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唐突な来訪

透明で液体なその形が人へと変わっていく。一般男性と同じ顔をしていた。その眼差しは無機質で、ぞっとするものを感じさせたがその肉体はなかなかの美しさをしていた。細マッチョな体型を舐めるように見ていると透明君は睨んできた。慌てて目を逸らすしたが、この微妙な沈黙は忘れられないだろう。そのまま口を開きだす。

「お前は別なんだな。いや、お前らというべきなのか。」

俺は首を傾げる。腹に置かれた毛布を動かし、床へ落とす。足をだらりと下げると眠気眼で透明のそいつを見る。俺の突然の動作に驚いたのか、相手は半歩距離をとる。

「私たちは一時的に鷹崎を預かっている。お前にはこれを打ち明けても問題はなさそうだな。」

男の発言は理解できなかった。急すぎる情報に戸惑う。鷹崎を殺したのがこいつらということで良さそうだ。わざわざ俺の家に来てまで言うことなのだろうか。考えてみれば分かることだ。ボス格の月花の元へ行くのが普通といえる。暇なのか。それとももう既に月花とは会って話をつけているのか。そんな疑問を考えるほど心に余裕が生まれていた。簡単な話だ。聞けばいい。何故俺なのか。ここに来た理由。それだけが重要だ。

「預かっている?それって、どういう意味?」

男は微笑をしながら俺の顔に近づく。

「赤月。お前の名前だろう。」

「どこで俺の名前を?」

「そんなことはどうでもいい。鷹崎の話の方が重要なのだろう。そして、何故ここに来た理由と。」

俺は首をふる。

「いや、そんなことはどうでもいい。どこで俺の名前を知ったんだ?」

「えっ。」

「俺の名前を知っていることは俺の情報を明け渡した奴がいるはずだ。そいつは誰だ。赤のあいつか、それとも他の奴か?超能力とか言っているとてめえのそのドロドロとした体を吹き飛ばしてやるよ。」

「いや、その、それは。」

右腕を握り男を睨む。

「どうした、ビビっているのか。」

「どうしたってのはこっちのセリフなんだけど。」

「まあ、いいだろう。今回は許してやろう。で、どこから俺の名前を知ったんだ?」

「それはこの頭にある最高峰のあれがそうなってこれがあれなんだ。正直よく分からない。」

「そうか。なるほどそれで俺の名前がばれたということか。鷹崎をさらったのはなぜだ。」

男の透明な体の中に大量のミミズのような物が蠢き始めた。気持ちが悪い。

「鷹崎をさらった理由か。それは簡単だったからだ。この街ではおそらく一番弱い。むしろ何故あのような者がこの街で生き続けられたのかも不思議でたまらないのだよ。」

「簡単だった?弱い?一体なんの話だ。しかも、なんで俺なんだ。」

「貴様だけが全てを変えられるのだよ。貴様は保護対象だということが我々は判断した。お前は死んではならない。それを忘れるなよ。」

透明な男は霧のようにその場から消えた。後に残された俺は、しばらく先ほどまで男の立っていた空間を眺めていた。突然の出来事に頭を痛めた。もう一回寝ようと決めた。


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