第50話 赤い水生のネグロ大佐!?通常の3倍なのか!?つぶらな瞳の出来る奴!
水合わせ中にお茶を飲みながら部室にある他の水槽を改めて鑑賞した。
……あれ?なんか普通に見えてきた……。
「あの、花梨ちゃん、部室の水槽へ慣れてきたのでしょうか?驚かなくなりました……」
「……ふむ、眺めていると癒やされる……驚きは言い換えれば『ストレス』とも言える。アクアリウムとは日常に溶け込み『リラックス』できる『癒やし』要素がとても多い。最初は驚くかもしれないが、毎日世話していると日々の生活の一部となる。驚きから癒やし空間へと七海の中で変わってきたのだろう」
「だねだね!アクアリウムって特別じゃなく生活の一部かなかな!あと、水槽って普段は特に手が掛からないしね!」
「……うむ、安定するとトリミング以外は特にすることが無い。ガラス面のコケすら着かなくなる。軽くこの『スクレーパー』でコケを『そぎ落とす』位だ」
「水槽って、安定しちゃうと作業的にはあまりなくなっちゃうんですね、毎日世話しないとお魚死んじゃうんかと思ってました」
「ないない!一週間くらいなら、ぶっちゃけ放ったらかしでも大丈夫だよん!」
「……それは極論……とまでは行かないが、餌自体は『自動餌やり機』があるし、足し水もシステムを導入すれば自動で出来る。他の動物とかと違って、旅行や出張の際、少しぐらいなら放置しても問題ない。アクアリウムが手軽に始められるのも、やはり『毎日』世話が必要ないって所だ」
「だねだね!……しかーし!アクアリウムには最大の敵が!?……意外と手間が掛からないので、水槽の数が増殖するのだよ!」
「え?水槽が増えるって……どういうことです?」
水槽が分裂する?そんなわけがない。
「……うむ。1つ置くとドンドン増えていくのだ!……そして、お財布からお金がドンドン消えていくのだよ!」
……確かに……部室の水槽の数が半端なく多いぞ!
「あの……部室の水槽って何年くらいでこの数になったのですか?」
「……ふむ、元々2階のみだったが、去年から1階も水槽楽部の部室となった。約1年でこの有様よ!」
――花梨ちゃん、日花梨さんがドヤ顔をキメた!
「そもそもですが……ここ『吹奏楽部』でしたよね?吹奏楽部は今何処へ行ったのですか!」
「……ふむ、そんな紛らわしいネーミングの部活動は『この学校に存在しないのだ!』」
――経緯不明である……。吹奏楽部の事を他の方に聞いてみると上級生は口を閉ざすのである。こりゃーヤッちまってるですよ旦那!日花梨さんにも聞いてみよう『かなかな』?
「日花梨さん、吹奏楽部の部室を乗っ取ちゃったんですよね?今どうなってるんですか?」
「んん?普通に音楽室と音楽準備室を使っているよん!そもそもだよナナちゃん、音楽室と音楽準備室2つ使ってるのに、『軽音楽部』とバチバチするからって別棟を占拠していたんだよん!ほんとにもー!そもそも、軽音楽部の方が部員多いし!去年軽音楽部と楽器の取り合い抗争まで発展して大変だったんだよだよ!」
ちなみに、軽音楽部の部員数は30人以上いるらしい!今年の入部人数足すとアイドルグループ結成可能である。更に『ややこしい』のは『新歓プレゼン』の時に、『水槽楽部』が『ハードロック調お魚〇国』……『軽音楽部』が大人数で演奏してたぞ。あと、『吹奏楽部』プレゼンやってなかったぞ!
更にややこしいのは、『人気・熱気』を『日花梨さん』が奪っていた。
「あのう……吹奏楽部の『破滅と混乱』の原因って『水槽楽部』が原因でないですよね?」
「……俺『破滅担当』、彼『混乱』!」
――花梨ちゃんの『ドヤ顔である!』
リーサル・ウェポンか!?あれ??このネタ2回目?気のせい?真面目な話をすると、花梨ちゃんは『おふざけ』が出る感じがする。意外と『日花梨さん』は真面目に答えてもらえる気がする。
「うちの部は別に何もしてないよん!使わなくなったから占領したのだよ!元々2階の『生徒会室』だけでは手狭だったからねー」
「てっきり、水槽楽部が追い出したのかと思いましが……真相は日花梨さんが仲介に入ったって事ですね……よかった……」
「……むむ?混乱に乗じて、占有したのだ!」
「まあ……崩壊の原因が水槽楽部でなくて良かったです……」
「ナナちゃん酷いなー!なんか水槽楽部が悪の結社じゃないよん!」
――悪の結社ではないが、反社会勢力の疑いがありますが!
