第58話 ドキドキブートキャンプ!?奈良さんを説得できるのか!?
ゴールデンウィークのキャンプに向け、準備は万端に整った。
あとは奈良さんの説得だけである!奈良さんをGWのキャンプに誘って……出来れば水槽楽部員として迎えたいのだ。去年、花梨ちゃん達と何があったかは判らない。でも勘違いだと思いたい……
今週金曜からGWだ!チャンスは4日間である!
1限目のホームルームが終わり……奈良さんが居ない!
を、4限目まで繰り返し朝は終了。昼休憩は生徒会室で『金魚』を眺めながら昼食を取っていると考えていた。
――生徒会室で昼食を取ることにした。
生徒会室に赴くと、生徒会室は開いており、中には奈良さんがいた。
「お疲れさまです、奈良さん。お昼ご一緒してもいいですか?」
――生徒会室に『お邪魔します』ではないのだ!……多分だが、愛芽さんの次位いには活動していると自負しているからだ。
「ええ、どうぞ。実質愛芽さんと川崎さんがメインで活躍している生徒会ですし」
――日々の仕事の成果である!
「で、急に生徒会室でお昼ご飯取るとか……なにか裏がありますよね?私、回りくどいの嫌いなので単刀直入にお願いします」
――鋭い!……のと結構ドライな対応だ。
「ええ、まあ……。嫌なら別に断ってもらってもいいのですが……」
「嫌よ!あなた達水槽楽部でなんとかなさい!」
――おーい!何も言ってないぞ!!そこまで水槽楽部を犬猿しなくても……。
「あのう……私何も言ってませんよ?」
「ええ、そうですね。どうせロクでもない活動に参加させられるんでしょ?」
……キャンプだからな……って!?よく考えたら川湯までの交通手段がない!?まあ、最終、バスで私行くかな……。
「で?何?……何するの?一応聞くだけ聞いてあげるわ」
……『水槽楽部でドキドキネイチャーキャンプ!ヤマト隊長スカウトキャンプ!』だからね……女子高生にキャンプ行きませんか!って言ってもね……。
「今週の金曜から『川湯温泉』でキャンプするのですが……」
「行くわ!」
……ほら!速攻断られた!!
「ですよね……何でキャンプなんでしょうかね……誘ってる私も何とも言えないのですが……よかったらご一緒しませんか?」
「だから!行くって行ってるでしょ?現地集合でいいよね?私は自転車で行くから」
……ほらやっぱり……行くって行って!!!!!!!しかも!!!
「えええ!自転車で行くのですか!?」
「そうよ!当たり前じゃない!川湯温泉のキャンプ場は『冬のオンシーズン』は月に1回は行ってるわ!むしろGWが今シーズン最後のキャンプですね。GW終わった後ぐらいから『パリピ』や『ファミキャン』のクズ共が騒ぎ出すから今シーズンラストのキャップです!」
……水槽楽部は半端なかった!
「でも、川湯温泉って……100キロ位ありますよね?さすがに遠いと思いますけど……」
「ええ、そうね。でもロードバイクは手荷物でバス乗れるわ。龍神温泉辺りまではバスで行くのよ。金魚の聖地でもある奈良県には、バックパックとロード積んでよく姉様と行ってます」
――!?
なるほど!自転車は手荷物でバス乗れるとは!
って!絶対そっちの方が女子高生らしくてステキだ!
何処の水槽楽部だ!『自称時速50キロ』しか出ない暴走バイク3台でギャンギャン走り回ってる『治安の悪い集団』は!
「なるほど!なんかいいですね!それだと近所までバスとかで行って、自転車で快走路を走れますね」
――寿姉妹は『とてもクリーン』である!……まさか!?『公安関連』なのだろう?
