第49話 七海水槽に『コケ』襲来!?先生方の出動だ!
今日は約2日ぶりの部室に行けそう……いや行く!私の水槽がとても気になっている……。大きな水槽も良いけど、やっぱり『私の水槽』が『一番愛着』が沸く。コミュニティーセンターの水槽から比べたらとても小さいが、いろいろ聞きながらではあるけど、自分のアクアリウムを始めることが出来た。
生徒会の活動も順調に始まり、風紀委員の『朝の挨拶週間』も始まった。初日からもちろん、生徒会も参加する為……って!私と奈良さん以外は来ていなかった。
「おはようございますー!」
っと、約30分挨拶を続けた。中学時代もやっていたので、要領よく捌いていった。予鈴が鳴ったので、今日の朝の挨拶は無事終了となった。
「奈良ちゃん、おつかれさまでした。明日もよろしくね!」
さりげなく、『よろしくおねがいします』ではなく、『よろしくね!』と言えた気がした!
「はい、明日もよろしくお願いします。川崎さん」
愛芽さん、全然ダメでーす!まだまだ雪解けは遠いようだ……!でも、生徒会活動に関しては、ちゃんと参加していただけている。それに比べて……生徒会長は何処へ行った!さっさと登校しろ……じゃなくて、朝一で部室で水槽のメンテナンスしているはず。痛バイクが駐輪場に鎮座しているではないか!
授業は……粛々と進められ放課後となった。生徒会活動は特に活動は無いとのことで、少しだけ顔を出してから水槽楽部へ行くことにした。奈良ちゃんと距離を近づけるために、少しの時間だけど生徒会室に立ち寄る習慣を付けることにしている。
雪解けは遠いと感じながらも、少しずつ距離を積める作戦だ!
今日も進展することもなく、きっかけも無かった。諦めて、部室へ向かうことにした。
途中、体育館を横見に観ていると……『双葉のフェンシング部』の活動っぷりがキャプテンどころか、指導者の域まで達していた。……今年の東高校、インターハイ優勝するぞ!見ている限り、短時間集中トレーニングである。部活はルーティーンになりがちだが、双葉は『とにかく楽しむ!』が前提なので、日々の練習も本気である。
一方……水槽楽部は……。
「お疲れ様ですー……」
「おつおつ!ナナちゃん!」
「……うむ。今日もよろしくだ!」
お二方!ちゃんと登校しているなら朝の挨拶に出ましょう!……っと言いたい所だけど、まあ、無駄でしょう……。でも一言言っておこう!
「日花梨さん、生徒会長ですので、ちゃんと朝の挨拶週間参加して下さい!」
「ええ!なんで私だけ!花梨ちゃんもいると思うよん!」
おい!生徒会長!我ら東高校の代表者が同志を貶めるとは!
「……やっぱりそう言うと思ってました……」
それと、愛芽さんが意外と学校に来ていないのだが……。
「愛芽さんは今日はどちらへ?朝の挨拶習慣は私に任せると仰ってましたが」
「……愛芽は公休で『自然博物館』で活動中。和歌山県の生体に関しての学会が行われるとの事。学校選抜で参加中」
「……!愛芽さんって魚類のプロですか!?カニの水族館で活動したり、今日は『博物館』ですか!?」
「だねだね!愛芽ちゃんは、現役JKなら5本の指には入るよん!」
……そんな凄いJKがこんな田舎の学校で燻っているとは……。
「愛芽は卒業したら、海外の学校へ行くのだ!……う、うらやましくなんてないぞ!」
……間違いなく『ジス イズ ア ペン!』でビビってそうな花梨ちゃんには海外はハードルが高そうである!
