伯爵令息と婚約!?
いきなりです。前振りなしです。
「お父様、お呼びいたしましたか?」
私、ウラニア・アーヴィングはこの国、アルヴィヤ帝国の王女様。昨日、私の16歳の生誕祭が終わったの。
「ウラニアか? 入っておいで」
「はい、失礼します」
宝玉の間に入ると、お父様とお母さまが玉座に座っていた。数歩前に進んで、華麗にお辞儀をした。もう私は立派なレディだからね。
「まぁまぁ、立派なレディになったわね、ウラニア。お母様、感激で涙が出そうだわ。さぁさ、もっとこちらにいらっしゃい。私のかわいいウラニアの顔を見させて頂戴」
お母様ったらもう46歳なのに、しわもたるみもしみも、一切ない真っ白ですべすべな肌。本当、お母様のほうがかわいらしいわ。
「あぁ、かわいいウラニア。もうすぐお別れなのね。ねぇ、あなた。もう一年ぐらい一緒にいたいわ」
……お別れ!? お別れですって?
「お母様、どこかに行かれるのですか?」
そう聞くとお母様は驚いた顔でこちらを向いた。
「私が?ふふふ。いいえ、あなたが別の場所に行くのよ、ウラニア。まだ話していなかったわね。」
何か面白いことを聞いたかのように笑うお母様。あぁ、可愛らしい。
「ウラニア。お前はもう16歳だろう。そろそろ婚約してもいい年頃だ。マイヤー公爵家に今年17になる息子がおる。そこに嫁いではどうかと思うてな。取り敢えず婚約してみたのだ。マイヤー公爵家は昔からある家でな、信頼できる所なんだ。なぁ、試しに2年間マイヤー公爵家に住んでみてはくれんか。途中で嫌になったら帰ってくるがいい」
なんですと!? 私が婚約?この家を離れるの? まぁ、それもそうよね。死ぬまでこの家にいるわけにはいかないですもの。
「分かりましたわ、お父様。マイヤー公爵令息のお名前をお聞きしたいですわ。それと、写真も」
「名前はいいだろう。だが、写真はなしだ。家に行って実物を見るといい。名はフェイボスという」
「ねぇ、あなた。私やっぱり反対ですわ。確かにあそこの息子さんはいい方ですけど……」
お母様が心配そうにそういう。
「大丈夫ですわ、お母様。安心してください。なにかあれば逃げ帰ってくるので。それに時々顔を見せに来ますわ。ところでお父様、この話、お兄様には?」
「しとらん。あやつに言うたら絶対に反対される。あやつにバレぬうちに発つのだ。マイヤー公爵家は山奥にある。おいそれと連れ戻しには行けんだろう。さぁ、支度をしておいで。11時に出発だ。この時間帯はあやつには公務があるからの」
やっぱりお兄様にはいっていなかった。早く準備しなくちゃ。
お兄様……。
例え山奥でも連れ戻しに行きそうだけど、大丈夫かな。
まぁ、作者が全力で阻止しよう(絶対無理)