第32話 朝はパン! 筋肉麺麭 暗黒龍!? ただのパン屋か!?
花梨ちゃんと日花梨さんが戻ってきた。理子さん曰く、二人は珈琲を飲むが苦いのは苦手らしい。朝はミルク多めのカフェオレを好んで飲むと教えてくれていた。
コーヒーメーカーのスイッチを入れ、花梨ちゃん達が事務所に入ってくるのを待っていた。
「……ただいま」
花梨ちゃんは裏口から入ってきた。
「おはおは!」
ばーん!っとドアが開いた!?日花梨さんは玄関側からの登場であった。
昨日のツナギ……レーシングスーツ姿の日花梨さんだった。
「って!?日花梨さん!その格好して道走っているのですか!?」
「だよだよ!万が一転けたら危ないからねー!」
法律は守りましょう!!!!
「ふむ、今日の日花梨は早かった……危うく追いつかれそうになった」
……!?花梨ちゃんの方が暴走特急なのか!?
「あ、あの、朝ごはん作ったので食べましょう!先に手を洗ってきてください」
「……うむ!美味しそうな朝ごはん。すぐに手を洗ってくる」
「んじゃー私も洗ってくるよん!」
そう言いと日花梨さんは再び表に出て行った。
——足を洗いに、交番へ行ったみたいだ!
「日花梨さんは何故表へ……」
とりあえず、食パンをオーブンで焼き始めた。4つ切りの厚めの食パンだ。
この食パン美味しそうである。高野山にあるパン屋さんの物だろうか?
『筋肉麺麭 暗黒龍』
どう考えてもヤバそうなパン屋だ……突っ込んだら掘られそうだ。
ばーん!っとドアが開いた!?……静かに開けましょう!まだ朝の7時です!
「手洗ってきたよん!おおお!幻の食パンじゃないかなかな!?ナナちゃんこれどうしたの!?」
「とてもシットリとして適度な堅さのマッスルベーカリーのパンだよ!昨今の柔らかさばかり追求して味が二の次になってきた食パン界の革命!」
……どうやら幻の食パンらしい。
「……ふむ、今日朝に焼きたてパンを買いに行ってきたのだ!」
朝から私達の為に幻の食パンを買いに行ってくれたとは!?
「斜め前にお店あるんだけどね!」
理子さん……その補足要りません!
「幻の食パンなのに簡単に手に入るのですか……」
「うーん、花梨ちゃんは特別だからねー!私には売ってくれないよん……」
日花梨さんが肩を落としているが……なんか変わったパン屋さんのようだ。
「……うむ!マッスルのパン屋は私の弟子みたいなもんだ!」
「パン屋さんが弟子とは……花梨ちゃんは何者……なんですか?」
花梨ちゃんも相当色々アリなキャラクターだ。
「ああ、パン屋さんに行けば判るよー。今日、帰りにお土産買うついでにパン屋さんに寄っていくといいよー」
「うむ!理子の言う通り、筋肉麺麭は至高パン屋」
理子さんと作った朝食にマッスルベーカリーのパンを添えて朝食の完成だ。
「……いただきます」「いっただきますー!」「いただきます」
4人みんなで朝食を食べたのだが……日花梨さんはマッスルベーカリーの食パンを食べ……
「美味しい!さすが!マッスルベーカリー!」
花梨ちゃんはパンの前に『ポテトサラダ』を先に食べた。
「……ふむ、ポテトサラダよく出来ている。少し寝かせたら更に味が落ち着いて更に美味しいはず」
「お口の合って良かったです!ポテトサラダは少し冷蔵庫でお取り置きした方が美味しいですよね!」
「……夕ご飯にまた戴くとする……」
花梨ちゃん、よく判ってる!それに比べ、日花梨さんは……!
私も、食パンを戴くことにした。
——!?
