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赤マントさんⅡ

下校のチャイムが鳴る。校庭から響いて聞こえてくる運動部の方々の声。今日も頑張ってますね。そういう俺は何をしているかというと教室に一人残ってお勉強・・・という訳ではない。俺はそこまで真面目な人間ではない。何をしているのかというと、好きな女の子の席に座ってそれはもう変態的なことを考えながらそれはもう悶々と・・・やめようか。こんなところを誰かに見られてしまったら俺は社会的に抹殺されてしまうだろう。と思うのが普通のごく一般的かつ模範的な人間だ。俺は違う。一か月前のリコーダー事件の時に俺の立ち位置はさよならバイバイではるか彼方宇宙の先の方に飛んで行ってしまった。というか元からなかったようなものだからあまり変わらなかったのだけれど少しは傷ついた。妄想も飽きてきたので席を立ちあがり教室をでた。あたりはすっかり夕焼け色だ。校内にいるのは自分ひとり。周りには誰もいない。前後左右もれなく確認する。俺は一つ台詞を放った。

「ピンピンピラリラピルピルピピピ!校庭のみんなは長ネギになーれ!」

突如、声が聞こえた。

「あなた、何やってるの?」

「だ、誰だ?」

動揺しながら俺は言う。おかしい。誰もいないはず。もし誰かが近づいてきたのなら足音でわかるはず。

「ど、どこにいるんだ!」

前後左右どこにもいない。まさか・・・

「上。」

そうか、上か。見落としていた。前後左右を確認していたとしても見落とすはずだ。しかし、この声に聞き覚えがある。嫌な予感がした。恐る恐る上をみる。そう、彼女だ。阪峰 さゆりだ。リコーダー事件の被害者。マイファーストレディー。

「ど、どうも。こんにちは。」

彼女が地面に舞い降りる。こちらをにらんでる。理由は分からないこともない。

「説明してくれる?」

「リコーダー事件のことですか?」

「違う!その事件のことはもう忘れて。」

「はあ・・・では一体なんの御用で?」

「なんで敬語?同級生でしょ。普通に話して気持ち悪い。」

「ありがとうございます。できればもう一度。」

「うるさいよ、あなた。次敬語使ったらビンタするよ。」

「なるほど。了解いたしました。それでは、一体なんの御y」

バシンッ!

音が廊下中に響きわたる。痛みはかなりあった。屈辱的な気持ちを凌駕するもうひとつの感情が芽生えた。

そう快感だ。なにこれもの凄い最高なんだけど。

「どう、効いた。」

「はい、ありがとうございます。できれば、右頬もやっていただけないでしょうか。できればグーで。」

「えっ。」

「ですから、グーで。さあ、どうぞ。」

困惑する彼女がいる。見ていてかわいい。そうこれが俺はみたかったのだ。困惑して変態を見るような目で見られる。これに勝る快感がこの世に存在するだろうか。いや、ない。

「なんなの、あなた。さっきの意味不明な呪文もそうだけど頭がおかしいの?」

何を言っているんだろうこの子は?頭がおかしいかだって?そんなわけがない。それをおかしいと思う彼女の方がおかしいのではないのだろうか。

「君はどう思う?」

「頭がおかしいと思う。」

「そうですか。なるほど。やはりそうでしたか。いや、最近思ってたんだもしかしたら俺の頭はおかしいのかもしれないと。」

「なんだ、自覚あるんゃない。だったら、治すように努力しなさいよ。」

「治すように努力しろって…そんなこと言われても分かんないよ。」

「だったら…私が教えてあげるよ。」

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