第43話 コミュニティセンターで海水水槽立ち上げ!水商売なのか!?
部室からコミュニティセンターへ海水水槽を設置の為に移動中に今回の水槽に関して色々聞いておくことにした。
「そもそも、どうして私達なんですか?業者とかに頼めば済む問題かなと……」
「……ふむ、立ち上げ自体は水槽レンタル業者やアクアショップに任せるのはアリだと思うが、その後の維持管理を考えると私達に頼んだ方が色々とメリットが大きいのだ!」
「だねだね!業者高いからねー毎週来てもらうとなると、多分コミュニティセンターの予算食い潰すよん!あと、餌やりとか色々維持して行くには、ほぼ毎日の事だしね!」
「私達も毎日餌やりとかメンテに行くのですか?」
「うーん、毎日は行かないよん!大体1週間に一回位調整に行くのと、面倒見てもらえる人にアドバイス行くくらいかなかな?基本的にプロ集団と一緒のことをするよん!ただ、『利益を取らない』だけ」
「あと、今回は「『お魚メイン』だから、ハードコーラルは入れない予定だねだね!そうなると一気にハードルが下がるし」
「……うむ!今回は『いーじー!』私でも出来るレベル」
……あれ?花梨ちゃんって海水水槽は興味なさそうな気がしたが……。
「花梨ちゃんって海水水槽あまり興味がないと思ってましたが……」
「……ふむ、アクアリウムは好きだから機材周りへの興味はある!私は水草水槽以外やらないけど」
「それで、どれ位の大きさの水槽にするのですか?水槽は部室に余ってましたっけ?」
「水槽は業者さんに運んでもらってるよん!さすがに120cm水槽をJKが配達は無茶だからねー!」
……結局、業者が入ってるのですか?
「……うむ、アクリル水槽は受注生産なのだ!穴開け加工は自分達でするけど」
——今水槽に穴開けるとか言ってた!?
今日の水草の話をしながら台車を押していると、少し遅れて来た愛芽さんがバイク置き場にいた。遅れたと言っても、始業時間の予鈴よりまだまだ早い時間でる。
「皆さん、おはようございます!少し遅れました!もう『ライブロック』を運搬中ですか?」
「おはようございます!愛芽さん。丁度この荷物がライブロックですね」
「……うむ、丁度運んでいる所。良いタイミング」
「だねだね!そっちは上手く行ったのかなかな?」
「はい!昨日夕方から個体を見に行って、周参見から直接来ました。今日は楽しみですね!海水を1からは久しぶりですよね」
……昨日茶番劇の後、夕方に周参見まで行って今戻ってきた!?何という行動力。あれ?そういえば、愛芽さんのバイクが無い?
「うんうん!海水水槽は一回立ち上げると崩壊するまで空にしないからねー」
「周参見から飛んでくる程、海水水槽の立ち上げって凄いのですか?」
「ですねー!海水水槽の1からの立ち上げは、七海さんこの先1年以上は経験出来ないかもですよ?リセットしてやり直す事はあるかもですが、設置作業からは中々できませんので」
「……うむ、水草水槽なら1年に1回はレイアウト変更とかするが、海水水槽は1発キメたら4,5年は触れなくなる事もある。逆に言えば、一度安定してしまうと4.5年は持つ。ただ、サンゴ砂が溶けて少なくなった時とは大掛かりなメンテ入れる必要がある」
「だねだね!腕が鳴るよん!!!新品の水槽ちゃんに穴開けちゃうよん!」
……って!水槽に穴開けたらダメですよ!
今日立ち上げ予定の海水水槽の話をしながらコミュニティセンターへと荷物を運んだ。センター入り口から堂々と入って、作業していいとの事らしい。
毎日観ている建物だったが、入るのは初めてである。
入ってすぐに受付があり、朝の挨拶をする事に
「おはおは!今日はよろしくねん!」
ちょ!受付のお姉さん相手に『生徒会長モード』ではなく、『暴君モード』ですか!
