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赤マントさんⅢ

だんだん暖かくなってきたと思ってたら雪降ってきました。(笑)

阪峰に連れてこられ、南側の廃校舎に向かう。夕暮れの中。こんな状況でこんなボロい建物に連れて行かれるって…それは、もう、たまらないというか、なんといいますか。まあ、そんな期待は泡のようにはじけて消えてしまって連れてこられたのは『おかるとけんきゅーぶ』なんでひらがななんだよ、可愛くしたつもりか。ドアを開け、無理矢理いれられた。

「部員、連れてきたよ。」

「え?」

どういうことでしょうか。わたくしにはさっぱり状況が理解出来ません。頭の治し方を教えてくれるって言ったじゃないか。嘘つき!阪峰の嘘つき!騙したな!この詐欺師め!

「おお、どういう魔法使ったの?ハニートラップ?阪峰もなかなかだね。で、この子誰?」

そこには妙に騒がしい小さめの少女がいた。

「ハニートラップだなんて。そんな。私には、そんな。」

誰だ。こいつは。なぜ照れてる?あれ?こういうキャラだったっけ?

「ところで、そこの君は誰なんだ?」

「あ、僕ですか?僕は赤月って言います。意味も分からず連れてこられたのですが、一体ここはどこなのでしょうか?おかるとけんきゅうぶがという名目で人気のない建物を占拠し、かつての加害者を集団リンチしようということですか。なるほど、興奮します。」

「いや、別にそういう訳じゃないよ。えっ、そうなの阪峰。」

「ち、違うよ。ただ単に月花が部員がいないいないって言っていたからたまたま廊下にいた赤月を連れてきたというかなんというか。」

「ちょっと待って下さいよ阪峰さん。それって、もしもその時廊下に会っていたのが私、赤月でなくとも連れてきたという訳ですか?なんですかそれは?誰でも良かったんですか?むしゃくしゃした犯罪者ですか?」

「違う。違う。違う!そんなんじゃない。私は赤月じゃなきゃ連れてこなかった!赤月じゃないと贄は務まらないの。」

「え?贄?なんの話?ちょっと怖いし。」

「君、確か赤月君っていったっけ?」

「あっ、はい。」

「その敬語みたいなの止めなよ。同級生じゃないか。しかも同じクラスだよ。」

「・・・あのさ、贄ってなんなんだよ。いきなりそんなこと言われても怖えだろ。しかも人気のないこの校舎でそんなことを言われたらもう駄目だよ。条件そろちゃってるよ。洒落にならないよ。」

「ごめん、赤月君。そのことなんだけさ。忘れてもらってもいいかな。」

「え?なんで?」

「恥ずかしいから。私何で今言っちゃったんだろう。」

阪峰の顔が赤く染まり上がり、目にはうっすら涙が浮かんでいた。彼女が一体全体何を僕に伝えたかったのかは分からないがとにかくとてつもなく恥ずかしいことであることは瞬時に理解した。フォローをしなければならないとは思ったが、「贄」という一つの単語の持つ破壊力は容易に僕の心を乱れさせるには十分だった。不気味な廃校舎のこの部屋で「贄」になってほしいなんて言われてしあえばそれはもう死を意味する以外なにがあるだろうか。目がマジだし。それとも「贄」という言葉は何かの比喩なのか?・・・駄目だ。思い付かない。記憶の海にボートを浮かべたが荒波にもまれてどこかへ行ってしまった。

「話を進めてもいいかな、阪峰。そういうのは私のいないところでやってくれ。」

「うん、御免ね。」

「で、本題に入るんだけどさ、君は”赤き衣を纏いし者たち”って知ってる?」

「知らないけど。」

「まあ、知らないのも無理もないか。マイナーな都市伝説だし。簡単に説明すると、深夜2時の誰もが寝静まったころに突然現れるの。片倉文具店ってあるでしょ。」

「うん。知ってる町の一番端の文具店ですよね。人通りも少なくて薄気味悪い。」

「そう、そこ。そこに出るらしいの赤き衣を纏い者たちが。で、今週の金曜にみんなで行こうって話なの。進入部員のあんたももちろん参加するよね。」

話がよく分からないがとりあえず着いて行ってみようと思った。

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