第二章『危 ~ ki ~』【12話~20話】
※《》内は台詞ではなくその場の状況説明。
※一部ノンフィクション入ってます。
第11話【プール】フィクション
語り手「プールだァ~! わぁ~! な時期だね。」
聞き手「テンションが若干謎だけど、確かに8月……プールとか海とか、沢山の人達が遊びに行く時期ではある。……紫外線浴びたくないから自分には理解できないけど。」
語り手「自分もさ、変なテンションで言ったはいいけど、ぶっちゃけ家でエアコンガンガン付けてダーラダラやりたいインドア派なんだよね。」
聞き手「プール行ったの?」
語り手「そそ、友達に誘われて仕方なくねー……しーかーも、ダブルデート……。」
聞き手「はい??」
語り手「なんか、“彼氏と2人きりちょ~はずかちー!”とか言って、自分も何故か恋人連れて行くことになったわけ、ウチの恋人は“丁度空いてるからいーよ”ってOKしてくれた。《友人の言葉を思い出し呆れながら言う》」
聞き手「おうww《ちょっと乾いた笑い》」
語り手「そんなこんなで、行くことになったんだけど……。」
《ザプンッ! と、水中に潜る音》
語り手「折角来たわけだしさー、プールん中入って楽しむか~ってわけで、泳げるわけじゃないから水中で座るようにして潜ってみたんよ。……ゴーグル越しの水中の風景、水面がキラキラしてて、なんか懐かしかったなー。小学生の頃に戻った気分だった。」
聞き手「あー綺麗だよね! そんな話聞くと自分も行きたくなってきたな。」
語り手「ねー、たまにはいいもんだなって。……それでね? ここからなんだけど──」
《ザプンッ! また潜る》
語り手(…………ぁれ?《何か違和感》)
語り手「潜った時さ、周りの人達の足が見えるじゃん? ……で、自分と同じく、前方にしゃがんでる人がいたの。遠くてあんまよくわかんなかったけど。」
聞き手「同じ遊びしてたんだ。」
語り手「んー……最初はそう思ってたんだけど、次さ、また起き上がって息吸った後に、また潜ったら──」
《ザプンッ! 潜る》
語り手(……ぁ?)
語り手「…………ちょっと距離縮んでたの。しかも同じしゃがむポーズで、そこそこ距離あったのに、一瞬で。……なんか嫌な予感がしてさ、また起き上がって、その場所を眺めたら……」
聞き手「もしかして……」
語り手「…………うん。いなかったんだよね。……嫌な感じがして鳥肌が立った。でも気になって、心臓バクバク鳴りながらもう一度、潜ったら……。」
《ザプンッ! 潜る》
語り手(──!?《ビックリして一瞬転けそうになり、息が苦しくなる》)
語り手「……白目を剥いた女の子が、目の前に、鼻と鼻がぶつかりそうな程近くいたの。危うく溺れかけたけど、慌ててプールから出たよね。怖くて腰が抜けかけてたけど。」
第12話【一時停止】半分ノンフィクション
語り手「夜はあまり出歩かないようにしたんだ。」
聞き手「不審者とかに気をつけなきゃだもんね。」
語り手「それもなんだけど、……この前ねー、コンビニに行った時──」
《自転車をこぐ音》
語り手「なんか、むしょーにコンビニのお味噌汁が飲みたくなってねー。自転車に乗って夜風にあたりながらこいでたわけよ。時間は22時かな?」
聞き手「わざわざ味噌汁のために夜コンビニに自転車で……《呆れながら》」
語り手「飲みたかったの! そんで、角を曲がる時に近くで公園があるんだけど……」
語り手(……あれ?《角を曲がろうとした時、あるものを見かける》)
語り手「男の子……10歳くらいかな? と、もう一人、男の子より小さいんだけど、顔は明らかにおばさんだったの。」
聞き手「夜の……さんぽ?《怪訝そうに》」
語り手「しかも、なんか……“テレビの一時停止みたいに止まって”たんだ。」
聞き手「……なんなのその二人。《気味悪そうに》」
語り手「知らん。……で、一瞬なのにやけに頭に残るなー思いながら、コンビニ行ったんだ。お目当てのしじみのお味噌汁買って、ついでに夜食だー! って調子ぶっこいて、唐揚げの串刺しと、あとおしゃけぇ~《ニシシッと笑う。》」
聞き手「 完 全 に つ ま み 、酒まで買って、《呆れながら》」
