ライブ配信にて
当職は通帳を見つめていた。今月も働いた。節約もした。コンビニで新作のお菓子を見かけても、2回に一回は我慢した。それなのに貯金は一向に増えなかった。「このままではいかん、何か新しい収入源を確保せねば」
当職は腕を組み、しばらく考え込んだ。そして、机の上に置かれたスマートフォンに目を向けた。
画面には、動画配信アプリの広告が表示されていた。『今からでも遅くない! 配信者デビュー!』
当職の目に希望の光が入った。そこで当職は勢いよく立ち上がった。
「弁護士系ライバーだ!」
こうして数日後、配信サイトに当職の新たなチャンネルが誕生した。
『弁護士系Youtuber〇〇』
初配信の日。当職はスーツを着用し、背景には法律書を並べた。照明の角度を調整し、マイクの位置を整える。
『【ASMR】弁護士が静かに読み聞かせます。睡眠導入・囁き声』
配信開始から三十分。視聴者数は、わずか7人。
「本当にこれでいいのだろうか…」
不安を抱きつつも、当職は配信開始ボタンを押した。
「こんばんは、b、弁護士系Youtuberの〇〇です」
なんと、配信開始時点で当職は噛んでしまった
「?」「ぶっさ」「インキャやんw弁護士嘘松乙」
散々言われたが、まだ7人。配信が終わったら消せば済むし、俺は弁護士だ。庶民とは違う。そう思い込んで、イライラを抑え込んだ。
いつもより声を落とし、ゆっくりと話す。
「今夜は皆さんが安心して眠れるよう、静かな時間をお届けします」
視聴者数は、みるみる増えていった。コメント欄が動き始める。
『なにこれ』『うおw」「べ、弁護士…w凄いなぁ君w」
当職はくだらんコメントは見ず笑みを浮かべた。
当職はガサガサ音を立てながら包装紙からお侍マックとポテトを食べた
『き た な い』『くちゃくちゃ音立てんな』
そんなコメ程度に苛立っては弁護士としてのプライドに傷が付いちゃうので、非表示にした。
モグモグしてから18分
そのときだった。
「ン゛!!」当職にかつてない便意&尿意が降り注ぐ。
『え、どした?w』『うおwええてw』
そんなコメントに構える余裕もなかった。そしてついに、時は来た
「もう無理ナリ!漏れるナリ!我慢できないナリィィィィ!!!!(ブリブリブリドバドバドパァァ!ビュパッブブブブゥ!!!!!ジョボボボボジョボボボ!!!!!!!ブバッババブッチッパッパッパパ!!!!!!ベチチベチチチィィィ!!」
『ええてw』『ああ、そういうノリ…w』『お、おうw』
当職は泣きながら即座に配信を切った。翌日、当職の動画は無断転載され齢34にもなる男の奇声が、ネット中にこだました。




