3.本当に守りたいのは…
その後、3日間学園を休んだ。
その間、毎日エミル様が会いに来てくれた。
そして学園の様子を話してくれたが、ユージン様からは何も連絡がなかった。
エミル様が言いにくそうに「今日廊下でユージン様があの令嬢と歩いていた」と聞いた。
ユージン様の様子を聞いた私が悪かったが、令嬢との話を聞くと心が苦しくて仕方なかった。
涙をこぼす私をエミル様は黙って寄り添ってくれた。
気が付くと常に泣いていた私を見かねた父が、「何かあったのか?」と問いただしてきた。
そこでも何も言わない私を優しく見守ってくれた。
私は意を決してユージン様に連絡を取ってみることにした。
案外すぐに返事が来て驚いたが、そこでまだ婚約者でいられるかもしれないという甘い期待を持ってしまった。
翌日、ユージン様が屋敷にやってきた。
「レフィーナ!体調がすぐれないと聞いたが大丈夫かい?ずっと連絡をくれなかったから心配したよ!」
「ユージン様、ご心配をおかけしました。まだ体調は戻っていないですが、ユージン様とお話がしたくて今日はお呼びたてしました。」
「私にかい?何か話したいことがあったのかい?」
「あの地震があった日…私ユージン様が心配で会いに行ったのです。そこで見てしまったのですが…」
「…そうなんだ。そのせいで学園を休んでいたのかい?」
「はい…。私が見たことについて説明してもらえますか…?」
「説明…。こんな状況でこの話をするつもりはなかったがもう隠しきれそうにないな。
レフィーナには申し訳ないが、婚約をなかったことにして欲しい。」
「私が見たことも、聞いたことも本当ということでしょうか…?」
「あぁ、そうだ。今までは純粋で明るくていい子だなぁと思っていたが、今回の地震があって確信した。あの子を守ってあげたい。」
「あの子は一体どちら様なんでしょうか…?」
「学園に留学に来たアンジェラ嬢だ。隣国の伯爵令嬢だ。留学したばかりの頃に授業でペアを組んだ時に仲良くなった。」
「そうなのですね…。私との時間より伯爵令嬢との時間を優先していたのですね。」
「あぁ。留学してきて心細い状況だったからずっと側にいたうちに惹かれていった。今回の地震が起きて初めてわかったんだ。本当に守りたいのは彼女で、婚約者ではないと。」
絶句した。
長年の婚約者に向かってこんなことを言うなんて。
「地震で怪我してないか心配でユージン様の元に行きましたけど、ユージン様はそんな心配もしなかったということですか?」
「あぁ。申し訳ないが、彼女の無事を1番思った。」
「それは私が怪我しても、亡くなっても何も思わないということでしょうか?」
「申し訳ない。彼女が大事なんだ」
「わかりました。もう結構です。今日はありがとうございました。今後のことは父にお任せいたします。」
「あぁ。申し訳ないと思っている。」
「その言葉も結構です。お見送りをせず申し訳ございません。ここで失礼いたします。」
私は泣かないでいることに必死だった。




