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第一章『寄 ~ yoru ~』【1話~10話】

※《》内は台詞ではなくその場の状況説明。

※一部ノンフィクション入ってます。



第1話【見てる。】フィクション


語り手「自分は顔出し配信者なんですが、いつもの通りに散歩しながらスマートフォンで配信していたんですよ。」

聞き手「ほう」

語り手「《ここで囁く》ほら、今夏じゃぁないですか、皆背筋がゾクゥッとするスリルがほしいじゃないですか。」

聞き手「まぁ、人それぞれですけどね。」

語り手「まぁまぁまぁ……、それでね? 流石に不法侵入じゃあ炎上しちまうから、心霊スポットでも、廃墟はやめて、有名な公園とかにしたワケですよ。」

聞き手「まぁ、無難ですね。」

語り手「その公園、トイレで焼身自殺をした所らしくて……冬の時期に自殺したらしいから本当は冬のが出やすいとかなんとか……まぁそれは置いといて、何も出なかったとしても閲覧だけは稼げるだろうし、夜に行く事に決めまして。」

聞き手「ふん……」


《夜の虫の声》


語り手「夜、腹も減ったしコンビニでカルボナーラのパスタでも買って公園で呑気に食べてました。(笑)」

聞き手「何やってんですか」

語り手「ゴミはきちんと持ち帰りましたよ? 自分紳士なんで」

聞き手「紳士関係ないな」

語り手「若干配信もグダッてきたし、そろそろ動くかと立ち上がって歩き出しました。トイレだし近くだし、ササッと行ってトイレ周辺にカメラ映して終わらそうと思って、この時点でちょっと飽きてきてて、食べた後だから眠いしとにかく帰りたかった。」


《歩く音》


語り手『えーー、まわしてまーす。はい、はい、トイレ、ここらで死んだんじゃね? ほら……はい、おしまい。何も無かったねぇ~。こんなもんだよ。……ぁ?』

語り手「コメントにさ、"いま、いた"って書かれてて、ちょっとびびったよね。」

聞き手「ぇ、アーカイブは?」

語り手「残した。でも何も無かったと……思う。多分?」

聞き手「はっきりしないなー」

語り手「まぁそんなもんだって。」

聞き手「まぁ、自分それ確認したんだけどね。」

語り手「え?」

聞き手「多分ね、大したものじゃないよ、そんな悪いもんじゃない。」

語り手「どゆこと?」

聞き手「焼身自殺のとは関係ないけど、まぁ、たまたまだから。」



第2話【知って】フィクション


語り手「眠い。特に眠い。最近は寝ようとすると途中で目が覚めてしまうんですよ。」

聞き手「それは大変ですね……。」

語り手「それもね? ただ寝つきが悪いとかだけならいいんですけど……まぁよくはないんですが。……どうもね、首辺りが痛くて痛くて、」

聞き手「ぅわ、なんか嫌ですね……。」

語り手「よくこういう話で出てくる痛みって、"首が絞められたァ~"みたいな感覚なんですけど、その痛みもなんか違くてですね。」

聞き手「ほう?」

語り手「こう……首を絞められる時って多分、首全体が苦しくなりそうじゃないですか。」

聞き手「違うんですか?」

語り手「そう、それよりももっと……何か、なんて表現したらいいんだろ、細い物? ……そう、細い物!」


《布団の音》


語り手「あとね。その痛みの前に必ず、大きな物音が聞こえるんです。」

聞き手「音?」

語り手「なんかね、上手くは聞き取れないんだけど、多分……夫婦喧嘩か、親子喧嘩みないな。そんな感じ。口論らしき物が暫く続くと、最後に大きな"ゴンッ"て鈍い音が聞こえたかと思いきや、そこで大きな音が一斉に無くなるんですよ。暫く時間が経つと、音もなく、明らかに自分の真上に誰か居るなって、なんかわかるんです。」