……『……ふむ!卒業旅行はイギリスに行くとする!』心の中で花梨ちゃんのモノマネをしてみた。
「どうして、優秀なのに『東高校』なのですか?和歌山でも『東の大学』入れる位の学校ありますよね?」
「うーん、その学校行って、アクアリウムに関われる?関われないよねよね?愛芽ちゃんは花梨ちゃん、明日香さんがいた『東高校』に来たかったんだねだね!」
……花梨ちゃんは……明日香さんも『アクアリウム』に関してとても熱心だったのだろうか?金魚には詳しい事は、奈良ちゃんからの情で判っているが。
「そう言われればそうですが……。でも、将来的に考えたら学術的機会に触れるためには『大学』は『高い方』がいいですよね?」
「なーるほど……でも、ナナちゃんが考えた『高さ』ってぶちゃけ『東大とか京大』でしょ?愛芽ちゃんは『世界一の生物学者』だからね!|根本的に勉強だけでは行けない大学を目指してるのだよ!目指している大学の入る方法が違うのだねだね」
「それって……海外だからですか?」
「……うむ、日花梨は回りくどい。簡単に言えば『ハーバードに入る』のだよ愛芽は」
「ええ!?あの世界ハー……」
「……その通り、ちなみに『勉強』だけなら愛芽はどこでも行ける。愛芽は勉強以外の『実績』を積み重ねているのだ」
「うんうん!その為に『東高校』へ来たのだよ!七海くん!」
……最後……うちの学校からって『なんで?』って本気で思った。
「……七海はまだ判らないだろうが、ここの2階の魚は研究所レベルなのだ!以前にも話したと思うが、『和歌山の漁師がたまたま引っかけた魚』や密輸・極秘に手にいてた個体の預かりをしていると」
「はい……確かに聞きましたが、それが大学に繋がるのですか?」
「うーん、判らないかなかな?そんだけ学術的価値があるってことよん!そのお世話をしてるのだよ!だから、無知者は2階のバックヤード侵入バツバツだよん!」
「……うむ!七海、和歌山の『先っちょ』太平洋の『黒潮』が当たるところなのだ!時々『ヤヴァイ』のが上がるのだよ!」
「……うむ!ガチャ『100万円分』回して『SSレア』つり上げるのだのだ……」
……日花梨さん!さらっと花梨ちゃんの『ものまね』は控えて頂きたい!あと、例えが酷い!
「でも、何で、『東高校』なんですか?他の施設や学校、特に和歌山なら近大とかありますよね?」
「……もちろんある、しかしだ。正規ルートでは……」
――『ガタン!!』
何やら凄い音がしたぞ!!
「……ふむ、世の中には触れてはイケナイ事があるのだよ七海……」
「わ、わかりました……触れないことにします」
「ナナちゃん!実はね……」
――高速に日花梨さんの口を塞いだ!
「あ!それより、私の水槽ですよ!『グロッソスティグマ』が、結構伸びてきてますね!」
……ん?何かオカシイゾ!?
「あああ!私の水草に何か茶色いのが付いてますよ!」
「……むむ!もう来たか!」
なんだ!これは!私の水草に汚い茶色の毛が付いているぞ!
「こけこっこー!!さあ汚物を排除する時間だぞ!!」
「うむ!予定より1日は早いが、先生方の出動を要請するとする!!」
……なんだなんだ!?
「花梨ちゃん!私の水槽どうするのですか!?」
「……『ミナミヌマエビ先生』、『同志オトシンクルス』方に『コケの掃除』をお願いする!」
「花梨ちゃん、コケ出るの早くないかなかな?」
「……うむ!アマゾンさん《ソイル》のパワーが強いのだ!」
「やっぱり!やっぱり!ジェークス!の水草一番サンドにしないからだよ!『サンド』と言いながら、『ソイル』だけどね!」
……パッケージを持ちながら『GEXジャンプ』を繰り返す日花梨さんである。水草一番サンドと書いているが、中身はソイルだ。
花梨ちゃんは日花梨さんの『GEXジャンプ』をスルーして2階からプラケースを2つ持って来た。
「……七海、こっちのケースに入ってるのが『ミナミヌマエビ先生』、こっちのが『同志オトシンクルス』だ。今から温度合わせと水あわせの講習を始めるとする!」
「ええ!今日はこの2つ入れちゃうのですか!」
「うむ!今日入れないと明日には大変なことになっている可能性が出てきている!」
……そんなに緊急事態なのか!?