語り手「ヘヘッ……んでねー、帰りも同じ道なんだけど、……いたんだよね。」
聞き手「さっきの二人が?」
語り手「うん。しかも……同じポーズに、テレビの一時停止みたいに、ビクともせずにね。ホント、なんだったんだろ。」
第13話【声、影】半分ノンフィクション
語り手「この前さ、叔父が倒れたんだよね。」
聞き手「ぇ!? ……大丈夫だったん?《心配そうに》」
語り手「今は入院中と、リハビリ受けてる。あの時は本当にビビったし、心臓がヒヤッとした……でね、丁度倒れた時なんだけど……。」
《通話アプリで雑談》
語り手『でさー! この前書いた小説に感想がついてたんだけど、もー感想が感想じゃなくてさ!《最近の出来事を話している。》』
語り手「朝、叔父の実家から電話かかってきて、“叔父が倒れた! 今病院へ運ばれた!” って連絡がきたのね? 心配だなーと思いつつ、だからといって自分がその時ジタバタ騒いでもしゃあないと思ってたし、病院やらなんやらの手続きやらは向こうがやるし、見舞いも何もそんなすぐには行けないからさ、自分は自分でいつも通り過ごして、創作仲間と雑談してたわけよ。」
聞き手「冷静さも必要だよね。皆で慌てて泣いて騒いでも仕方ない。できる時に協力して、見舞いに行ける時に行って元気づけたりするべきだね。」
語り手「そーゆー事、今は落ち着くしかない。いつも通り過ごすしかなかったんだ。」
語り手『《回想に戻る》誤字の指摘とかは必要だ、けど感想欄のはずなのに、内容についてはいっっさい触れないで指摘だけなのは腹立つよねー。』
語り手「……本当に、ただの雑談だった。作業通話ってやつだからさ? ずっと話っぱなしという訳ではなかった訳よ、……で、作業に集中してお互い無言になってた時だった。」
《……“ギィィィ~ン……ギュオ”という、変な機械音》
??『……“う"ァあ……!”』
《謎の声が一言終わった後、数秒間沈黙。》
語り手『……ビックリした。……ぇ、何? なに今の? え? え? 何今の?』
通話相手『……ぇ?ww』
語り手「──そん時数秒間、何かの接続障害かなー思ったんだけど、妙に耳に残る最初の耳鳴りみたいな機械音と、その後の音……最後のは確かに“人の声だ”って、思い返せば思い返す程に気になりだした。自分は通話相手に“そっちの音じゃないよね?”って聞いて、やっぱ通話相手も“こっちの音じゃなかった。”って言うんだ。自分もそう、音は確かにこっちの音じゃなかった。」
聞き手「……なんか嫌だね。《気味悪そうに》」
語り手「勿論、ただの接続障害と言われたらそれまでだよ。……たださ、後日聞かされたんだけど……叔父が倒れた時に、ウチの母親が叔父の実家に手伝いで行くことになって家に居た時さ──」
語り手『え?』
語り手「母が、“いやだから、……その時間の時ウチも、黒い影が私の横を横切ったんだよ。……アレは明らかに叔父だった。”って……。」
第14話【おじさん】フィクション
語り手「あれはなんだったかな……うーん。」
聞き手「どうしたん?」
語り手「いやね? 不思議な出来事が前あって、」
聞き手「毎度不思議な目にあってんね。」
語り手「好きでなってないやい! そん時風邪引いて熱出してたんだけど──」
語り手『……ぅぁー……だ、るぃ……。《高熱で苦しい》』
語り手「雨降るって知ってたのに、数日前折り畳み傘忘れてびしょ濡れで帰宅したせいで、案の定風邪引いたんだよね。」
聞き手「安静にしとくんだよ」
語り手「もーなおってまぁーす」
聞き手「ムカつくな」
語り手「昔からなんだけど、どんなに風邪引いてもなんでも、食欲だけはあったんよね! “よぉし治すぞォ~!”って意気込んで、作った卵粥がァ~! って食べて、デザートにトマトゼリーペロリと食った!」
聞き手「こんな元気な病人あんま見たことないや」
語り手「物足りなかったからアイスも食べた。」
聞き手「元気だなッ!!《力強く》」
語り手「まーそんなこんなでたらふく食ったから眠くなってさ、薬も飲んで就寝したんだよね……で、夜──」
語り手(……ぁー、ひんやり。オカンが撫でてくれてんのかな?)
