第41話 家が建つ!?鯉に焦がれるアクアリウム!?
……海水水槽の金銭感覚が女子高生の財布事情からかけ離れていることだけは理解していたが……。
「愛を注ぎ込むこそが海水水槽の醍醐味よん!」
「しかし、所詮、海水水槽など銭ゲバ三姉妹の中でも最弱の三女よ!」
「え!?海水水槽で最弱ですか!?このオオバナサンゴ幾らくらいでしたっけ?」
「ん??その大きさ、カラーだと最低3万で売れるカナカナ?」
「あ!ちなみに、そのミドリイシの一番大きいのだと10万は超えるカナカナ?」
――質屋!ペットショップの買い付けの方は何処におられるか!!!
「えええ!そんなに高いのですか!?」
「だねだね!んでも、生徒会室に泳いでる金魚の方が高いよん!」
――なん、だと!?
「き、金魚ですよ!?そんなに高いのですか?」
「そうですね、金魚は個体によってはかなり高価な値が付きますので。拘りのブリードにより『鮮やかな模様』『美しいヒレ』など品評会で競われてますね。大会で優勝した金ともなると100万の価値があるとか」
「と、とんでもない金額ですよ!金魚ですよね!?」
「だねだね!」
……生徒会室の金魚は100万とかしないよね!?
「まあ、でも、金魚も所詮『次女』よ」
「じゃあ、長女もいるのですよね?」
「……うむ、いるぞ!……」
「……鯉になりたいAQUARIUMだ」「鯉になりたいAQUARIUMですね」「鯉になりたいAQUARIUMかなかな!」
「……鯉だけは手を出すな!」「鯉だけはお勧めできませんね」「鯉は怖いぞー!」
……なんだこの茶番は!?
「鯉ですよね?そんなにお金がかかるのですか?」
「……トップクラスのブリーダになったら、専用の鯉用のハウスを建造するのだ!」
「鯉1匹で家が建ちますね」
「上海マフィアに売り飛ばして一儲けじゃ!」
「ギャッ!ギャッ!ギャッ!」「ギャッ!ギャッ!ギャッ!」「ギャッ!ギャッ!ギャッ!」
まさに『名水組』ブローカーの爆誕である!
「鯉ですよね?鯉ってそんなに高いお魚なんですか?確かに大きい魚ですが」
たかが鯉だぞ!?川に泳いでた気がするぞ!
「……うむ、品評会で優勝ともなると数百万になり、個体によっては二千万を超える事もある!」
「鯉に適した環境作りに数トン級の池や水槽を設置する必要がありますし、濾過や餌の配合などまさにブリーダー力が必要ですね!」
「レベルを上げて物理で殴れ!だねだね!」
「……よし!学校のプールを鯉の養殖場とする!」
「花梨さんそれは良い案ですね!」
「んじゃー改修工事を知り合いの業者に頼むよん!」
「ギャッ!ギャッ!ギャッ!」「ギャッ!ギャッ!ギャッ!」「ギャッ!ギャッ!ギャッ!」
「……懐かしいな、確か一年前の同じ事をした……」
――やっぱり、水泳部と抗争に発展したのが目を瞑れば見えてくるぞ!……ん?この3人を止めた人物がいたのだろうか?今年は私が止めないとイケナイ気がする!
「きょ、去年はどうして頓挫したのですか?同じ事をしようとしたのですよね!」
「……ふむ、明日香に反対された」
「明日香さんに反対されまして、生徒会長でしたし、学校としては許可できないと」
「だねだね!ホントにもー水槽楽部員としての自覚が足りないよん!そこに奈良ちゃんも参戦して大変だったよ!姉妹揃ってどうかと思うよん!」
って!愛芽さんもそっち側だったかー!駄目だコイツら!手遅れだ!水槽楽部と生徒会で真っ二つになったのは、この3人の横暴について行けなくなったからか!?愛芽さんも実は加害者側では無いだろうか?。一度詳しく奈良さんとお話がしたいと改めて切に思った。
「……だめですよ。去年と同じことしては!今年は、私が3人を止めますから!」
「……ふむ、我々とて馬鹿ではない。去年の事はちゃんと覚えている……」
「ナナちゃんは考え方が堅いねー!現在の学校教育に満足していては駄目だよん!」
……これは間違いなく今年も何かやらかすぞ!
「そうそう、花梨さん、今度学校の工事でユンボを業者が借りるらしいので、半日程借りられるとのことでしたよ」
「……!?……よし、部室の横の空き地に1メートル程の深さで穴を掘っておいてもらってくれ!」
鯉用の池を作る気満々ですか!?プールが駄目なら穴を掘って作りか!?
