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伯爵令息はエルフの王子さま  作者: 月見草
第一章 伯爵令息フェイボス・マイヤー
8/9

森の熊さん

執筆遅くなってごめんなさい。

ガサリと目の前の茂みが音を立てた。


「っ!!」


悲鳴を上げそうになって慌てて口を手でふさぐ。


「大丈夫だ。野うさぎだ」


ゆっくりゆっくりと音を立てないように森の中を歩く。


「っっふぇっくしょん」


唐突に後ろでくしゃみをする“大きな”音がした。

フェイボスが勢いよく振り返る。


「ご、ごめんなさい」


「っ。いえ、大丈夫です。少し急ぎましょうか」


あっ、いらいらしてる。っていうか、怒ってるわ。


「ハンナ、花粉症なの忘れてた」


「お前ら今すぐ戻れって言いたいけど、ここまで来たら引き返すのも面倒だ。大人しくしてろ。熊に襲われるぞ」


「わ、わかったわよ」


真後ろから低いうなり声が聞こえた。


「……なぁ、お前の召使はくしゃみの時にこんな声を出すのか?」


「い、いいえ。そんなことはなくってよ」


ゆっくりと後ろを振り返った。


「お、王女殿下、フェイボス卿、! お、お助け下さい! ま、まだ死にたくないですぅ」


ハンナが泣きながらそう叫んだ。いや、熊の爪にぶら下がった状態で、といったほうが正しいだろうか。

それよりハンナ。あなた召使なら主を逃がそうとするものじゃないのかしら。それと、私だって死にたくないわよ!

それにしても


「あれが熊なの? 本で見たよりも大きい気がするわ」


「まぁ、熊の一種だよ。少し、後ろに下がっておけ」


そう言ってフェイボスが私を後ろに押す。

その瞬間に矢が飛んだ。


「きゃあ!」


その矢は真っすぐに熊の心臓に当たり、ハンナは倒れた。


「ハ、ハンナ!?」


慌ててハンナに駆け寄る。


「クルトか。助かった、礼を言う」


「いえ、おう……フェイボス様。お怪我はありませんか?」


「あぁ、大丈夫だ」


「それより、彼女は確か……」


「あぁ、そうだ。父上と国王陛下が婚約者にと押し付けてきた」


お、押し付けてきた?


「押し付けてきたって何よ。私だってあなたとなんか結婚したくないわ。それより、エルフのあなた。クルトといったかしら?助けてくれてありがとう」


「本当に何も……。王女殿下、お怪我は……ないようですね。そちらの女性は気を失っているようですので、私の家においでになられてはいかがでしょう? 目を覚ます開いただけで結構ですので」


「じゃ、お言葉に甘えて」


「おい、俺は遊びに来たんじゃないんだ。狩りをしに来たんだぞ?」


「いいじゃない、少しぐらい。それとも、私たちを森に置き去りにしていくつもりなの?」


「チッ。少しだけだぞ」


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