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不在証明様の御題を拝借しています。


○不在証明/一糸様

http://fluid.hiho.jp/ap/

 


スクリーン越しに涙、涙


トゥの小さな点が舞う、

天に見立てた踊りに涙、涙


触れず触れる、

触れ触れず、

En dedansの世界観


悲劇の舞いに涙、涙


チュチュの裾が舞い泳ぐ、

適わない恋に涙、涙


見慣れない地に見慣れぬ空に、

En dehors の理想を添えて いつか


pirouette を舞う pierrot が

Pas de chat を踏むような


夢を求めて舞っている



―――――――――――――――――――――――――――

アン・ドゥ・トロワで恋に落ちよう






諦めたのです

諦めたのです


綺麗になること

清楚でいること


諦めたのです

諦めたのです


静かにあること

あなたの理想になることは


諦めたのです

諦めたのです


綺麗事で着飾った殻を脱ぎ捨てて


ウェディング・チャペルに背を向けて


諦めたのです

あなたの人形になることを

“あなたの”私になることを



これから私は


ただの“私”を生きていくのです


――――――――――――――――――

純白のドレスはもう要らない






塗り固められた黒い斑の


影のような塀の前に僕は佇む


誰かがひとつ嘘を付くたび


重ねられた黒


誰かがひとつ罵るたびに


重ねられる黒


誰も彼もが他人を貶し


誰も彼もが言い訳をして


誰も彼もが罪から逃げる


そのたびに


重ねられる 黒


 黒


 黒




やがて世界は崩壊して


どろどろとしたもので塀が埋まる


誰か悲劇に気付くだろうか




無恥の哀れ


無知の幸福


――――――――――――――――――

これが最後の天国






月を慕った

銀色に瞬く下弦の月を


星を慕った

降り注ぐ光の涙を


風を慕った

異国の闇の抱えた匂いを


雲を慕った

暗色に紛れて揺らめく海を


空を慕った

広く遠く開け放つ窓を



夜を慕った

闇を慕った


微かな罪を覆い隠す深き天鵞絨



あぁ


あぁ


あぁ



愛した夜が明ける


願わくば再び相見えるまで


哀れな死者を隠さんことを


――――――――――――――――――

愛した夜が開ける 






聖女は祭壇へと跪き、清楚な白い衣を汚す。

掲げられた墓標に祈り、無垢な眸を伏せ、そして。

組み合わされた手のひらの中、潰えた世界の終焉を祈る。

――――――――――――――――――

祈りの両手に閉じ込めた終焉


 

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