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不在証明様の御題を拝借しています。


○不在証明/一糸様

http://fluid.hiho.jp/ap/

 


清楚なドレスに髪を撫でつけて、布の靴で足を包む。

白いテーブルクロスの中央に、レース編みを敷いてその上に花瓶を。

美しい菊を生けてカーテンを開き、窓を開け放って外へ。

靴を揃えて床に置き、テラスの柵の上に立って。

あとは、遙か下方に広がる絶壁と大海に、躊躇いなく飛び降りるだけ。


――――――――――――――――――

無垢に生きると誓うなら






そうね、キスのひとつでもしてみようかしらと。

彼女は楽しげに笑い、彼は眉を寄せて不快感を露わにする。

だって、どうせ同じ空気を吸うのでしょうと。

触れた唇の感触を、彼は今でも憶えている。


――――――――――――――――――

同じ呼吸で生きるなら






神の御加護をと告げられた彼は、

渡された十字架に困惑の色を隠せずに。

けれども穏やかな容貌の初老のシスターは、他にも多々、道行く人々に十字架を配る。


彼はなんとはなしにそれをポケットへと入れ、再び歩き出す。

彼にとって祈りは祈りではなく、懺悔などと縁遠い話。

それでも彼は、ポケットの中で十字架を握る。

なんの効力もなかったけれど、彼女の穏やかな気質が染み込んでいる、気がした。


――――――――――――――――――

祈りと懺悔のイルミネーション


吸血鬼に十字架は効かないが、

尼僧の願いは届くだろうか。






触れた掌はすぐに離れ、彼女は背を向けた。

じんじんと、震えるような熱を持っていたことは憶えているのに、

彼は何故だか、彼女の温もりを思い出せずにいる。


――――――――――――――――――

温もりもそこそこに






詰め込むもの。

傲慢と高慢と強欲と狡猾。

自尊心と自意識と自慢と自我と他者への嘲り。


――――――――――――――――――

美しさの隙間に






『  あなたへの愛の重みを込めて、

    私の腕を同封しました。     』


――――――――――――――――――

情熱的ラブレター

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