旅の誘い
雪梅の過去を書いてみました。多少謎の日本語が含まれており、読みづらいかもしれませんがご了承ください。
ああ、いやだな。こんな生活今にも抜け出したい。
対してこれといって不幸なことが起きたわけでもない。だけどこれといって楽しいこともない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私、なんのために生きているんだろう。
これからが人生だってという人もいるけど、そういっている人も私と同じような心境なんだろう。
なんとなく生きている。なにかのためだとか、これが私の生きかただというものすらないのだろう。家は嫌いだ。家に帰ったところでいいことなど何ひとつない。しかし、悪いことも何もない。だから、今のところはこの崖の木に寄りかかってイヤホンから流れてくる音楽を聴いている。そして、日が落ちれば家に帰る。そんな生活の毎日。どうしたらいいのだろうか。どうもできないのだろうか。主人公になれない脇役がどうなろうと誰も知ったことではないだろうし。
「はぁ、退屈だなぁ。なにかないかなぁ。」
そうぼやいたって仕方ない。なにか行動を起こさないと何も変わらない。だけど何もできない。なにか行動しようとしてもこの体が重くなって何もかも邪魔してくるんだ。あたりを夕闇がむさぼり始め、帰ろうと立ち上がろうとした。すると、どこからか
「君、なにか悩みでもあるのかい?なんなら話だけでも聞いてあげるよ。」
声の主を探そうと左右に首をふる。
「ここだよ、君の上。」
はっとして、上を見る。そこにはパーカーを着た青年がそこに座っていた。青年は鋭くきらめく犬歯を見せるようににっこり笑った。
「あ、あなたは誰?」
「僕は・・そのなんて言ったらいいかな。ただの通りすがりの人だよ。さ、悩んでることを話してみてよ。」
「聴いてくれるんですか。」
「ああ、構わないよ。」
そういわれると私の口は勝手に喋り始めた。私の意志を無視して。だけど、悪い気はしなかった。背負ってた荷物が一つなくなったように体が軽くなった。今まで感じていたあのもやもやとした感覚はどこにいったのだろうか。そう思えるほど私は彼に自分の心の悩みを語っていた。
「そうか、今のふつうの生活。変わらない生活が嫌なのか。それだったら、いい話がある。」
「いい話?」
「ああ。僕と一緒にくればいい。」
「一緒にってどこにですか。」
「とにかく歩いて、いろんなとこを見に行くんだ。まだ目的地もなにも見つかってないんだ。どうだい、こんなノープランな旅だけど僕と一緒についてこないかい?」
終わりのない旅か。そんな曖昧なことでもなんでもいい。早くこの退屈すぎる日々をどうにかしたかった。ただそれだけを考えて生きていた。今思えばバカなことだと思った。なんでそんなことを考えていたのだろう。ほんとに馬鹿らしい。でも、あの時の現状から救いだしてくれる、ただそれだけで王子様か何かに見えたのだろう。ほんとにアホらしい。
「分かりました。私を連れってってくれませんか。どうか、こんな毎日嫌なんです。お願いします。」
「分かった。そういえば名前を聞いてなかったね。君の名前は?」
「私は、雪梅 夢って言います。」
名前を言った瞬間青年の目の色が変わった。雰囲気が変わったというわけではない。始めから不思議な空気を身にまとっていたが、まさかここまでとは思わなかった。目の色がまるっきり変わったのだ。透き通るほどきれいな白色に。
「いい名前だね。」
彼はそういうと私の頭に手をおいた。
「これから、よろしくね。」
彼はそういって笑った。
「さて、旅のメンバーも決まったしそろそろ行くとするか。」
「えっ、今からですか?服とかなにも準備して・・・」
「大丈夫だよ、必要ないよ。」
「必要ないってどういうことですか。」
「まあ、ついて来ればわかるさ。簡単に説明すると今から行くところは時間の概念がない。だから、ものが腐ることも腹が減ることもない。もちろん眠たくなることも死ぬこともない。やっぱりやめる?」
「とんでもない、行かせてください。」
「そうかい。分かったよ。それじゃあ、扉を開くよ。」
彼はそういうと地面を一度殴った。すると地面に人ひとり分の穴が開いた。唖然として見ていると彼は、手を差し伸べたきた。
「さあ、行こうか。無限の旅に。」
そして、私の意識は遠くなった。
目が覚めると横に彼がいた。どうやら私は長い間気を失っていたらしい。あたりはもう朝だ。