「なんか意外でした、奈良さんがアウトドアに興味があるとは……」
「私、中学時代から山岳クラブに入っているわ。その延長上でサイクリングとキャンプしているの」
どちらかと言えば、『読書』とかシットリとしている雰囲気がある奈良さんだが、全く真逆である。
「なんか意外でした、どちらかと言えば、文学少女的イメージが……小説とか書いてそうな感じあります」
「ええ、書いているわよ小説じゃないけど。一応、執筆活動をしているわ。私の……いえ、私達『寿姉妹』で『キャンプ・サイクリング・登山』のコラムを月1回持っているわ。自分達でカメラで撮影もしているの。お陰で、金魚飼育の資金に充てられるし、キャンプ用品も雑誌社からの提供もあるし。その代わりに色々と嫌なこともあるわ」
「なんか美味しい話ばかりに思いますが……」
「そうね、端から見たらそう見えるけど、実際は『妬み』や『色物』に見られがちだし。『女子』であるから『チヤホヤ』されたり『それ絡み』の嫌がらせも受けるわ。なにより、私達姉妹は純粋に『アウトドア』が好きなだけ。それ以上でも以下でもない。まあ、実際、若い姉妹2人組でなかったら貰えない『コラムの仕事』だと思っているけど。」
――生臭い話だった。でも、どうしてそこまでしてコラムの仕事を受けるのか?『銭』の為か?
「将来的に、『書き物』で食べていきたいと思ってるから、続けられているだけよ。でもそれも実力のうちだと思ってるわ。例えどんなに素晴らしい内容のコラムを書けたとしても、チャンスが無ければただの自己満足だから」
――この人は半端者ではなかった。
花梨ちゃんや日花梨さんとはまた違う真っ直ぐな人だった。だから去年対立したのかもしれない。
「でも、水槽楽部のキャンプに参加して貰えて嬉しいです。水槽楽部の皆と……」
「え?何言ってるの?キャンプに行くと入ったわ!水槽楽部の人とは行かないわよ!」
えーーい!面倒くさいパターンだ!!!やっぱりそう来たか!?
『キャンプには行くとは言ったが、テメーらと和気あいあいするとは言ってないぞ』パターンか!?
テンプレ過ぎる回答に『落胆』を感じている方はとても多いはずである!
――甘い!?私はその上を目指す!
「あ……やっぱりそうですよね……そう思ってました。当日、水槽楽部のメンバーはどうせ暴走すると思いますので……奈良さんのテントに私だけでもお邪魔していいです?」
「ええ、それなら構わないわ。キャンプする人同士の交流は重要よ。一時とはいえ、同じキャンプ場で過ごす『仲間』ですもの。歓迎します。ですが、水槽楽部のおふざけ半分のキャンパーとは同じ飯盒で焚き火は囲いませんよ」
「キャンプには特に興味は無いですけど、興味が無いから色々と見てみたいんです。そう思えるようになったのも、『アクアリウム』との出会いがあったから」
――水槽楽部に入る前なら思わなかったことだった。最初『アクアリウム』なんて興味なかった。だが、今はとても惹かれる部分が多くある。だからこそ知る機会があるなら『知っておきたい』と思うようになったからだ。
「その考えはいいことだと思いますけど、趣味が増え過ぎて破滅するパターンでしょ」
「へへへ……そうかもですね……でも、こうやって奈良さんと共通の話題でお話できてよかったなと思ってます」
「まあ、私は金魚一筋だけど!」
……初めて奈良さんと会話が出来た気がした。水槽楽部のメンバーと一緒には実現できそうにないが、『川湯温泉のキャンプ』には参加してくれることになった。
主になる生徒会のメンバーには『水槽楽部の愛芽さん』もいるから上手い具合に『焚き火を囲む』事ができそうである。
――まさか、川湯温泉で東高校の歴史に残る惨劇が繰り広げられる事になるとはこの時の『七海』は思いもよらなかったのである……。
ということには『絶対なりません!』のでご安心を……!『GWのキャンプ』がますます楽しみになってきたお昼休みだった。




