第38話 秘密結社生徒会!?『エイト様』は魔改造済み!?
――水槽立ち上げ翌日。
私の水槽が気になるところだけど・・・
「おはようございますー」
「おはようございます七海さん」
朝一で愛芽さんと……生徒会室である。
「……あのう……早朝に生徒会室へ来るようにとのことでしたが……」
「七海さんに是非お願いしたいことがありまして来て頂きました。主に生徒会の仕事でして……」
――生徒会役員としての仕事が待っているようだ!
「何をするのですか?……」
入学早々、とんとん拍子で『生徒会副会長』になってしまったお陰で、生徒会の仕事をすることになったのである。
「新年の生徒会の仕事です。各クラスから選任されたクラス委員長との対談・新任の先生への挨拶、あとは、七海さんを先生方への紹介ですね」
「放課後、全員が揃って会議室へ集合されますので、就任あいさつしてください」
「……普通に……生徒会の仕事ですね……」
「七海さん、たった1週間そこそこで既に水槽楽部のメンバーに毒されてますか?」
「いえいえ……生徒会でしたね……」
……水槽楽部ではなく、本来は生徒会なのである。
「あのう……本来日花梨さんのお仕事では??」
「混乱しか起きませんので……挨拶したら黙っててもらいますので、後の進行は私がします」
――つまらない一日が始まった……入学して約1週間ちょっとでドタバタしすぎたせいか、刺激が足りない気がしたのである。
「放課後会議室へ行けばいいのですね?」
……ついでにちょっとした疑問も聞いておくことに。
「花梨ちゃんも生徒会の役職って何なのですか?」
「花梨さんは相談員です」
「……察しました」
だめだ予想以上に私の仕事が多そうだ!
「そうそう、奈良さんは協力的なのです?」
「奈良さんですか?……そうですね、最低限の役割を果たしてくれますが、殆ど金魚水槽のメンテナンスですね」
――生徒会は、実質2.5人です!
「わ、わかったような……お察しします……」
「いえいえ……七海さんが生徒会に入らなかったら、今年度は去年と違って大変なことになりそうでした……」
「あれ?そうそう!前年度といえば、奈良さんのお姉さんも水槽楽部……基、生徒会役員でしたよね?」
「ですねー。明日香さんはとても優秀な方でしたね……生徒会長としても、金魚を愛する人としても」
――あれ?またとんでもない人かと思っていたが……。
「それだと、水槽楽部の横暴……活動が気になるのですが」
「あ、『花梨ちゃんと日花梨さん』と『明日香さん』とで第二次アクアリウム大戦になりまして。現在の形に完全に割れてしまったのです……」
……物騒なことになったようです!模造刀とはいえ、『刀』と『大鎌』を持ち出す二人とまともな話し合いになるとも思えない。
「やっぱり……あのお二人が原因なのですね……」
「違う違う!明日香さんが原因ですね……花梨さんも、日花梨さんも仲間外れ的な考えは特にお嫌いなお二方なので。明日香さんは、金魚愛がとてもお強い方でして……」
「それで、現在の形になったと……」
生徒会室の金魚鉢を観ながら、考え込んだ……
「その後、この金魚水槽の為に、奈良さんが生徒会に入られたのですね?」
「大体そんか感じですね。明日香さんの後を引き続く形で生徒会に入られました。」
「もちろん、生徒会の仕事は入学前から手伝って頂けてます。」
――花梨ちゃんと日花梨さんと仲違いになった訳では無い?
「それじゃあ、花梨ちゃん、日花梨さんと奈良さんは歩み寄ることできそうです?」
「それは絶対に無いかな……このようになった原因が奈良さんも当事者です」
「七海さんには、花梨ちゃんが卒業するまでに『仲を取り持って』欲しいです」
……今いる部員は全員当事者、私だけがその抗争より後に入部した唯一の部員って事かな。
「奈良さんとは仲良く出来そうな……でも……」
「頭の片隅にでも置いといて頂ければと……当事者だった私が言うのも痴がましいですが……」
「当事者だけに、やっぱり切り出せなくて……」
……愛芽さんで難しい事を私で乗り越えられるのだろうか……?
「出来る範囲でですが、協力させてもらいます……奈良さんの事、まだよく判ってないので、なんとも言えませんが……」
――『金魚一匹』『浮き草』『水草』、底面には『ビー玉』そして、『ブクブク』が入ったシンプルだが、とても手入れされた『金魚鉢』が、生徒会室の机の上に置かれていた。
「唐突なのですが……金魚鉢には濾過必要ないのですか?」
最近、濾過に関して色々と聞くことが多かったのでちょっと疑問に感じた。濾過がないと、アンモニアが発生して大変な事になるとかならないとか。
「基本的には毎日新鮮な水と入れ替えてますよ。あと、ちゃんと濾過装置いれてますので飼育環境として問題ないですね」
――濾過が無いように思えるのだが……?
「……あのう、ブクブクしかないように思えますが??」
「そのブクブクが、濾過装置の『水作エイト様』ですよ」
「しかも『エイト様』は我々、『水槽楽部員の秘密結社』により魔改造を施された『スーパーエイト様』なのですよ」
――――『イーッ!!』
「この小さいのので十分なのですか?」
「このエイト様は改造を施したことにより、七海さんの『水槽の外掛けフィルター』並のポテンシャル持ってるのですよ」
「ノーマルのエイト様を一度分解して、エイト様の底に入っている砂利を『PHのモノボール』に変更、中央部のオプション装備の『バイオカートリッジ』の中身を取り出し『リヴァァァァァス!』を武装しているのですよ」
「エアーレーションのみでの運用ですが、ゆっくりエイト様の中を水が流れることにより、圧倒的濾過能力を発揮しているのです」
「30cmキューブ水槽なら、エイト様1つで維持できる最強のエイト様なのですよ」
「但し、コストが掛かりすぎで、普通に外掛けフィルターの方が安くて濾過能力高いです」
「ちなみに、S・M・Lと3種類ありますよ」
……凄まじい勢いで力説されました!
「水作エイトへの思い入れはよく判りました……」
「今後、アクアリウムを続けていく上で、水作エイト様のありがたさを実感できると思いますよ」
……どうやら水作エイト様は偉大らしい。
「は、はぁ……覚えておきます……」
「それでは、放課後、会議室で新年度の挨拶と顔合わせよろしくお願いします」
「七海さん、放課後お待ちしております」
――しまった!話が長くなったので、部室の水槽を見に行けなかった。放課後の生徒会会議が終わり次第見に行くことにした。