「おはよう。初めてだから誰でもこうなるよ。仕方ないって。」
「そうなんですか。それでここは?」
「なんて言えばいいかな。むこう側、つまり君たちのいる世界でいう魔界のようなところかな。まあ、安心して何も起きないから。大丈夫だって。それじゃあそろそろ行こうか。」
そして私たちの旅は始まった。空に浮かぶ島。海にある森。花で出来た山。どれもこれも綺麗だった。前に住んでいた世界とはまるで違った。このままずっとこの旅は続くと思っていた。だけど誰かが言ったように一度始まったものは必ず終わりを迎える。それこそ仕方のないことだ。ある日突然彼は私のいた世界に戻ると言い出した。一体どうしたものかとは思ったが彼のいうことだし、信じてみようと思った。言われるがままに彼についていくとそこには赤いマントの赤いマントを羽織った謎の男と女が立っていた。
「言われた通り連れて来たな。さて始めるか。」
すると彼は懇願するように赤マントにすがりつきながら
「なあ、ほんとにしなくちゃいけないのか?こんなことしても意味ないだろ。ちゃんと理由を説明してくれよ。訳が分からない。」
普段めったに泣かない彼が尋常じゃないほどの量の涙を流していた。何が起こるのだろう。私は妙に嫌な予感がした。なんだろうこの感覚。今まで感じたことがないほどの恐怖感。気づくと足が震えている。彼が私をギュッと抱きしめた。
「ごめんね。」
彼は突然そういった。
「初めは演技だったんだ。君に信頼されないといけない。そういう任務だった。でもね。どうしてだろうか。君のことがとても好きになってしまったんだ。ほんとに、ほんとに・・・・ごめんね。」
その言葉を聴き終わると私の体は破裂した。肉という肉が、血という血が、内臓という内臓が、あたり一面に飛び散った。痛くはなかった。だけど辛かった。あの人に会えない。そう思うととても胸が苦しくなった。嫌だな。死にたくない。あの人にまだ私の想いは届けられてない。嫌だ、嫌だまたあの人に会いたい。お願い神様、私をあの人にまた会えるようにしてよ。お願いします。真っ暗な世界で一人必死に願っていた。すると周りがやけに明るくなり、ついに、なにも見えなくなった。そして、再び視界が見えるようになると前にいたあの場所、私たちがであったあの木の下、そして私が死んだあの場所。そこにまた現れた。夢かと思いつねってみた。痛い。どうやらほんとのことらしい。いや、今までが全部が夢であったのだろうと頭の中でそう整理してみみると、なんだか馬鹿バカしくなってうなだれて、下を向く。しかし、その瞬間きずいた。あれは夢じゃない。そう裏付ける証拠が今目の前に存在した。いや、存在したという言い方はおかしい。証拠ではあるがこういう場合は存在するというよりそれがないことで証明できるといったほうが正しいだろう。しかし今はそんなことどうでもいい。そう、その証拠というものは足が見当たらないのだどこにもない。おまけに体が透けている。どうやら幽霊というオカルト的な存在になってしまったようである。
幽霊になって数年後、なにもすることがなくて遠くをぼんやり眺めていると一人の人が現れた。それは少年のようだった。なにげなく見ているとその青年はどこか見たことがある。そう、あの人だ。あの人にとても良く似ている。知らずのうちに涙が出ていた。一緒にいたい。もう別れたくない。そう思うと一心不乱に駆け出していた。足は地面についていないせいか、体が軽く感じた。あとちょっとで、彼に追いつくあともう少し・・・・・あと少し・・・・・・・・
・・・・そして、私の記憶はどこかに行った。あなたのことも忘れてしまった。ただ、覚えていたのは私を抱きしめてくれたあの木の生えた崖のことだけだった。あれ?あそこの木はなんて木だったっけ?赤かったような気がする。そうか、多分梅の木だ。そういうことにしておこう。青年にとり憑いたのはいいがこれからどうしようか。果たしてこの空っぽな感覚をどうにかすることはできるのだろうか。まあ、あとは運に任せよう。時が来たら動けばいい。
少女にとり憑いて数日後、少女はオカルト研究部なるものに入部した。その中にどうやら私を見ることができる人間がいるみたいだ。そおうだ、だったらあの木に帰るために少しだけ手伝ってもらおう。そうすればこのなにかがなくなった、大事なものをなくしたような気持ちの悪い感覚はなくなってくれるだろう。




