4.浮気された人が誹謗され馬鹿にされる日々
ユージン様の話を聞いて、部屋に戻った私はずっとないた。
心配したのは私だけだった。
怪我をしても死んでも何も思わないということ。
それだけ彼女が大事。
ずっと婚約者でいた自分より。
その事実が私をただただ絶望させた。
こんなに好かれていなかったなんて。
婚約者という身分だけで隣にいた自分よりずっと心配する人が彼にはいた。
その事実が自分の心を切り裂いていた。
泣いていたことを侍女から聞いたお父様が部屋にいらっしゃった。
「話は聞いた。婚約は相手の有責で破棄でいいか?」
「お父様にお任せいたします。私はもう何も考えられません。」
「わかった。辛かったな。落ち着くまで学園は休んでいいから。」
「ありがとうございます。」
声が涙で枯れた。
そんな私をそっと抱きしめてくれた。
あとの処理は全てお父様に任せて私は気持ちを整理をつけなければと思うけれど、そんなすぐ切り替えられるわけもなく。
長い時間一緒にいた思い出。
そしてさっき言われた言葉。
全てが走馬灯のように駆け巡った。
ずっと涙が流れて止まらない。
何がいけなかったのだろうか。
私じゃ駄目な理由。
そもそも政略結婚だから、私のことを好きじゃなかったのだろうか。
だからこんな別れになってしまったのか。
何もかもが嫌になる。
学園にも行きたくない。
死んでもいいって思われるなんて。
そんなに好きじゃなかったなんて。
グルグルそんなことしか考えられなくなっていった。
それから3日過ぎてそろそろ学園に行かなくてはと思い、家から出ようとしたがどうしても門から外に出たくない。
外に出ることが怖かった。
学園に行ったらまたあの2人を見るんじゃないかと思うとうずくまってしまった。
そんな時にエミル様が迎えにきてくれた。
「一緒に学園に行こうと思って迎えにきましたわ」
私は立ち上がりエミル様に駆け寄った。
「ありがとうございます…」
エミル様の馬車で一緒に学園に向かった。
馬車の中ではエミル様はユージン様のことには触れず最近出来た新しいカフェの話をするなど気を紛らわせてくれた。
馬車から降りたら色んな人の視線を感じた。
エミル様から「さぁ行きましょう。あなたは何も悪いことしていないんだから堂々としていなさい」
と言われた。
最初はどういうことかわからなかったけれど、周りの雰囲気と声が聞こえてきて状況を把握した。
どうやらやっと邪魔な私がいなくなって真実の愛を突き通すことが出来たと話題になっているらしい。
何故浮気をした人が堂々していて、された人は縮こまって生活しなければならないのだろう。
隣のクラスの人には
「やっと婚約解消してもらえたらしいですわ。あんなお似合いの2人の邪魔をずっとするなんて気がしれないわ」
という声まで聞こえてきた。
私は自分のクラスから外に出ることすら出来なくなってしまっていた。
私は何か悪いことをしていたのか。
何故こんなに誹謗されなければならないのか。
私はただ婚約していただけなのに。
その婚約者が他の女性を好きになったのだから私のほうが被害者なのに。
何故か婚約者を取られた人が誹謗される日々。
ただでさえ抉られた心が1日で完膚なきまでにへし折られてしまった。




