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幽霊部員Ⅲ

 なんやかんやで新入部員が入ってきたらしい。名前は、雪梅 夢と言う名前らしい。なぜ、「~らしい」とまるで自分はあまりわからないという風に話しているかというと、まだ雪梅を一度も見たことがないのだ。もしかしたら、幽霊部員というやつなのだろう。部活に入ってからいきなりサボりだすなんてそんな非常識なことがよくできるもんだよ。椅子に座りボーっとしていると、突然誰かが入って来る音がした。ハッとして後ろを振り返るがそこには何もなかった。雰囲気が雰囲気なだけに怖さが二倍に増す。

「な、なんだよ・・?」

辺りを見ましてみるが何も見あたらない。一体なんだ?ドアだって開いている。確かにさっきまでは閉まっていた。何かがいる気配がする。しかし、どうして誰も来ないんだ?もう他の部の連中も来ていい時間だろ。ていうか早く来てくれ。お願いだから。ビクビクしていると不意に肩をたたかれる。その瞬間、心臓が縮まったような感覚がした。そして、今まで出したこともないような叫び声が腹の奥から出てくる。きっと喉がつぶれてしまっただろう。

 数分後・・・・

 深呼吸し、先ほど肩をたたかれた場所を見るとそこには見たことのない人が立っていた。迷い込んで来たのだろうか。それにしてもどうしてこんなにおびえているのだろうか。・・・・ああそうか、あんなに大声で、しかも目の前で叫ばれたら誰でもおびえるよな。まあ、仕方ない。それにしてもこの子どうしたんだろうか。それにしてもなかなか可愛いなこの子。と、思春期特有の考えを脳内で構成していると、

「あの・・・どうしてそんなにじろじろ見てるんですか?気持ち悪いです。」

突然の発言に声が裏返る。

「い、いや、あの、その、」

ダメだ、言葉がでてこない。どうしたものか。ここで、別に見ていないというとそれも嘘になる。でもじろじろ見てはいないだろ。それに気持ち悪いってそれはそれで酷いじゃないか。確かに見てました。それは否定しない。というかできない。実際見てたんだし。なんて言おうか。悩みに悩んだすえ、たどり着いた返答は

「・・・すみません。」

そう、謝る。それが最善策だと俺の脳内に住む議員たちが導きだした唯一の答えだった。溜息+愚痴が俺を襲うと思っていたが実際のところそうではなかった。

「あ、謝られても私困ります。あの、実は赤月さんが『鷹ノ崎っていたろ。あいつまだお前のことが見えていないっていうか、意識できてないっていうかなんて言えばいいかな。まあとりあえず話しかけてみろって。あ、話しかけるんだったら、何見てんだこの変態!とか言ってやれよ。結構面白いから。』と、ものすごく楽しそうな顔で話してましたよ。」

なるほど。あのやろうか。後で焚火の火種にでもしてやろうか。

「なんだ、分かった。そういうことか。ありがとう。理解できた。」

理解できた。そう、さっきなぜあんな暴言のようなことを言われたのかは理解できた。しかし、新たに理解できないことが増えてしまった。意識できてない?なんのことだ?さっぱり分からない。

「あのさ、さっきの意識できないって赤月の奴が言ってたんだよ・・・・・・な・・・・。」

窓から差し込む光が彼女を照らす。先ほどまでの疑問がやっと理解できた。そう、彼女の膝から下がなかったのだ。どこかで聞いたことがある。幽霊というものには足が生えていない。いや、切断されたようにないという訳ではなく、透けているといったほうが正しい。間違いない、この子は幽霊だ。再び深呼吸をして落ち着かせる。なるほど、だから毎回来ていると月花に言われていたが今まで分からなかったのはそのせいか。幽霊部員だと思って非常識な奴だと言って悪かった。

「俺は、鷹ノ崎 優。よろしくな。」

「私は、雪梅 夢。幽霊部員です。」

彼女はにこっと笑った。やっぱり幽霊部員じゃねえか。

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