「鯉用の池を作る気じゃないですよね?」
「……むむ!それも良い案?……しかし、プールの下に間借りして置いている貯水タンクを部室の横に埋設する予定……」
「これで水泳部から文句言われることも無くなりそうですね。やっぱり消毒用のタンクは見栄えも悪いですし」
奇抜なカラーの消毒用タンクをプールの周りに転がしておいたら、見栄えも悪かろう……。
「……ポリタンクを地面に埋めれば、夏の水温上昇・冬の水温低下も防げる!土の断熱効果は偉大……」
「そうですね!あの水量を表に出しておくと、さすがに冬のヒーター代の青天井でしたし」
「熱帯魚ってショップで書いてる位なので、冬とか水暖めてるのですか?」
「……ふむ、部室の水草水槽にはヒーターを入れてない。外にあるポリタンクだけ年間通してクーラーとヒーター付けてる」
「そうですね、部室ほど水槽が多いと『部屋全体を24度位に』保つ方が安定しますね。何よりエアコンの方が電気代は安上がりです」
「淡水側のオーバーフロー水槽は、外にあるタンクのみヒーターとクーラー入れてますよ。夏は27~28度まで上げて、冬は25度まで下げてますよ」
「海水側のオーバーフロー水槽も同じだねだね!海水は年間通して、ちょーっと低めの『23度』にしてるから」
「……意外と低いんですね?もっと熱帯って言う位なので30度位あるのかなと……アマゾン川とか無茶苦茶暑そうなのですが」
「……ふむ、アマゾン川もそこまで温度は高くないのだ。もしかしたら、夏はタマゾン川の方が水温高そうな位だ」
アマゾン川は知っているけど……
「タマゾン川?ですか?」
「タマゾン川って多摩川のことですね。無責任なクズ共が川に魚を捨てるのですよ」
「……むむ!そうだ今年の夏の合宿はタマゾン川でサバイバルゲームをしよう!」
「それ良い考えですね!」
「いいねいいね!夜な夜な魚をポイポイするクズ共を射殺するゲームするDEATH!!!」
「……うむ、では夏の合宿は『外来種保護活動』とする!『筋肉麺麭』にパンの配達を頼んでおく!」
やっぱり『筋肉麺麭』は893か!
「楽しくなってきましたね、花梨さん私はパパから駆除用の武器借りますので、バイクの手配をお願いします」
おーい!まさかの愛芽さんも闇の住人なのか!?
「……やはりここは水槽楽部ぽい『ウィンチェスターM1887』を調達してもらおう、我々は日本の免許制度の関係でハーレーは乗れないから、全員『マグナ50』とする!」
「さあ!環境保護団体日花梨組による消毒の時間だ!!」
「イーッ!!」「イーッ!!」「イーッ!!」
……って!?その掛け声は完全に死亡フラグだ!?
「冗談は……ほどほどに……ぶっ飛びすぎる内容でして現実味が無いですよ……それで、タマゾン川にお魚を捨てて生き残れるのです?越冬出来なさそうに思えるのですが……」
タマゾン川の事を聞いただけで話があらぬ方向へ行ってしまったのだが……。
「……ふむ、生き残れるのだ、生活排水などの温かい水が川に流れるので、温かい所で冬を越すのだ。お陰で、元々住んでいたい魚達が食われて絶滅の危機なのだ!」
「生命とはすごいですよね。多少厳しい環境でも何とか乗り越えて行こうとする力。見習いたいものですね。しかし、生きる為とは言え元々いる在来種が蹂躙されるのも悲しいことです。一度飼い始めた動物は最後まで飼って欲しいですね」
「……うむ!夏の合宿はタマゾン川で環境保護活動とする!」
「それ良い考えですね!ひどい飼い主を血祭りにあげましょう!」
「いいねいいね!夜な夜な魚をポイポイするクズ共を『引きずり回してやる』ゲームするDEATH!!!」
「……過去の過ちを精算したいんだ……」
「私、この活動が終わったら水槽の水替えするんだ……」
「こんな奴ら十秒で片付けてやるDEATH!」
――完全に死亡フラグだ!
……タマゾン川の話題を振ると、もれなく長い長い『伝統芸能』を観ることとなる事だけが判った。ホント長いよ!地味に2回とも違う展開になっているところが、気になるので3回目を聞こうかなと……。
「で、タマゾン川についてですが……」
「……ぬぬ!?……ネタ切れだ!3回目は考えていなかった……」
「タマゾン川はさすがに遠いので、琵琶湖にアリゲーターガー釣りにでも行きましょうか?」
「……うむ!東のタマゾン川、西の琵琶湖だ!」
「アリゲーターガー?ですか?」
「琵琶湖で90cm級のが釣れたらしいので、我々水槽楽部の実績として1メーター超えを狙っていきましょう」
「……うむ!今年度の目標として琵琶湖古代魚釣りツアーを追加しておこう」
「び、琵琶湖でそんな大型魚が釣れるのですか!?」
「タマゾン川に匹敵するくらい外来種の勢力が大きくなってきてますね」
「んじゃーナナちゃんが免許取ったら琵琶湖へキャンプ行くよん!」
……バイクの免許を取ったら琵琶湖に行くことになった!その後タマゾン川の時と同様のネタを2回繰り返す事になった。




