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7. 助け



ラン、リリー、ルアの3人は驚いたが、兎に角モンスターへの対処が先決だった。ハリトバシは仕留められたので、焦る必要はない。

すかさずルアはドロミズススリに駆け寄った。靴を履いている方の足で踏みつぶす。


「リリー!レイルをお願い!」

「わかったわ!」


もう一匹のドロミズススリを踏みつぶし、ルアは魔除け香を確認した。

やっぱり!全部燃え尽きてる。

香吊り皿の中には、渦巻状の灰が残るばかりだった。急いで新しい魔除け香を出し、火をつけると地面に置いた。悠長に香吊り皿に仕舞う暇は無い。

振り向くと、ヘビグイジリスは3匹まで減っていた。

すぐに矢が飛んできて、2匹になった。

リリーがフレイルで跳ね飛ばした2匹を、ランが飛び出しハンマーで潰し、もう一匹はレイルがクルークで叩き殺した。


「ヘビグイ0!」

「トバシ0!ドロミズ0!」


全員で静かに辺りを窺ったが、新手が来る様子は無い。

地面に置いた魔除け香の香りが静かに香り出すと、みな、安堵のため息を履いた。


「はぁー。良かったー。」

「わぁー、怖かったよー。死ぬかと思ったー。」


冷静になったルアは、今更に震えだした。


「皆…、ごめんなさい。私、魔除け香を確認してなかった!!」


それをランが止めた。


「まてよ、ルア。それより、助けてくれたやつに礼をしようぜ。」


石畳の道から、男の子が歩いてくるところだった。



---------



男の子はロウと名乗った。

ルアも何度か見た事がある。狩人のカイルさんの息子さん。確か、今年9才だから、ルアと同い年。黒い髪と黒い目で、カイルさんに少し似ている。

ロウの手には木製の子弓が握られている。腰に吊ったマチェット(山鉈)は、たぶん大人用の物だろう。大人には小振りでも、ロウが使うには大きいように見える。ハリトバシを仕留めてくれたのは彼で間違いない。背負っている矢筒のから覗く矢羽の色柄も、ハリトバシやヘビグイジリスに刺さっている矢と同じだ。

みな口々にお礼を言った。ロウの方も言葉少なに、ヘビグイジリスに噛まれたレイルと、毒針に刺されたルアの心配をしてくれた。

ルアの方は、そろそろ痺れも薄くなってきて心配要らなかったが、レイルは治療が必要だ。

リリーがルアの鞄から傷薬を出して、手当てをした。幸い一か所だけだし、ヘビグイジリスには毒は無い。流れる血を拭き取って、血止めと消毒の軟膏を塗ってから、貼り薬を貼り付けた。

治療しながら話し合い、助けてくれたお礼に丸団栗を分けることにしたが、ロウは要らないという。

それよりも、貰えるのならヘビグイジリスの尻尾が欲しいのだという。


「そんなの何に使うんだ?」


と、ランが聞いた。


「母さんに渡して、襟巻を作ってもらう。」


確かにヘビグイジリスの毛は細くて長くて縒れていて、尻尾はふわふわのもふもふだ。集めたらさぞ暖かくて柔らかい襟巻が出来るだろう。でも何せ小さいから、襟巻を作る為に集めるのは十匹や二十匹じゃ済まないんじゃないだろうか。

レイルもそう思ったらしい。


「襟巻一つ作るのに、何匹分必要なの?」

「30匹くらいで十分。弟のだから。」


よく聞いてみると、彼の3つ下の弟が今年の秋から山に入るらしい。その記念の贈り物に、襟巻をあげたいのだという。

ちなみにこの場合の、山に入る、と言うのは弓を使って小鳥だの兎だのを捕り始める、つまり本格的に猟を習い始める、ということだ。

そういうことなら、どうぞどうぞ持って行って、ということになった。

ロウは尻尾だけ切り落として、鞄に仕舞いこんだ。刺さった矢も集めて、矢筒に放り込むと、ところで、と言った。


「ハジマリ村の子がこんな所まで来るなんて珍しいな」


4人の間に緊張が走った。

あからさまに動揺した4人を、ロウは不思議そうに見つめた。


「まさか、迷子なのか?」

「え?」

「いや、それは違う。」


代表してリリーが言った。


「大丈夫。帰り道はわかってるわ。地図もあるし。」

「地図?」

「おい。」

「ちょっと。」

「リリーったら」


一言余計だった。

まぁ仕方がない、助けて貰ったことだし。命のお礼がヘビグイの尻尾だけなんて申し訳ないし。

4人はロウにも事情を説明することにした。





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