語り手「最初はそう思った……けど、」
語り手(あれ? でもこれ──)
語り手「ほんのりと、オカンではない“他の人の匂い”がした。」
聞き手「匂い……よく違うってわかったね。……いや、意外と匂いって……《ここで考え込む。》」
語り手「そう、自分も昔友達の家に入った瞬間、その家の匂いってあるじゃん? 人の体臭も、なんとなくだけど違うんだよ。上手く言葉で表現できないけど。」
聞き手「たし……かに。」
語り手「……その手の主は、どこか懐かしかった。さて、そんな不思議なことを思いながらも眠かったから、そのまま眠りについたわけだけど──翌日なんだよね。思い出したの……」
語り手『……おじさんだ。』
語り手「近所に数年前、自分に良くしてくれたおじさんがいたんだ。その人、何かと“いつも部活頑張ってるね”って、暑い時期はわらび餅くれたりとか、冷やし中華作ってくれたり優しかったんだ。おじさんは……病気で亡くなっちゃったから、今はもういないんだけど。よく考えたら、熱を出したあの日、オカンは用事で実家にいたから、家に誰もいるはずないんだよね。」
聞き手「……心配してくれたんだね。」
語り手「……うん嬉しかった。」
第15話「臭いの元」フィクション
語り手「ガソリンスタンドとかのガソリンの匂いって、妙にクセにならない?」
聞き手「んん~~~……否定したいけど、なんっっかわかるかもしれない自分が悔しい。」
語り手「小さい頃からさ、良い匂いも不快なものも、好奇心で“これなんの匂いだろ~”って辿ってた時期があったんだよ。」
聞き手「語り手が犬だと言うとこがわかったわ。」
語り手「あ、それ親にも言われた。(笑)この前両親が買い物帰りにレストラン寄ったらしくてさ、その日ウチ留守番してたんよ。で、両親が帰宅した時に、“むむ? このデミグラスソースみたいな匂いは!”って思って、レストラン行ったんか聞いたら……“お前は犬か!”って、」
聞き手「うん。そりゃ犬だわ」
語り手「クッソー!! まぁんな話は置いといて……実はね、中学生の頃、怖いことがあってさ──」
《下校途中、道を歩く学生時代の語り手》
語り手「……ん? なんだろ、この腐った臭い……。《嗅ぐ》」
語り手「好奇心旺盛だからさ、その原因を知れるまで気になって気になって仕方なくてさ、寄り道にはなるけど近くの公園に行ったんよ。……で、公園の中に入って違和感。」
聞き手「何があったん?《怪訝そうに》」
語り手「周りにはブランコ、シーソー、ベンチ、蛇口……それだけ。他に何も無い普通の公園。でもさ、匂いのした場所はそのどこでもなくて、……何も無い公園内の真ん中だったの。」
聞き手「……なんにもないの? その箇所だけでしたの? 臭い」
語り手「うん。そこだけ、……おかしいなー思って、後ろに下がってみたり、また近寄ってみたり、“やっぱ別の場所じゃない?”って思って移動しても、……臭いはやっぱ“なんにも無い真ん中”なんだよね……。」
聞き手「気味悪くない?」
語り手「流石にね……、もー1秒でもそこに居られないくらい鳥肌立って、その場を去ろうと走り出したんだ。……で、やっぱ気になったからもう一度遠くから、公園を見たら──」
《服や髪などボロボロに汚れた年配がそこにいる》
語り手「多分……年配の人、かな? ……横腹辺りになんか刃物か鉄の何かかわからんけど刺さってて……自分がいた真ん中のその場所に横たわって、“こっち見てた”んだよね。ずっといたんだと思う。」
