赤マントさんⅤ
期末テストが終わり、連日の徹夜地獄から解放され部室へ向かう。ガラリとドアを開け、開け、開け……おかしい。開かない。どうしてだ。まさかまだ誰も来ていないのか。
「はぁ…。なんで誰もいないんだ……。」
そう呟き、だらりとその場に腰を下ろした。そして、そのまま眠ってしまった。
誰かの声が聞こえる。誰だ?ぼやけた視界の中に人影が映ったような気がした。どこかで見たことあるような。目が慣れくると、辺りの状況が分かってきた。目の前にいたのはニヤニヤと不気味な笑みを浮かべたあの時の通り魔だった。
「な、なんでお前がここにいる…?」
「やっと気づいたか。なかなか目を覚まさないからびっくりしたよ。」
そいつはカカッと笑うと表情を豹変させた。
「ちょっと聞きたいことがあってね。この前の雪梅の件があって何か思い出したか?」
「は?何言っているんだ?どうして雪梅のことを知ってるんだ?」
「やっぱり思い出してないか。まあ、仕方ないな。」
「お前は一体なんなんだ?教えろよ!」
「君が全てを思い出したらきっと私のことも思い出すだろうね。」
「どういう…ことだ?」
「また来るよ。それじゃ。」
「お、おい待てって。」
追いかけようとしたが、体が動かずそのまま意識を失ってしまった。
「……い」
誰かの声が聞こえる。
「……ろって。」
誰だ?その瞬間、頬に痛みが走った。驚いて辺りを見渡すとそこには月花がいた。
「何してんだ?こんなところで?」
「ちょっとうとうとしててな。そういえば、ここに来る途中に人を見なかったか?フードをかぶった妙に不気味なやつなんだが。」
そう聴くと、「さぁ、知らんな。」と引きつった顔で返事をした。その理由をきこうかどうか迷ったがやめておいた。
「ところで、鍵は持ってきたか?」
「鍵?何を言ってるんだ?ここの校舎には鍵なんてないぞ。まったく、寝ぼけているんじゃないのか。」
呆れた顔でドアに手をかけ開けようとした月花だったが、びくともしなかった。
「なんでだろう?おかしいな。もう古いから開かなくなったんだろう。ちょっと離れてろ。」
月花はドアから少し離れるとそう言った。・・・何をするきなんだろう?そうはいってもだいたい予想はできている。次の瞬間、ドアは吹き飛ばされた。
「よし開いたぞー。ハッハッハ。フハハハハハ。」
月花がいつも以上に怖い。いや、もともとこうなのかもしれない。
無残に吹き飛んだドアの向こう側にはいつもの教室だった。あとの二人が来るまで待っていたが、結局二人は来なかった。多分忘れているのだろう。きっと二人とも徹夜地獄だったんだ。今日は休ませてあげよう。
帰宅時間になり、月花とともに学校を出た。
「そういえば最近、変な夢を見るんだよね〜。」
「変な夢?それってどんなの?」
「なんか、赤いマントの男がなんかブツブツ呟いてるっていうかなんていうか。」
「なんだよそれ。気持ち悪い。」
「何回か見た時にようやくなんて言ってるのか分かったんだ。『いない。いない。』って言いながらずっとブツブツブツブツ呟いてるんだよね。」
「怖いこと言うなって。」
「あれー、もしかしてこういう怖い話とか苦手なのかな〜。」
「いや、別に苦手じゃないんだけどちょっと心あたりがあるっていうか。」
「まさかお前も…その夢を!」
「見てないよ。見てないから。」
「見てないのかーそうかー。」
「ただ、その赤マントってところになにか引っかかることはないか?
「赤マント?…………………あっ‼︎都市伝説の‼︎…………いや、そんなまさかな……。」
「ちょっと調べてみるか?」
「どうやって?」
「覚えていないのか?あの森に行くんだよ。」




