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不在証明様の御題を拝借しています。
○不在証明/一糸様
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傲慢な女の鼻っつら。
折っても折っても、折っても折っても。
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何度でも何度でも何度でも再生
ベッドを調え、戸棚を整理する。
暖炉に火をくべ、薪を並べ、そして廃屋を出る。
それが、彼の一日の仕事。
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名もない旅人が凍えないように
その小鳥は唄うことが仕事だった。
童話のフレーズを奏でると、主人である幼い少年は、声を上げて喜んだ。
小鳥は幼子の笑い声が大好きで、何度も何度も、飽きるほどに繰り返し唄った。
メロディは主人を喜ばせるだけでなく、哀しみを慰めたり、子守唄になったり、時には主人へ愛の歌にもなった。
主人はやがて成長し、大人になり、小鳥の囀りを耳にする回数はめっきり減った。
それでも時折、小鳥を抱き、その囀りに耳を澄ませた。
けれど今、小鳥は金属の塊を目の前に見上げていた。
轟くような、低く激しい音を立てて、その化け物はさまざまな物を踏み潰していく。
怪物は大きな足で、捨てられた物をプレスし、ただの塊にする役目を持っていたのだ。
小鳥の小さな囀りも、轟音に掻き消されてどこにも届かない。
主人の居ぬ間に、主人の妻が、小鳥をゴミ箱に棄てただのだった。
怪物の足を真上に見上げ、小鳥は主人に会えないことを寂しく思った。
そして、小鳥のハミングは聞こえなくなった。
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スクラップ・バードのハミング
土に臥す彼の亡骸を、知る者は無い。
やがて肉が朽ち骨が乾き、大地の一部と化したとしても。
けれど彼の腐肉から芽吹いた花は、人々の目を和ませよう。
糧となった肉体は、その花だけが知っている。
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失われた体温から芽吹く春
魔王は懺悔し勇者は剣を鍬に変え。
破壊も混沌も無に帰して、痩せた土地を耕すだろうか。
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「なんとなく」で終わる世界なら