第20話 東高校…ウォーキング・オブザ・デッド!?
東高校に入学する前には知らなかった事がある。オリジナルの校歌……これは普通だけど、東高校体操って何!?しかも2番まである。オリジナル音楽にオリジナル体操というまたメンドクサイ事を考えたものだ。1年の体育の授業は東高校体操を覚える事から始まるのである。
そして、32キロ市町村横断ウォーキングの課外授業まであるという罠が待っている。32キロも弁当持って何故歩かなければならないかと…。1年生はこの3つを4月に乗り越えなければならない。
で、朝一番でネコ駅長で有名な「貴志駅」に立っているわけです……。普通に線路に沿って帰れば、10キロ程の距離なのだけど、わざわざ海南市経由で帰れと!?開校以来の春の行事らしい。
負けられない戦いがそこにはある!
土曜日のカリンちゃんとのデートの為に何としても早く終わらせ、髪をカットに行き、服のコーディネートをしなければならいからだ!
「久日に来たけどこの駅凄い事になっちゃったねー。私は以前の普通の駅のほうが良かったかなー……」
ノスタルジックに溶け込みたい私にはあまり好みではない駅舎になってしまった。近年のブームの結果、駅舎を全面改修したのであった。カフェまで併設され、屋根にネコ耳まで付ける有様である。
「いいじゃん!猫の駅、かわいいじゃん!ってネコ駅長出勤してないじゃん!」
肯定的な事を言う親友の双葉であった。あと、これから32キロ歩く格好でない。恐ろしく軽装備でもある。…私もだけど。小銭ケースとスマフォしか持ってないのである。他の1年生はリュックサックに帽子完璧な武装をしているのに。私達二人は超軽量装備である。オシャレなウォーキングウェアなぞ持ってきてないのである。
「おはよう……川崎さん、田本さ……ってあなた達本気なのその格好!?普通に歩いても夕方になるのよ!」
「おはおはー!寿さん!ん?この格好気になる?絶対この格好のほうがいいと思うけどねぇー!七海君」
双葉と私の考えは多分間違っていると思うが、このウォーキング授業の特性上、ゴール後は「流れ解散」なのである。自分のペースで景色を観ながら友人と親睦を深めて行くイベントである。
「おはー!奈良さん!32キロウォーキングでしょ?ミネラルウォーターを買う小銭さえあればOKかなーっと」
さり気なく…寿さんを下の名前で呼んだのであった。あえて、もう一度言おう、友人と親睦を深めて行くイベントである。
……ゴール後は流れ解散である!!!
時速10キロで走れば3時間ちょっとで学校にゴールできる。貴志駅に来る前に先に学校に寄って、自転車を置き、学校近所の駅から乗って来たのである。現在朝7時半……8時出発だから12時には家でシャワーを浴びて、優雅にランチである。その後ゆっくりと髪をカットに行く魂胆である。
「……あなた達32キロ走る気なのね……先生が言ってたでしょ!昨日!32キロ走って帰って遊びに行く事を考えるバカが現れると!そして20キロ未満で限界が来て、最終的に苦しみもだえゴールすると!」
「所詮そいつらは四天王のうちの一番最弱よ!我々ならこの風のご加護があるクリスタルで駿足よ!」
……事実、ウォーキングシューズではなく、ランニングシューズである。
あえてもう一度言っておこう、我々は歩く装備ではなく、フルマラソン武装である。レーシングモディファイしてきたのであった。
集合場所でクラス別に並んでいた所、先生が開会の挨拶を始めた。
「えー・・・以下略」
長い話はカットである。
「続けて生徒会長の挨拶、お願いします」
「みなさーーーん!おはようございまーす!今日はうち学校恒例の市町村横断ウォーキングです。天気も良くちょっとお昼は暑くなるかもなので、皆さん無理せず、マイペースでゴール目指して行きましょう!」
意外とマトモなスピーチをしたヒカリさんだった。アンナさんが言ってたような暴君生徒会長……イメージ悪くはなかった。付け加えるが、2年と3年は本日休校である。先生全員がこのイベント要因として参加しているからだ。当然、生徒会も実行委員としてアンナさんとヒカリさんが参加してる。
「ああ!ナナちゃん!水槽楽部恒例の32キロマラソンに挑戦するんだね!!私、去年同じ事やったけど20キロ超えれなかった!(テヘペロ)」
お前か!?四天王のうちの一番最弱とは!?
ヒカリさんは体系的に絶対無理でしょ……上半身にデカメロン2つ付けて32キロ走ろうと考えたのは。
それと、壇上から私を呼ぶのは止めていた頂きたい!
……どうやら水槽楽部員は毎年やらかしているようだ……!
「川沿いのコースなので、春の季節を感じながら、新しくできた友と助け合い、無事に学校を目指してください!」
生徒会長のスピーチの途中、個人的な発言をしたが、教科書通りのスピーチをこなしたヒカリ会長だった。黙って立ってれば、和歌山県一番の美少女だ。
「それじゃー!東高校目指してスタート!!」
っと同時に、私と双葉は全力で走り出した!
「って!双葉早い!」
一緒に走ろうと言っていたのに、脳筋女子が全力全開で走り出した……!付け加えるが、普通に走ってゴールできそうな陸上部は、真面目に歩いてる……双葉は陸上部のマラソンより速いペースで走り出したのであった。予想はしていたので、電話かけた。
「ちょっと双葉!一緒に走ろうって言ったでしょ!」
さすがに、走りながら電話は結構大変だが……。
「あ!ごめん!朝のランニングのペースで走り出しちゃった!七海のペースに合わす合わす!」
そのペースで朝ランニングしてるんか!?
少し離れた距離から双葉が手を振っていた。
さて、私たちは無事32キロゴールできるのだろうか……!
途中、お店でおやつを食べたり、休憩したりはOKなのだ。
このウォーキングのルールが一つだけあった、自分の足で歩いて必ずゴールしなければならい。「リタイアは許されない……!」




