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第六章 亜寿沙と甲我の入浴


 どうも皆さん、龍宮寺 亜寿沙です。今現在、お風呂場にて甲我から背中を流してもらって一緒に入浴して近くでその肌を感じるようにする時間がやってきましたわ。今はお風呂場一歩手前の着替え室にて甲我を待っている所です。

 これは去年からやっている事でもう一年以上になりますが、慣れたものですよ、慣れたもの。慣れたもの。なんだけど……まだかしら。こうして脱がしてもらうために待っているというのに。


「悪い、遅れた」

「あら、そんなに待ってないわよ? さっさと入りましょ? ほら、脱がして頂戴」

「了解」


 ちょっと急ぎ足で着替え室に入って来てくれるあたり、遅れまいとする考えがあるのね。なんて可愛い、そして可愛い。


「そんじゃ脱がしていくぞぉ~~……てか、本当にこのブラジャー好きだよな」

「甲我が前に好きだと言ったから、取り寄せたんですよ?」

「前のお出かけでだろ? 本当に、楽しんでいるお前を見ると良かったなぁと思えるよ」

「そうかしら?」

「あぁ。なんか買い物に行くのも新鮮だって感じだったしよ」


 私との初デートの事を思い出したのね。そう、その時に買った下着を身に着けているのよ? 高い商品よりもコスパ重視で。しかも全部甲我が選んでくれた下着だけ。あ、ヤバい、下着姿になったわ。


「甲我は脱がないのかしら?」

「俺か? 服を別々にしないとだろ?」

「後で使用人が分けてくれますから、大丈夫よ」

「なんか悪くないか」

「ほらほら、脱いだ脱いだ」


 上着を脱がして~、ボタンも全部外して~、ってすると上裸が見える。筋肉が凄くあるわけでもないけど、力を入れていない状態でこれだから力を入れたら凄いと思うのよね。まぁ実際ベッドの上では――おっと、思い出したらいけないわね。


「ズボンくらい自分で脱ぐから」

「妻として――」

「いや、一瞬お前の目がマジになったんだよ……、多分だが余計な事を考えたんだろ? ほら、立った立った」

「きゃ」


 つい可愛らしい声を出しちゃったわ。両脇が苦手ってわけじゃないけど、簡単に持ち上げられちゃうと、本当に技術はあるんだなぁと思いますわ。さて、甲我がズボンを脱いでいる間に私は下着をっと。


 両方脱ぎ終えたわ。鏡を見ても私の美しさは揺ぎ無いわね。


「本当に亜寿沙って自分の姿見るの好きだよな。奇麗な姿見るの好きなのはなんとなく分かるけどよ」

「嫁として、妻として、当然の事だと思いますわ」

「毎回それが出来るのがすげぇよ、それより、今日の訓練は結構身体にきたんじゃねぇか? メンテナンス含めてマッサージを後でするからよ」

「ありがたいですわ」


 脱ぎ終えた甲我。いやもう本当に言葉に出来ないくらい美しいんですのよ? 筋肉もさる事ながら、その姿形の美しさ。私には分かります。これは、私だけにしか分からない、美しい肉体……。


「なんで抱き着いてるんだ?」

「目の前に愛する人の肉体があるというのに、抱き着かない理由なんて必要ですか? 否! 必要はないですわ! 甲我の匂い好き!」

「……はいはい、連れて行きますよぉ」


 あらあら、そのまま持ち上げられてお姫様抱っこを……もう、私の気持ちを知っているくせに、こうやって移動するなんて。もっとこう、エロい移動方法とかないんですの? 人類。

 そのまま浴場には入りましたけど、もっと私に欲情してから入ってもいいと思いますのよ? うん。


「今日の訓練、弘美ちゃんの動きにはだいぶ成長を見せられたみたいじゃない」

「あら? 見えてたのかしら?」

「視界に入っただけだよ。けど最後の直線的な攻撃は、改良の余地ありだな。今度真似してみて、改良できるかどうか試してみるか」

「甲我の上昇志向には驚かされますが、相手の動きを真似れる肉体も凄いですわよね。女子だからこそ成り立つ技だってありますのよ?」

「そりゃあるだろうけど、男でも真似出来る事はあるさ。ただ、筋肉の使い方が変わるけど~な」


 椅子に座らされて、シャワーを出す甲我。温かくなるまで少し待ってから私の全身に適正温度のお湯を当ててくれる。なんて素晴らしい方ですの! 私の事を考えてくれているわ! 身体中を適正温度のお湯で浴びせられている……優しさが込められていますわ。


「お前、今日の訓練でちょっとダメージ入っただろ。多分だが弘美ちゃんの親指だな、これ」


 胸の下を! 私の胸を持ち上げてからの下を触っていますわ! もう全部触ってほしいんですのよ!? えぇい、濡れて私の下半身!