「おはようございます。東高校の水槽楽部の皆さん、今日はよろしお願いしますね!水槽と機材昨日の夜届いてましたよ。設置をお願いするところに纏めて置いてますのでお願いしときますよ!」
「……うむ!ミカン船のった気分でいると良い!」
……微妙に判りずらい!?江戸に行って成功はしたから良かったけど。入り口から少し奥に入った所に機材と水槽一式が……!!って広い廊下の半分が用品で溢れかえっているぞ!?図書館への入り口に続く廊下の半分を占拠していた。
「こ、こ、これ全部使うのですか!?」
「だねだね!よし始めるよん!さっさと組み立てないと、通路のじゃまじゃまじゃん!」
「よし!七海隊員!まずは水槽台を組み立てるよん!」
「え!?水槽台って自分達で組み立てて大丈夫なのですか!?」
「……うむ!七海、これを使うといい。いや、むしろ使わないと組み立てられない」
花梨ちゃんに超本格的な『ドリル?』を渡された。
「インパクトドライバーの先が+になってるから、それで『バリバリぱーーん!』って止めるのだ!」
……慎重に結構重い水槽台をくみ上げた……水槽台デカ!?
——七海さん大工スキルが1上昇した!
「お、お、お、大きくないですか!?この水槽台!」
「うーん、私は小さいと思うけど、幅120cmだからねー。組み立て出来る水槽台では最大級だけどねー!」
「愛芽ちゃん!水槽台の水平出してね!愛芽ちゃんが水平出してる間に、水槽のパッキングをムキムキするよん!」
愛芽さんが水平器を当てて水槽台を水平にしている作業を見守りながら、私と日花梨さんは水槽のパッキングを外すことに。
「んじゃちょっと花梨ちゃんと持ち上げてね!水槽を上下ひっくり返すのと同時に、加工するため段ボールを敷いて床の養生するよん!」
20cmもある水槽を小動物みたいに可愛い花梨ちゃんと二人で持てるか!!
花梨ちゃんはやる気満々である!
試すだけやってみるかなっと……って!えええ!?
「こ、この水槽無茶苦茶軽いのですけど!!!!」
「……うむ!この水槽は超高級な『アクリル』水槽、アクリル水槽は無茶苦茶軽いし、透明度が半端なく高い。大きな水族館の超大型水槽でも使われているのと同じ一人でも持てる!……しかし、私は手が届かないので持てない……日花梨なら多分持てる」
……推定140cm位の花梨ちゃんは、さすがに120cmの水槽持てないのである。ひっくり返して置いた。
「よーし!穴開けるよん!」
本当に穴開けるのですか!?
「ほ、本当に穴開けちゃうのですか!?」
「だねだね!水槽台の穴に合わせて開けちゃうよん!」
……この水槽幾らするんだろう……躊躇なく日花梨さんは『ホールソー』で穴を鮮やかに開けた!?
「ふぅ……いい出来!」
鮮やかに丸い穴をあけたのである!?
「この穴って……オーバーフローシステム用の穴なんですか?」
「……うむ!その通り!」
「だねだね!この穴開け加工を業者に頼むと結構高いよん!あと、水槽台の穴と合うとも限らないし!」
穴開け加工を施した水槽を水槽台に載せると、合わないと困るのだが……ピッタリ合った。
オーバーフローの配管を素早く日花梨さんはやり遂げた!!!
「て、手際が良すぎませんか!?まるで業者さんかと思うくらい配管キレイに仕上げましたね!」
「うーん、そうかな?普通だと思うけどねん!」
「日花梨さんは何をしても凄いですからね。器用というか、人間離れしてますね」
水槽台の中に濾過槽用のサンプ(水槽)を入れて水槽自体の設置は完了した。
「んじゃー次行ってみよう!花梨ちゃんと愛芽ちゃん、海水を部室から運んできてもらえるかなかな?」
「……らじゃー!」「了解しました!」
「よし!じゃあ、花梨ちゃん達が戻るまでにアラゴナイトサンド入れておくよん!」
「アラゴナイトサンドとは?何ですか?」
「うんとね、アラゴナイトサンドとは……まあ、判り易く言ったら『ミネラルを多く含んだ海の底の砂』かなかな?」
「水草水槽で言うところの、ソイルに近いものですか?」
「たしかに、ソイルと役割は似てるかな。でも、海水水槽では、もっとスゴいことが出来るよん!」
「なんと!海水水槽ではコケの原因となる硝酸塩を分解出来るんだねだね!嫌気性バクテリアを利用して、『コケの原因』や『生体へのストレス』となる硝酸塩をほぼ無害の窒素に還元できるのだよ!」
――なんて優秀なバクテリアが存在するんだ!
