海の梅
平日なのに休みがあるそれが中高生にとってどれだけ嬉しいことだろうか。集合場所である公園のベンチに腰掛け遅れている鷹ノ崎を待っていた。どうやら寝坊していたらしい。幼馴染の小鳥遊がメールがきたと先ほど言っていた。10分遅れてやってきた鷹ノ崎に対して小鳥遊による説教があり、結局予定の時間より20分遅れてしまった。でも、あまり気にならなかった。この苛立ちを覚えるくらいの暑さを少しでも紛らわせてくれるのであれば、それが遅刻だろうと説教だろうとありがたいものだった。
「よし。全員そろったか。そろそろ行くぞ。あれ、雪梅は?」
月花がそういうと、木陰のあるベンチでうとうとしていた。
「なにやってんだあいつ。」
そうボソッとぼやくと、
「見てわかんないの?眠っているでしょうが。」
とグサッと刺さるような声で言われる。
「う、うん。」
そう言うしかできなかった。月花が駆け寄り、鼻をつまむと「うわ」と声を漏らして目を覚ました。というかなんか可愛かった。
「なにするんですか!急に花をつまままないでくださいよ。びっくりするじゃないですか。」
「いや、寝てるんでつい。」
と言ってもう一度鼻をつまむ。
「だから、痛いですってば~。やめてくださいよ~。」
なんかすごいかわいい。お願いもうちょっとやってください。雪梅ほんとゴメン。と心の中で楽しんでいる。そして、鷹ノ崎の方をみると顔がニヤついている。
「部長さん、早く行こうよ。」
誰もどうしようもないこの状況を見事に打ち破ったのは小鳥遊だった。
「ん?すまないな。よし、それじゃあ行くぞ。ついてこい。」
始めからいろいろありなかなか始まらなかったが集合から30分後、ようやく部活が始まった。
バスに乗り、目的地にむかうこと約30分。途中雪梅は何人と数えるのか議論になったが結局数えないことにしてバスを降りた。
「季節はずれの海も悪くないな。」
と俺は潮の香りのする海を眺めながらそう言った。
「別に泳ぐわけじゃないぞ。」
「そうだったな。」
分かってるから言わないで。心の中でそう思ったが、声には出さなかった。別に出して言ってもいいが特にどうでもよかった。砂浜におりて、月花が別れて行動しようと提案した。俺と雪梅、鷹ノ崎と小鳥遊、月花はこういうことは一人でやりたいということでそれぞれ別行動になった。そして、なにかあったら連絡するようにと、それぞれの連絡先を交換した。
「それじゃあ、捜索開始!」
その言葉を合図に梅の木探しは開始した。
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照りつける太陽の下を雪梅と二人ならんで歩いている。枯れた木が一本ある崖に立ち、下を見下ろしている。
「ありがとうございます。いろいろ手伝っていただいて。」
「構わないよ。そんな悪い気はしないし。それにものを頼まれるのって嬉しいし。」
「今更なんですが、なんとなく梅の木じゃないような気がしてきました。」
「えっ。お前、今なんて言った?」
何を急にこいつは唐突なことを言っているんだ。訳が分からない。なんだ、今更すぎる。
「多分見つからないと思います。だってあれは梅の木ではないのですから。今ここに来たときすべてを思い出しました。私が死んだときの記憶を。みなさんを呼んでください。」俺は、携帯電話を取り出し、全員に連絡をした。「もう、見つかった」と。
誰の目線で書いていこうかと毎回悩んでいます。多分ここからはほとんど赤月目線で書いていく予定です。




