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幽霊部員Ⅳ

 今日はやけに暑い。頭から水をかけてもらいたい。そのぐらい今日は暑い。まだ5月だって言うのにまったく困ったものだ。椅子を並べて横になっている。赤月はこの暑さに苛立ちをおぼえ始めていた。

 今日は、雪梅の探している梅の木についての話をするらしいのだが、部長の月花がいまだにやってこないのでなかなか話が始まらない。かれこれ30分この体勢でいるがなかなかやってこない。何やってるんだろうか。ホントに暇だな。天井をじーっと見つめていると、雪梅の顔が目に映った。

「赤月さん、何やってるんですか?」

「ただ、ぼーっとしてる。暇だからさ。何もすることがないから一眠りでもしようと思ったけどいざこうやって横になってみると眠るどころか目が覚めちまうんだなって。それで、」

「ぼーっとしてる。と。」

「そういうこと。」

「なるほど。」

「うん。」

「・・・・」

「・・・・」

気まずい沈黙が包み込んでくる。沈黙よ、俺たちを包み込まなくていいからどっか行ってくれ。頼む。そして、何を言おうか迷っていると、沈黙を追い払うように言葉を口から吐き出した、。

「あ、そういえば前から気になってたのですが、その腕の傷はどうしたのですか?」

腕の傷?そんなものは確か一週間前に俺の腕から消え去ったはず。

「おいおい、今俺の腕に傷なんかないだろ。怖いこと言うなよなほんと。」

「そ、そうですね。すみません。変なこと言っちゃって。ほんとにすみません。ちょっと見間違えたみたいです。」

どうしたのだろうか。確かにここに傷を負っていたことは事実なのだ。あの通り魔に切られたときの傷は意外としぶとく、なかなか治らなかった。だが、雪梅に会う前にはもう治っていた。だから、雪梅がこの傷のことは知らないだろう。しかし、どうして傷のことが分かったのだろうか。霊の力とかそういうのなのだろうか。もしそうだったら、あの通り魔のことも何かわかるかもしれない。

「なあ、雪梅。ひとつ聞いていいか?」

そして、俺はあの夜に起こった出来事を話した。

「よくわかんないですね。」

きっぱりと雪梅はそう言った。やっぱり知らないのか。

「ごめん。雪梅ならなにか知ってるんじゃないかと思ってさ。今の忘れて。」

「いえいえ、こちらこそ力になれなくてすみません。」

そうか。雪梅も知らないのか。でも、一体あいつはなんなのだろうか。そう思い、目を瞑る。」

『もう、覚えてないか。やっぱりね。仕方がないよ。だって、あれから長い年月がたったし。でもね、私のことは覚えてくれたってよかったんじゃないのかな。ね?』

頭の中で声が響き、飛び起きる。しかし、突然顔に何かがぶつかり悶絶しながらその場に再び横になる。

「っつ。なんだ?」

頭を押さえながらあたりを見回す。すると、そこには頭をおさえて、「おふぅ・・・」と悶絶している月花がいた。

「おい、なにしてる。」

「なにしてるじゃないよ!赤月が寝てるから起こせって言われたから起してあげたんじゃないのよ!そしたら、急に頭突きをもらうとは思ってもみなかったよ!まったくもう!」

「ごめん、変な夢みてて。」

「ほんとにもう気を付けなさいよね。それで、雪梅のことを話すからこっちに来て。」

月花についていくと、机を合わせて台を作り地図を開く。

「それで、雪梅さん。あなたの探しているという梅の木はどこにあるの?何か思い出した気がするっていってたよね。」

「それが、ぼんやりとしてるんですけど音が聞こえるんです。さざ波の音が。激しいんですけどどこか懐かしいようなそんな音です。」

「そうか、海の近くということか。とりあえず海、行っとくか。よし、明日は創立記念日だし、この場所にいくか。」

と言いながら地図に唯一記されている海を指さした。

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