「そんな有能なバクテリアがいるなら海水魚って簡単じゃないのですか?」
「水槽が安定するとね!でも、そこまで持って行くのが変態的に難しいかなかな?」「たしか、淡水と海水のハードルの高さの話したときにも言ったけど、水替えを蛇口をひねっただけで出来る淡水と違って、海水を作らないと水替えが出来ない海水ではやっぱり難しいよん。あと、海水と淡水では最大の違いって何か解るかなかな?」
――最大の違いって……当たり前すぎる回答で良いのだろうか?
「塩分ですか?なんか当たり前すぎな回答ですが……」
「ぴんぽーん!ぴんぽーん!海水は塩分が淡水に比べて圧倒的に多いわけ!そうなると、単純に海水の元でどばーっと!海水作ればOKってわけにはいかないよん!」
「海水濃度を合わせなければならない。あと、水道水には『リン酸』『硝酸塩』が含まれているの。その二つを除去して海水を作るのが『ベター』なんだね!だから難しい要素の1つでもあるのん」
「あと当然だけど、水槽の水が蒸発すると、塩分濃度が濃くなっていく。濃くなった分薄める必要が出てくるよん!減った水の分を海水を入れると……濃度がさらに濃くなっちゃって大変なことになるからね!」
「当然、『足し水』も『リン酸』『硝酸塩』を除去したキレイな水を入れる必要があるよん!」
……なにやら水を入れるだけでハードルが一気に上がったぞ!
「水道水って飲める水ですよね?カルキを抜くだけだと駄目なんですか?」
「淡水なら、頻繁に水替えするならそれで問題ないよん!淡水でも水の変化に敏感な個体を飼うなら駄目かな」
「あ!その事は、来週あたり花梨ちゃんがエビを入れるときに教えてくれるかも?よん。予習がてら教えておくけど、水道水には人体に影響しない程度って事。ただし、水槽で使うとなると水槽内に蓄積する可能性があるって事になるかなかな?だから水槽に水を入れる際、余計な物質を除去しておくのがベストって事かなかな!その余計な物質が海水水槽ではさらにキレイに除去するのが良いとされている。重金属とかね!」
「重金属ですか?水道水って相当キレイで透き通っているように見えますが……」
「うんとね、溶けてるから目には見えないのだよ!『リン酸』『硝酸塩』カルキと言われる『塩素』もね。だからそれらを除去する必要があるよん。カルキはエアーレーションするかカルキ抜きをぶち込めば簡単に除去できるからね。だから淡水の水替えはお手軽ってわけ。『リン酸』『硝酸塩』はそう簡単にいかないからね。そこで使うのがこれなのだよ!」
……っと何だか訳の解らない筒っぽが2つ繋がった物体を取り出した!
「なんですか?それ?ホースが3本付いてますけど?」
「これは……なんと!RO浄水器なのだよ!これを水道の蛇口にセットすれば、『リン酸』『硝酸塩』やその他余計な物質をかなり取り除けるのだ!」
「か、家庭用の浄水器?とはまたちがうのです?」
「うんうん!ちがうよん!家庭用浄水器だと、この筒の上の1本目だけの機能だねだね!これはカーボンフィルターが入っていて、こっちで塩素や重金属や細菌を除去できるよん!」
「そして2本目が逆浸透膜を使って、水道水に含まれる微細の不純物を約95%取り除けるよん!」
「なんと!あのミノフスキー粒子も取り除けるのだ!?まさにJKの水商売なのだよ!」
……5%残るのですか?あと!どうやって立証したんだ!?
「なんか胡散臭いですね……ホントにそんなに除去しないと……あと、気になったのですが、この浄水器、入り口が1つで出口が2つに分かれてますが……」
「だねだね!片方はキレイな水だよん!で、もう一方は『ばっちい汚水』だねだね!」
「こっちの汚水は植木とかに上げるのだ!」
……水道から出てくる水が汚水扱いとは……凄い世界だ!
「あ!ちなみに水を精製するのに2、3倍の汚水がでるのだ!凄く効率が悪いのだ」
「んじゃー!浄水器の配管して海水を入れていくよー!」
浄水器の配管を日花梨さんが手際よく配管した。丁度、配管が終わった位に花梨ちゃん達が戻ってきた。
さあ!ワクワクドキドキ注水の時間だ!