「肋骨狙いか。こりゃ相手を信用してなきゃ――って、亜寿沙? おぉい、亜寿沙~。一人でなんか喜んで俺を置いていくなぁ~~。ったく、またこれだよ……。仕方ねぇ、また俺が全部やるか」


 甲我が優しく髪の毛を触っていますわ。一本一本に神経を研ぎ澄ませても分かるくらいに、とても滑らかに解かしていますわ。クルクルしている私の髪の毛が真っ直ぐになっています。それを丁寧にシャンプーで洗ってもらっているのが分かりますわ。


「そうだ、甲我」

「なんだ?」

「今日は全身をその手で洗ってくれませんか?」

「えぇ~~。昨日だって一昨日だってやっただろ? そん時の亜寿沙、嬉しすぎてなのかぼーっとして、身体をちゃんと洗ったりお風呂に入浴させたり、メイドさん呼んで拭いてもらったりしてって大変なんだぞ? 今日は普通に洗おうぜ?」

「いいじゃないですの。この身体はもう甲我なしじゃ生きていけないんですから」

「言い方。そこまで変えてないだろ? ったく……分かりましたよ、お嬢様。手で洗わせてもらいます」

「うむ、宜しい」


 甲我がボディーソープを出して、手で泡立てているのを見る私。あら?


「今日は何処にも傷跡がありませんのね。訓練時は何処かに痕が残ったりしているものですけど」

「ん? あぁ、今日は老師組が来ただろ? だからシフトチェンジ。少しだけ本気で戦ったわけよ。だってよぉ、容赦なく二人で突いてくるんだぜ? こっちも動かなくちゃやってられないわけよ。本当に衰えを知らねぇわ、あの人たち」

「それだけ鍛えているんですのよ。ほら、胸、胸を揉んでくださいまし。あと突起物を」

「乳首な? へんな言い方するなよ」

「甲我が最近してくれないのが悪いんですのよ? だから簡単に果ててしまうんですの」

「いや、そればかりはお前が俺に弱いだけだと思うぞ。それに困った時は頼んだりしてるだろ? それを了承してもらって俺だって助かってるんだ。けど、お前の場合だいたい毎日じゃね? 俺持たねぇよ」

「私には毎日でいいんですの。こう、疲れさせてくれるだけでもありがたいんですの」

「……そんなもんかねぇ。まぁいいや」

「それよりも、今日は抜かなくていいんですの? こう、私はいつでも――」

「あ~~それな。溜まっていると言えば溜まっているけど、今日は訓練もしているから別にいいか――」


 今の言葉を聞きました? 聞きましたわよね?


「おわ!?」


 今の私、甲我を押し倒しましたわ。そう身体中にボディーソープを塗りたくっている状態で。


「お、おい? 亜寿沙?」

「今、許可を出しましたわよね? 溜まっているから出したいと言いましたわよね!?」

「言ってないが!?」

「私が乗っているこの下半身は立っていますわよ?」

「そりゃ立つだろうが……この状況。ったく、マッサージはどうするんだ?」

「私が気絶している時にでも、お願いしますわ~~!」




 そこから先、凄く楽しんで、白くなったのだけは覚えてますの。



            ▼▼


「っふ!」


 亜寿沙のメイドにして西園寺一家の一人である弘美は、蛇拳の修正箇所を探していた。今回敗北したのは、突進型に変えてから攻撃を放ったがそれを見事に受け止められてしまったから。それだけでなく投げ飛ばされてしまった。これは私の弱さが出ている。失敗したと思ったが、あれは相手が悪かっただけ……だと思いたい。

 だからこそ、もう一度その動きを試してみている。


 場所は、龍宮寺 亜寿沙の家の傍に作られた小さな運動場。そこでライトを付けて、弘美は体操服で動いている。訓練をし続けるのは体に毒だろうが、何が問題だったのかを頭の中で整理している。


「私の技術力では、まだ届かない」

「いや、十分届いてると思うけど」


 弘美が声をする方向を見れば、半袖短パンの甲我が入ってくる。


「これは甲我様。亜寿沙様とお楽しみ……もとい、子作りをなさっていたのでは?」

「それは言わないでほしいわ……。まぁとりあえずだ、技術力だけで言えば、ジャンルは違えど亜寿沙とは戦えるんだよ、弘美ちゃんは」


 弘美は一度だけ深呼吸をして姿勢を正し、近付いてくる甲我に対して一礼する。


「(まさか、ここに現れるなんて想像もしなかった。これはチャンスなのでは?)」

「実際戦えてたしね。ただ、カウンター型である亜寿沙と連続攻撃型の弘美ちゃんじゃあ、工夫をしないと亜寿沙に驚いてもらえないからな」

「ここに現れたのはなぜですか? 私が亜寿沙様に勝てる秘策でも教えていただけると?」

「あぁそれ、それを試してみたくてきた」

「? 試してみたく?」

「西園寺家っていうヤバい連中――いや、他の一家もヤバいけど、弘美ちゃんの攻撃の幅を広げようかと思って。勿体無いからさ」

「……つまり、鍛えて下さると?」

「切っ掛け作りだね」



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