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お出迎え

「なるほど。そういうことか。お前も大変だったんだな。」

月花がそういって雪梅の肩をたたいた。

「まあ、詳しい話はご本人に聞こうか。」

月花は突如後ろを振り返った。するとその場所の空気が裂け始めた。そしてその中から出てきた男をにらみつけた。俺と鷹ノ崎と小鳥遊は口をポカンと開けたまま状況を理解しようとしていた。だがまったく分からない。いつそこにいたのか、そして誰なのかさっぱり分からなかった。

「おいおい、そんな目で見るなよ。別に危害は加えなんかしたりしないさ。安心しろ。」

「なんで、あなたが・・・」

男は雪梅にそっと近づき、手を取った。男は雪梅にささやくように言った。

「あの時は本当にすまなかった。ああするしかなかったんだ。許してほしいなんてそんなわがままなことは言わない。それだけを言いに来た。」

男はそれだけ言って立ち去ろうとした。





「待って!」




雪梅の叫び声があたり一面に響く。




「それだけ?ほんとうにそれだけ?私は、私は・・・謝ってほしい訳じゃない!ごめんなさいとか、そんな言葉なんて欲してない!そんな言葉じゃなくて、私を、私を、もう一度旅に連れてってよ!」

息を荒げながら雪梅は言った。男は目を見開き、

「いいのか。俺はお前を一度殺したんだぞ。それでもいいのか。許してくれるのか。」

「いいに決まってるじゃない。許す。私は、あなたとまた会えただけで許す気でいた。確かにあの時はあなたを恨んだ。どうして殺したのかって。でもね、幽霊になって数年間一人で過ごしていたら、あなたに会いたいなってそう思ったんだ。だから、もう離れたくない。これからも喧嘩もするかもしれないけど、仲が悪くなるかもしれないけど、これからもずっと一緒にいてよ!」

「ああ、当たり前だ。ずっと一緒にいる。何があろうとも。」

男は彼女の手をひいて、自分の出てきた裂け目に入って行った。その先に何があるのか分からないが、雪梅は満面の笑みでいた。俺たちはその二人を見送った。それぐらいしかできなかった。他にかける言葉もない。ただの傍観者でいることしかできなかった。そして、俺たちはバスに乗り、それぞれの自宅に帰った。帰りのバスは静かで、言葉を発する者は一人もいなかった。


 そして、翌日。

 

 部室のドアを開けると、月花が座って本を読んでいた。「よっ。」と声をかけると「おぅ。」と帰ってきた。そして、

「部室の机に置いてあったんだが・・・」

といって一枚の写真がおいてあった。その写真には見覚えのあるあの顔。雪梅とあの男の幸せそうな笑顔がそこにあった。

「幸せそうだな。」

「ああ、そうだな。」

「お前はどうして泣いてるんだ?」

知らぬまに涙を流していた。そういった月花を見ると目のあたりに涙の粒があった。

「月花だって泣いてるじゃないか。」

「えっ!」

といって顔を赤くした。

「たまにはいいんじゃないのか。こうやって人の幸せになっていくのをみて涙を流すのも。」

「そうだな。」

二人流すだけの涙を流し、あとの二人を待った。

 ガラララララ・・・ドアが開く。

「おっくれてすっみませーーん。」

「騒がしくてすみません。」

残る部員がそろった。

「さて、そろそろ始めるか。」


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