「そんなに緊急事態なのですか!?」
「うむ!今ならまだ大丈夫!だが、明日にはコケまみれになる可能性がある!アマゾンさんは強力なのだよ!」
「七海、温度合わせから始める!まずは、水槽の水を少し排水するのだ!その後、プラケースを静かに水槽内に浮かべる」
「はい!って、どうやって水抜くのですか!?」
「ナナちゃん!予備のプラケースで排水するといいよん!少量抜くときはコレが一番!あと、ついでだけど、水槽に浮いてる『油膜』もすくい取るといいよん!」
……なるほど……『油膜?』ってなんだ!っと思ったら、本当に油分が浮いている。ついでにすくい取ってみた。
「あ、聞かれるだろうから『油膜』とは!女子高校を観るイヤラシい親父から出た油なのだ!」
……『華麗なる美少女』の『下品際なりない冗談』は『華麗にスルー』である。
「花梨ちゃん、『油膜』ってソイルの油分とかが出てきてるのですか?」
「……ふむ、それもある。だが『油膜』は立ち上げる当初の不安定な時期によく出る。まだバクテリアの活動が安定していないのだ。一概には言えないが『バクテリアの死がい』『水草から出る油分』など色々と要素がある。基本的には夜間に行っている『エアーレーション』で拡販され、『バクテリア』が処理してくれる。ただし、当然だがバクテリアが処理すると硝酸塩に変わる。可能であるなら取り除く方がいいけど、油膜程度なら気にすることはない。酷くなると水が濁る、異臭が発生、深刻になると病気が発生、そしFISH is DIE!」
……なぜ最後英語に言った……文法合ってない気がする……合っていたとしても『花梨ちゃんEnglish』は間違っている気がする。
「でも、水はとても透明でキレイですよね?『エビ』とか『オト?シンク?ルス』入れちゃって大丈夫ですか?」
「……!?七海『ミナミヌマエビ先生』と『同志オトシンクルス』だ!言い間違いはイケナイ!」
「ああ!失礼しました、『ミナミヌマエビとオトシンクルス』ですね」
「……!!七海何を言っている!言い間違いは駄目だと2度も言わせるか!『ミナミヌマエビ先生』と『同志オトシンクルス』だ!」
……『面倒くさい!!!』
「……花梨ちゃん『ミナミヌマエビ先生』と『同志オトシンクルス』ですね……」
「……うむ!よろしい!」
「今、日花梨は、『パワーハラスメント』が日々繰り返される『日勤教育の現場』を目撃した!」
「……日花梨、貴様には再教育を施す必要があることを『改めて』確信した!?」
『真田丸』出してきた!出してきた!ので、さっさと取り上げた。
「はいはい、花梨ちゃん『真田丸』片付けて下さい。日花梨さんもですか!『草刈り鎌』片付けて!この大道芸2日に1回はやってますよ」
とりあえず、話し合いで解決できないと即武力行使である!なるほど……これは明日香さんとも何度かチャンバラごっこしていると確信した!
「……ぬぬ!最近、七海の私への扱いが慣れてきた感が……」
「花梨ちゃん、本題に戻りますが、温度合わせはコミュニティセンターで見てましたので判りますが、水合わせって?」
「……ふむ、水合わせとは、水槽の水に慣らしていく事なのだ。急に環境を変えると魚がショック死するのだ。もちろんだが、元々飼育できない環境へ入れてもダメだ。極論を言えば海水魚を淡水に入れてしまうとか。このケースの中に水槽の水を『時間をかけて』少しずつ入れて慣れさせるのだ」
「少しずつとなると、どうやって入れるのですか?スプーンとかですか?」
「じゃじゃーん!これを使うのだよ!七海くん!」
「……日花梨……なぜ美味しい所ばかり持って行く!」
「あああ!もう抜刀しなくていいですよ!伝統芸飽きてきましたので!」
……この流れ毎回3回は実行されそうである!
「……ふむ、七海もなかなか容赦ないな……まあいい。判り易く解説したら、ブクブクのチューブにコックを付けた物だ。これを『水合わせキット』なのだ。重力を利用して、少しずつ水をプラケースに落下させるのだ」
「……では、助手よ!お手本を七海に見せるのだ!」
……助手?
「……?」
「あ!私!?いつから花梨ちゃんの助手になったのかなかな!?」
「ミナミヌマエビならドバーッと水槽に入れちゃっても大丈夫だと思うけどねー!」
「……!?日花梨なんてことを言うんだ!『ミナミヌマエビ先生』の水合わせは魚より慎重に行うとする!これは部の決まりである!」
「へいへい……んじゃー水合わせするよん!ナナちゃんは『オトシンクルス』の水合わせするべし!」
日花梨さんの水合わせのセッティングを見ながら、私も挑戦することになった。
まず最初にチューブを口で吸い込み、水槽の水をバケツに重力を利用して排水を始めた。その後、コックを適量……『ポトポト』と約1秒に2滴程度落ちるようにしてから『オトシンクルスが入っているプラケース』に落ちるようにした。
「これでいいのですか?」
「OKOK!んじゃー30分程このままにするよん!」
30分が長いのか短いのかは判らなかったが、待つ間を利用して『おやつタイム』を取ることになった。