第16話「証拠動画」ノンフィクション
語り手「我が家はよく変な事が起きる。」
聞き手「へー」
語り手「変な現象が起きる度に、友人に“これなんだろなー”って話するんだけど、毎回“ただの気のせい”、“勘違い”で済まされる。まぁ当然の反応だよね。」
聞き手「怪奇現象かはさておき、何かを見た! って事実は人に話したくなるけど、笑い飛ばされて嘘扱いされた時、ちょっと悔しいよね。」
語り手「そうなんだよ~~……そんでさー、ある日──」
《母に呼ばれてキッチンへ走って行く》
語り手「どしたー? ……ん!?」
語り手「母親が“ちょっとこっち来て! 見て見て!”って面白いもんでも見つけたらしく、私も急いで行ったわけよ。でさ、確かに面白いことに……棚の中でね? お椀が“グワングワン”って回ってるの!」
聞き手「なんじゃそら!」
語り手「こう、お椀とかが落ちた時ってさ、グワングワンって、数回回ってから落ち着くみたいな動きあるじゃない?」
聞き手「あー、まぁ、何となく。《想像しながら言う》」
語り手「でもさ、そん時は勿論床に落としていたわけでもないし、なんなら“棚の中、置いてる状態で”、数回どころか何分間かずっと回ってたの。」
聞き手「……それおかしくない?」
語り手「うん。……で、こん時、ピーンと来たわけ! “これ動画にして送ってやろう!”って!」
聞き手「あー! なるほどね。」
語り手「そん時スマホ持ってたし、バッチリ撮ったんよ! で、その動画を友人に送ったら、いつもはヘラヘラ笑ってたその子も流石に“ヤバイヤバイヤバイ”って! 自分はそん時、“そうだろー! な? 見たろー?”って!」
聞き手「怖さとか危機感より、そりゃそっちの方が勝つよね。」
語り手「うん! で、他の人にも送ろうかなーって、ネタとしてこの証拠動画を取っといたんだけど……。」
語り手「ゥ"ー……、ぁ"あ"ー……《ベッドの上で毎晩、耳鳴りと頭痛に悩まされ寝ている。》」
語り手「ベッドの上で毎晩、証拠動画を消すまで耳鳴りと頭痛が治まらなかった。」
聞き手「ネタにするからだよ」
第17話「タピオカ」フィクション
語り手「ぁ"ー……なんにもやる気が起きない。あづ~……」
《聞き手が中へ入ってくる。》
聞き手「やほー、飲み物買ってきた。」
語り手「ぉー、助かるぅ」
聞き手「ほい、タピオカミルクティー好きだったでしょ。ウチはコーヒー牛乳飲むわ。《タピオカミルクティーを語り手に渡そうとする。》」
語り手「……ッ……ぁ、《伸ばそうとした手が止まる。冷や汗》」
聞き手「? どうしたん?」
語り手「……コーヒー牛乳くれない?」
聞き手「なんで」
語り手「ぃゃぁー……実は、ね……。」
語り手「最近、嫌な夢を頻繁に見るんだ。」
聞き手「あれま、」
語り手「それも、タピオカミルクティー」
聞き手「良くね?」
語り手「それがさ、…………初めは美味しく飲んで楽しんでたんだけど、微かに“ゴェゴェ……”って、音が聞こえてくるようになるんだ。」
聞き手「なんじゃそら」
語り手「次第にそれは大きくなっていって、食べているタピオカもなんか変な感じになって。ふと、蓋の紙を剥がすと……」
語り手『……ッ!? ヴ、ォぼへ《吐き気》』
《ビチビチと嘔吐する》
語り手「……口の中から、大量の──」
