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日々の中で

時計が回ってチャイムが鳴る。授業が始まって終わる。繰り返しの毎日。どこからか爆弾が転がってきて、事件発生。テロリストが学校を占拠。気になるあの娘が捕まって、救い出したらヒーローに。なんてのは全て妄想。くだらない。窓の外にはいつも通りの日差しが頬を照らしていた。雲の隙間から見る景色とはさぞ心地の良いものであろう、空を飛ぶ鳥を眺めてそう思う。ふと思いついたように手を挙げる。不思議そうに眺める先生に「気分が悪いので」と言い、席を立つ。特に調子が悪いわけではない、ただなんとなくだ。

 廊下の窓から見える景色にはずれはない。右目に映った旧校舎は薄暗く映っていた。いつも集まっている部屋はどこだろうと探す。少しの間見ていると見覚えのある椅子があった。間違いない。あの部屋だ。そこで何かおかしいことに気づく。今は授業中。あそこには誰も入ることはないはずだ。だが、そこに見える人影はどう見ても月花だった。あいつもずる休みしているのか。保健室へと運んでいた足を止め、旧校舎へとむかう。その足取りは軽いようにも思えた。 

 軋む床を歩きながらいつものあの部屋に行く。以前は割れていなかったはずの窓が破片となって地面に散らばっていた。外から誰か入ってきたのだろうか。それにしても強引なやりかただ。普通に玄関から入ればいいものをなぜ窓から入ろうと思ったのか。頭が悪いのか、かっこつけたかったのか。そんなことは気にする必要はないと簡単に脳で処理をして破片に気をつけて前に進む。

 いつも通り斜めのままの「オカルト研究会」と書かれた看板をまっすぐに持ち上げると部屋の中に入る。

「月花、なにしてんだ?」

赤月が出した声に反応して、月花の体が動きだす。

「見て分からないのか、さぼってるんだ。」

「授業でないと卒業できないぞ。」

月花は花で笑う。

「卒業した後があれば、だけどな。」

月花の言葉が理解できず、赤月は首を横にする。

「どういうことだ。」

「いずれ分かる。」

月花は満足気な笑みを浮かべた。単純に何も考えていないのだろうと赤月は思った。

「そうか。」

諦めた表情で体を横にする。その時、途中みつけたガラスの破片が頭をよぎった。

「そういえば、月花。」

月花の顔を見る。彼女は一体何をしているのか疑問に思った。ずっと一点を見つめたまま一つも体を動かしていない。

「月花?」

やはり、彼女は顔を動かさないまま、

「なんだ?」

と答えた。誰を見つめているのだろうか。視線の先にはぼろくて今にも崩れそうな木の壁があるだけだった。

「何を見てるんだ?」

月花はにやりと笑った。

「ここに来る時、窓が割れていなかったか?」

「割れてた、というかそれを今聞こうとしていた。」

「その犯人がそこにいるんだよ。目を離せば逃げられる。」

赤月は訳が分からなくなった。何もない空間を見つめ、そこには何かがいるといっている目の前にいるこの少女は手遅れなのではないかと思った。

「そろそろ正体を見せたらどうだ?」

そういうと、空間が一瞬歪み人の形が現れた。先ほどの考えは否定しよう。

「君は誰だ?私の領地に入ってくるとはね。宣戦布告か?」

人の形をしたそいつはわずかな笑みを浮かべた。

「今回は交渉をしにきた。」

「そうか。」

月花は余裕の表情を浮かべた。この人は思っていたよりすごい人なのかもしれない。


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