——本当にこのパンは美味しい!?シットリとしているが程よい厚みを感じる。確かに、このパンは美味しい。
「ホントにこの食パン美味しいですね!私の近所でも美味しいパン屋はありますが、遙かに美味しいです!」
帰りにお土産に是非買って帰りたい。
「……うむ!お土産に買って帰るといい。ママさんもきっと喜んでくれる」
高野山のお土産にパンを買う事になりそう。もっと名物があった気がするが。また今度にしよう。
「花梨ちゃん、今日はどうします?良かったらですが、今晩また私の家に泊まっていきます?」
「……ふむ、今日は七海を家に送ったら家に帰って水草のトリミングする……」
「な、なんかご面倒おかけします……」
「……気にすることない。バイクでツーリングも出来るし」
「水草……あ!今って水槽のライトって消えてますね?付けなくていいのですか?」
「……うむ。今は付けない。13時位になったら自動的に照明に電気が入る」
「意外と遅い時間から付けるのですね?やっぱりライトも適切な時間とかあるのですか?」
「……うむ!適正な時間がある。……が、一日大体6時間くらいフルパワーでライト付ける。でもそれだと鑑賞する時間が短くなるので3時間程は結構暗めの観賞用ライトが着くようになってるのだ」
「だねだね!花梨ちゃんの水槽はアナログタイマーで制御してるから決めらた時間になったら『パッと!』つくよん!」
「ちなみに、部室の水槽は全システムPC制御しているのだ!あと、私の家の水槽も全て電子制御なんだよん。常時コンピュータで水温・水質をチェックしているから安心安心!」
「……うむ、1週間位なら放置しても大丈夫。アクアリウムは旅行とか仕事で忙しい人でも楽しめるのだ」
「1週間も空けて大丈夫なんですか……餌はどうするのですか?」
「ん??餌も自動であげること出来るよん!あと、2、3日なら餌あげなくても問題ないし」
「そ、そんなザックリでいいのですか?」
「……うむ、自然界では1週間餌が食べられないとかよくあること。だから、時々餌を抜いて体調を戻したりする事もある」
——アクアリウムって繊細だと思い込んでいた。
「だねだね!忙しい人ほど、アクアリウムは向いている。暇なときにどばーっと!!メンテとか。計画的に飼育できるからねぇ!」
「……不思議なことに、結構テキトーに飼ってる人の方が上手く行くこともある。万人に合わせた飼育方法がある。だからみんなやり方が違う。経験で我流を極めていく……それがアクアリウム」
……とにかく、経験が全てのようだ。
「……ごちそうさま。いい朝食だった」
「ごちそうさまー!七海ちゃん、花梨ちゃん後片付けやっておくから出かけていいよー。せっかくの休みなんだし行っておいで!」
「やた!んじゃー私ももうひとっ走りしてくるかなかな!」
「日花梨ちゃんは片付け手伝う!ほんと!日花梨ちゃんは何でもやっり放しなんだから!」
「……七海、パン屋に寄ってから家まで送る……」
「判りました!それじゃあ……帰る準備してきます!」
日花梨さんが渋々食器を洗っているが……そこは積極的にする方が女子力を上げるぞ!……その必要は無さそうだが。私と花梨ちゃんは自宅に帰る準備を始めた。
帰りにパン屋さんに寄ってお土産を買って帰ることになった。パン屋のネーミングセンスにとても不安を感じるが、朝食に焼いたパンの美味しかったので期待大だ。
借りていた部屋着を洗濯場に持っていき花梨ちゃんの洗濯物と一緒に洗っておくことにした。洗濯機も最新式の家電だった。よくある『探偵業=貧乏事務所』という設定では無いようである。花梨ちゃんは意外とお金持ちなのだろうか?
帰る準備と平行して、洗濯物を干した。帰る準備が完了したが、花梨ちゃんは準備OKなのか気になった。
花梨ちゃんはリビングの薪ストーブの近所で座っていた。
「……ふむ、七海も準備できた?そろそろ出発」
「はい!それでは行きましょう!理子さん、日花梨さんお世話になりました」
「七海ちゃんまた来てくださいね!……ちょっと遠いけど」
「ナナちゃん!また明日!部室でー」
見送りしてもらったが、出てすぐに斜め前の『筋肉麺麭 暗黒龍』のお店に立ち寄った。
――筋肉麺麭 暗黒龍……間違いなく事件が起きるぞ!