聞き手「待ってやめて!!」
語り手「“オタマジャクシ”が……出てきて、中には細かく砕かれたのも混じってた。」
聞き手「ぉぇぇ……ぎも"っ《※“キモッ”》」
語り手「それもね? それっきりの悪夢ならまだマシなんだけど。…………最近、毎晩見るんだよ。」
聞き手「……マジ?」
語り手「マジ、……はァァ……マジでなんなんだ。《顔を覆う》」
聞き手「…………ぁ、《何か思い出す。》」
語り手「どした……?」
聞き手「あーたさ、……小さい頃…………“田んぼでオタマジャクシやカエル潰しまくって”たじゃん。」
語り手「……どうお祓いすんのコレ、」
聞き手「…………知らん。」
第18話「箸置き」ノンフィクション
語り手「後悔していることが少しあるんだよね。」
聞き手「なんだいそれは」
語り手「親戚のおばあちゃんとは、小さい頃良くしてもらっていて、自分自身も大好きだったんだ。……それでね、」
語り手「親戚のおばあちゃんが熱中症で倒れて亡くなっちゃって、部屋の整理を皆でしていた時なんだ。ふと、ある物を見つけた。……それは沢山の箸置きだ。」
聞き手「箸置き《はしおき》??」
語り手「うん。それも普通の箸置きじゃなくて、十二支をモチーフにした物だ。」
聞き手「なんだか可愛らしいね。」
語り手「自分も前気に入っててさ、小さい頃人形遊びみたいにして遊んでたくらい。……なんだけど、」
語り手『いや、あー……じゃあ、このネックレス、かなぁ?』
語り手「……部屋の整理中、亡くなる前におばあちゃんが、“遺品は全て綺麗に片付けなさい。”って言ってたから、皆で片付ける際に、母からかな? 『思い出として欲しいものは貰っておきなさい。』って言ってたんだ。自分は十二支の箸置きが頭に浮かんだんだけど、何故か別の物を選んでしまった。」
聞き手「あらま……。」
語り手「……でね、モヤモヤしながら数年後、ある夢を見たんだ。」
語り手『え? じゃあ……。』
語り手「夢の中でさ、おばあちゃんの部屋にいて、目の前におばあちゃんがいて、“欲しいなら貰いなさい。”って言ってくれて、目の前には十二支の箸置きがあった。自分は……それを喜んで受け取った。けど夢は夢で、起きた時に箸置きなんてある訳もなく……っていう話。」
聞き手「おばあちゃんもきっと、語り手にあげたかったんだね。」
第19話「タバコの音」ノンフィクション
語り手「自分さ、声の活動してんのよ」
聞き手「へー! 有償?」
語り手「どちらも、声を当てるのは純粋に楽しいし、無償でも喜んで飛びつくよ~! でもさ、収録してるとね……稀に変な音も入ったりするワケ。」
聞き手「あー……時計の針の音とか、家のパキッて音とか入るとねぇ~……」
語り手「そうそうそう……し、か、も、……ウチさ、"霊障"ってやつがあンのよ」
聞き手「あ、一気に胡散臭くなってきた。。。《テンション下げるフリ》」
語り手「コラコラコラ、大体ここは怪談を話す場所ッスよオネーサン/オニーサン《※どちらでも可》」
聞き手「わぁーてるって《笑》」
語り手「昔から不思議なコト沢山家の中で起きてたんだけど、気にしなければ大体害はない。だから霊障とは言ったけど、殆ど気のせいにしてる。今回もその気のせいの一つとして話すね……。」
《回想──収録した音声をチェック、マウスのクリック音が響く》
