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5. 森の中



 ルアは東の森に、こんなに朝早くから入るのは初めてだった。下草の間で朝露がきらきらと輝いている。

 足元に茸や木の実を見つけると、みなとりあえず背負い籠に放り込んだ。木苺や果物は口に入れつつ歩く。木の実拾いという名目で来ているので、収穫が無いと困るのだ。

 やはり村に近いほど、落ちている量は少ない。魔除け香が効いていて、ドロミズススリの1匹も見なかった。

 お喋りしながらしばらく歩くと、小川の流れる広場に着いた。辺りには野の花が咲いている。ルアとリリーはせいぜいこの辺までしか来たことは無い。

小川の水を飲んで、また出発した。ここからは川に沿って歩いてゆく。そうすると、道があるはずだ。


「道があるの?森の中に?」

「確かにあるよ。石畳の跡みたいなのが。」

「ああ。昔は森の中にも誰か住んでたんだな。もっと奥には古井戸の跡もあるけど、建物はもう残ってないみたいだ。」

「へぇー。」

「あの井戸、まだ水があるんだよね。雨ざらしだから飲みたくないけど。」


 ぽとん。何かが落ちる音がして、ルアは音がした方を見る。

緑の草葉の上には真っ赤な毛虫が居た。ぽたんぽとんと音を立てながら続けざまに5,6匹の毛虫が木の上から落ちてくる。

ふわふわした赤い体毛に覆われた、赤ん坊の肘から指の先くらい大きな毛虫。ヒイロケムシである。体毛の所々から鋭く黄色い針が飛び出しているが、毒は無い。刺さるとすごく痛いだけで。


「あ!出たよ!」

「えっ?うわっ!」

「げ。」

「3、4、5、6匹いるよ!」


ヒイロケムシがうやうやとこちらに向かって這って来る。兎に角、一番近くにいる毛虫を刺し貫いた。

周りでは、みなそれぞれの武器で毛虫を仕留めた所だった。後2匹いる。


「うわっ。」


レイルの近く、3歩くらい離れた所に居た毛虫がひょんっと跳ねた。これがあるからヒイロケムシは嫌なのだ。

レイルはうまくかわしてクルークで叩いたが、まだ動いている。嫌な臭いの粘液を吐いた。ランが蹴り飛ばすと動かなくなった。もう一匹いたのはリリーがフレイルで潰したようだった。


「あー、もうっ、驚いた。」

「魔除け香はまだ燃えてる?」


 魔除け香は残り少ないものの、まだ燃えている。魔物によっては効かない場合もあるから、今回もそれだろう。

 その辺にある大きな葉っぱでそれぞれの武器や靴に付いた汚れを拭って、再び進む。

 しばらく歩き続けると、森の中の広場に着いた。



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