奈良さんの分は……」
「私は実費で行くわ!あと、私の場合は取材も兼ねているから一緒にされても困るわ」
――コラムの素材になりそうで良かった……もしかしたら雑誌に載るかも!?
一番遊んでいて動かなさそうと思っていた日花梨さんだが、キャンプ飯の準備に取りかかっていた。人のスピードとは思えない位……残像が見えるスピードで下ごしらえを開始していた。コンパクトなガスバーナーでも器用に使い、野菜の下茹でを開始していた。
――忘れた方・覚えていない方のために、改めて言わせてもらうが、「火気・刃物・鈍器・銃器・薬品」の扱いに関してはプロフェッショナルである!
――『ドドドンドン』
「花梨ちゃん!何でそんなに良いタイミングその曲流しますか!」
「……むむ?公共放送のプロフェッショナルな曲を流せ!という顔を七海がしていたのだが?……」
久々に思い出したが、花梨ちゃん心読めてますよね!?
テントとタープの設営が無事完了した。日花梨さんが手際よく作っているお昼ご飯が楽しみだ。