語り手『あーあーあー! まぁぁたここで詰まった……もっとすんなり言えよな自分ン~《へにょへにょに凹みながら言い間違えをカット作業》』
語り手「──終わりがなかなか見えてこない作業、もーすぐにでも切り上げてベッドにダイブしたかった。」
聞き手「お疲れ様だァねぇ~」
語り手「で、淡々と死んだ目で作業を続けていた時だった──」
語り手『…………ん?』
《一時停止──耳を澄まし再生》
語り手『…………ぁ、? ……ぇ……?《思わず何度も聞き返す》』
《──カチンッ、ライター音》
語り手「……何度も、何度も耳を澄まして聞き返した。……入ってるんだよね。…………"ライター"の音が。」
聞き手「ライター? どこにでもあるやつ?」
語り手「よく考えてみてよ、収録中に部屋に人は入れないし、そもそもな話、自分は"喫煙者じゃないの"っ」
聞き手「……………………ぅゎ、……ぅゎぅゎぅゎっ《後からきたらしく、鳥肌立つ》」
語り手「そん時の音声残しときゃよかったんだけどさ、そん時の自分──」
語り手『ぁーーー……消し消し消しっ《クリックカチカチッ》』
語り手『──はよ納品したくて煩わしくてカットしちった☆』
聞き手「なんてこった」
語り手「それとまだあって」
聞き手「まだあるんかい」
語り手「たまにライブ配信してるんだけど、コメントで"タバコみたいな音しなかった?" って書かれたけど、タバコみたいな音ってなんじゃって話だが、それがもしライターの音なら収録の時とデジャブだし、他なら……ビデオ通話してる時に"壁の黄ばみがタバコのソレ"って言われたんだけど……なんッッども言うがッ! 自分は喫煙者じゃないし、部屋にタバコもライターもないの! もォー意味わかんないっ!!《ケラケラ笑う》」
聞き手「笑える神経が凄いよ……我が友人ながら恐ろしや……。」
第20話「黒い犯人」ノンフィクション
語り手「なんだあれなんだあれなんだあれ……?!《玄関のドアを開けて駆け込んでくる》」
聞き手「どしたどした《驚く》」
語り手「いや聞いて聞いて聞いて聞いて!!」
聞き手「聞くから落ち着け? コーヒー飲む? ブラックだけど……」
語り手「ブラッックぅぅぅぅぅぅ~~?! いや無理無理無理なんでよりによってブラックなんだよォォ~~……《両手で頭を抱え込む》」
聞き手「落ち着いたら教えて」
語り手「ぃや言うっ! 言わないと! 吐き出さないと落ち着かないっ!!」
聞き手「そ」
語り手「なんか急にそっけなくなるやぁん……」
聞き手「あ、落ち着いた。……いや、かまってたらいつまで経っても話進まんからさ、」
語り手「サーセン、……さっき友達ン家に用があって、原付で向かってたんだけど──」
《走行中──信号待ち》
語り手『《あくびしながら》ふぁ~……ぁ、…………ん?《ふと、電柱の上に違和感、見上げる》』
語り手「──全身黒タイツみたいなのっぺらぼうが、ポールダンスをしていたんだよ。」
聞き手「はぃぃぃ??」
語り手「意味わからんっしょ!? マジでなぁぁぁにアレ!? ……でも既視感あるんだよなァ~……なんだろ《悩む》」
聞き手「……アレじゃない?」
語り手「え?」
聞き手「──某探偵アニメの……《語り手を指差し》」
語り手「……ぁあ~~!!《拳をポンッと叩く》」
語り手「──それから何日経っても、あれから黒い奴はいなくなってたし、自分の身に特に何も起こらなかったから、まぁいっか! って感じです。」