ゆっくり紅茶ではなく、『緑茶』を飲みながら去年までの水槽楽部の事を聞いた。でも、明日香さんの事も気になる……。聞くきっかけもないが……後々に時間をかけて聞こう。
「そろそろ水合わせOKでしょか?もう30分位経ったと思うのですけど」
「……ふむ、そろそいいぞ!では『ミナミヌマエビ先生』の出動!」
「じゃばーっと入れちゃっていいのですか?」
「……!?ダメだ!網で掬って入れるのだ!水槽に水を入れてはいけない」
「入れちゃってもいいと思うけどねー!でも、入れない方が良しなのだよ!ナナちゃん。もしかしたら、病気とか持ち込んじゃうかも!って事での予防対策だよん」
——デリケートなお魚の場合は細心の注意が必要なのである!
「それじゃあ……お玉で掬って……丁寧にっと……」
『ミナミヌマエビ先生』と『同士オトシンクルスさん』が七海水槽の『新しい住人』となった!
「おおおお!早速たべてます!?」
「……うむ!『ミナミヌマエビ先生』はとても働き者なのだよ!そのお姿を『ツマツマしている!』と言うのだ!、そして『同士オトシンクルス』は『モフモフしている!』と言うのだ!」
「おおおお!……なんかいい!」
ミナミヌマエビの『ツマツマ姿』をずっと観ていられそうだ!オトシンクルスの『つぶらな瞳』がとても愛らしい!こ、これはハマりそうだ!自宅にも水槽を置こうかなと……!花梨ちゃんの水槽にいる『オトシンクルス』とはよく観ると種類が違うようだ
「あの、花梨ちゃんの水槽のオトシンクルスと私の水槽のでは種類が違うのですか?私のオトシンクルスは黒色ですけど、大きい水槽のオトシンクルスは模様がありますよ?」
「……うむ!七海の水槽の『同士オトシンクルス』は、『並』のオトシンクルスなのだ!幅240cmの水槽はさすがに大きい。やはり『並の兵力』では対応できないのだ!対大型水槽コケ対策部隊の『オトシンクルス ネグロ大佐』だ!」
「『赤い水生のネグロ大佐』なのだよだよ!あ!そうそう、このネグロ大佐は愛芽さんのブリード個体だよだよ!」
「……うむ!『ネグロ大佐』の繁殖は『SS級難易度』なのだ!」
よし!10連ガチャを回そう!
2階のバックヤードでは何が行われいるのだろうか……!『女子高生による繁殖』である!『お魚の!』である!!
並のオトシンクルスさんだが、見た目的にはノーマルなオトシンクルスの方が可愛い。ネグロ大佐は『米国軍のレンジャー部隊』のカラーリングしている。
「オトシンクルスって『つぶらな瞳』で可愛いですよね!あのマッスルベーカリーさんの水槽にいた『パンダ』さんと似ている気がします」
「……ふむ、似ていて当然、同じ『ナマズ科』に分類される」
――ナマズだと!?
「ナマズって……気持ち悪いイメージしかないのですが……なんか『うにょー』『ヌルヌル』ってイメージありません?」
「……ふむ、ナマズは『コイ目』に分類されるのだ!だから、見た目も『コイ』に近い『ナマズ』もいるのだ!」
「あ!ナナちゃん多分だけど『ウナギっぽいの』を想像したと思うけど。『ウナギ』は『ナマズ』の仲間じゃないよん!『ウナギはウナギ』なのだよ!」
……ウナギとナマズは別物なのか!?見た目判らんぞ!
「な、なんか訳わからないですね……」
「……うむ!実際『魚類』自体訳わからないのだ!」
「だねだね!生体が解明されていない個体が多いのだ!あと、飼育環境が確立されていない魚も多いよん!」
――謎多き『魚たち』と謎多き『水槽楽部』である!
「でも、やっぱりお魚が入っただけで、一気に雰囲気変わりましたね!『エビさんとクルスちゃん』お掃除頑張ってくださいねー!」
「『ミナミヌマエビ先生と同士オトシンクルス』だ!七海!」
……!?
「そのネーミング長いですよ!」
呼び方は自由にさせて頂きたい!
その後、水槽のガラス面を拭き取り、今日の部活動は終了となった。数日中に水槽が綺麗になっているだろうか?水草の勢いはもの凄く、グングン伸びている。若干コケが発生しているけど、数日中にグリーンロタラが水面まで届きそうだ。グロッソスティグマもソイルを覆い始めている。水草の生長は順調のように思えた。 生体が入ったことで『また明日、部室に来る』のが楽しみになった。が、明日は土曜日である。月曜日まで確認は出来ないが少し心配になった。
月曜日に水槽を立ち上げ、火曜日は生徒会・水曜と木曜でコミュニティセンター・金曜にコケ対策部隊出動と、今週は新しい事ばかりだった。
――来週も何か新しいことが起こるのだろうか?
――いや絶対何かある!
入部してまだ2週間だけど、水槽楽部に入って良かったなぁっと思い始めてきた……。




