東(あずま)女子高水槽楽部 プロローグ
中学時代な~んとなく入部していた「吹奏楽部」に思い入れは特になかった私だけど、高校でも「とりあえず」部活に入ることにした。とりあえずなら、帰宅部でもいいんじゃない?って思いそうなんだけど、……早く帰っても何もない「中途半端な田舎」なので、とりあえず部活に入って学生生活を楽しむ!
で、高校でも「吹奏楽部」にすることにした。高校入学式の「新歓PRタイム」で吹奏楽部なのに軽音学部的なパフォーマンスをしていた。選曲が私が幼稚園の時に流行った「お○かな天国」と「マグ○節」の2曲をハードロック風にアレンジで演奏したブッ飛び吹奏楽部だった。どうやらこの学校では「異端児」扱いされている部と噂が絶えないらしい。
普通なら「異端扱いの吹奏楽部」を避けそうなところだけど、この高校には「野球部が無い」ので、夏の暑い時期に応援団に駆り出されない。さらに言うと休日の活動とかも無さそうなのもポイントが高い!私は、「ただ、時間潰しができてゆるーく過ごすことが出来ればいい」のだ!大会とかにも興味がないし。この点ではこの学校の吹奏学部は中途半端だった。学力も中途半端。校則もゆるくてバイクの免許の取得も可能である。
ちょっと邪な思いで吹奏学部への入部を入学式に日に決意した……。
そして入学式の次の日……放課後
「ナナはやっぱり高校でも吹奏楽?」
幼馴染で親友の田本 二羽が話しかけてきた。
「かなー…とりあずユルそうだし。二羽は…フェンシング部だよね?」
もちろん!というか、フェンシングするためにこの高校へ来たし、というか、合格決ってから部活きてるし」
そうそう、うちの高校は何故か「フェンシング部」は異常に強い学校なのである。普通の普通校だけど、「フェンシング部」に入りたい女子が集まるのである。
「だいじょぶ?あの吹奏楽部だよ?文芸部とかにしておいた方がいいとおもうけどなぁ……」
「フタバよ……だがソコがいい!」
「……残念女子すぎる……見た目だけでインターハイ決勝までイケそうなのに残念すぎる」
「まあ、吹奏学部の門を叩いて来い!ドアの向こうは異端児の巣窟や」
っと言い残して二羽はフェンシング部の部室に行った。
さて、吹奏楽部の部室の門を叩きに行きましょうかね……。で……吹奏楽部の部室は何処だろう?もちろん音楽室もしくはその隣なはず。しかし、音楽室は近年流行した軽音学部が利用していた。軽音学部の先輩に吹奏楽部の部室を訪ねてみた。
「吹奏楽部はプールの隣にある別棟だよ?」
と言われ……。
「???……!」
よくある異端児の部室は校外に追いやられるパターンかなと勝手に理解してみた。
そして、プール横まで来てみたが……太いパイプが別棟にいくつも繋がっている理解できない光景であった。まるで小学校の時に社会見学行った「水道局」である。
すごく気になるけど、吹奏楽には関係がないと思い、吹奏楽部のドアを開けて入ってすることにした。
「おじゃま……しまー……す……部活見学したいのですが……」
——川崎 七海の高校生活が始まる……