聞き手「うわ」

語り手「一人暮らしだし、誰かがいたずらで~とかは、まずありえないんですよ。」

聞き手「ただの気のせいとかじゃ──」

語り手「……だと、いいんですけどね。ピリッとした痛み……じゃないな。グググッって、……ぁ、《何かしっくりくる表現を思いつく》」

聞き手「どうしたんです?」

語り手「粘土を……平べったい物で押し付けて(せつ)d…………ぅわ、なんか無性に首が痛い気がしてきた。」

聞き手「考え過ぎですって(笑)」

語り手「んん~~(笑) ねぇぇ、自分家じぶんち今日帰りたくないんだけど、ぅわ、ぅわぅわぅわ……今夜寝たくない寝たくない。また痛くなりそう。」

聞き手「てかさ、それってつまり…………《何かに気づく様子》だよね?」

語り手「だーとーしーたーら、……そりゃ恨むだろうな。」

聞き手「痛み知って欲しいんかな。」

語り手「知るかーー!! ふつーに困るわ。なんにもしてやれんぞ(笑)」



第3話【人と同じ】半分ノンフィクション


語り手「お化けってさ、人や虫と同じだと思うんですよ。」

聞き手「範囲広くないですか? お化け、人ならまだしも虫って……。」

語り手「だってそうじゃないですか、人だったら、お洒落で話題になった料理店と、話題もなく目立った雰囲気もない料理店なら、注目されているお店へ人が多く集まるのが自然じゃないですか。」

聞き手「まぁ、そうね。」

語り手「さっき例に上げた虫もそう、汚くて生ゴミそのまんま放置されたところに蠅や蛆は群がるが、何も無い清潔感のある床に蠅や蛆は群がらないでしょ?」

聞き手「オシャレな料理店と生ゴミの放置されている場所だと大分差が激しいけど、……要は、何かあるところに何かしらあると言いたいのか。」

語り手「あー、まぁそう。お化けってよく、"生きる気力のある人"や、"大して気にしない人"の所には憑かないって言うんだ。こう、"常にネガティブに発言する人"、"人の悪口ばかり吐く人"、"生きたいと思わず絶望を感じる人"を好むとか……。」

聞き手「よく好き好みますよね、幽霊も。自分だったらそんな気が滅入る空間に行きたくはない。」

語り手「って思うじゃない? でも、そもそも未練なさそうな人って化けて出て来たりなんか、なかなかしないんじゃ……とは思うんですよね。」

聞き手「あーー……ね。」

語り手「寂しい~とか、気づいて~とか、そういう奴って……間抜けに聞こえちゃうかもしれないんだけど、簡単に言うと"かまってちゃん"じゃないかなって。」

聞き手「さっき言っていた、"大して気にしない人"ってのは、確かにつかなそうですね。かまってもらえないですもん。」

語り手「そう、でも、ネガティブ思考に陥りやすい人って……同情もしやすいんですよ。」

聞き手「生きてる人間も同じですね。相談や悩みあるけど、話を聞いて同情してくれる人にだんだんハマりやすいというか……人にも寄るかもしれませんが、相談や悩みを聞いてくれるのは心地がいいし、信用しちゃいますもんね。」

語り手「そ、人がそうなのなら、お化けもそこは同じ。寂しいし、かまってほしいんだ。」

聞き手「……で、なんでこんな話を?」

語り手「あーそうだそうだ、話しを脱線させて申し訳ない。……知り合いがね、なんか変だったんだよね。」

聞き手「変?」

語り手「大学受からなくなってから無職になって、心配して家に行った時なんだけど。」


《ノック》


語り手『入るよー……ぅわ、』

語り手「部屋はゴミ部屋、知り合いは風呂にもいつ入ったのかわからないむわっとした(にお)いしてて、元気がなかった。」

聞き手「お化けじゃなくても、その状態ってだけで気分も最悪だろうな。」

語り手「そーゆーこと、知り合いはベッドから一歩も動かなくて、テレビも見なければゲームもしていない。呼吸はしているけど置物みたいな感じになってた。"これじゃダメだ"って思って、……柄じゃないけど、自分は何の使命感か泊まり込みでその部屋を掃除し始めたよ。」

聞き手「その知り合いも、自分一人では多分立ち直る事できないだろうからね。語り手みたいなきっかけを作る人が必要って訳だ。」

語り手「(笑) で、自分も仕事してるし、泊まり込みって言ってもそこから出勤しては家に上がらせてもらっていたんだ。……で、ある時だ。」

語り手『……ぇっ《驚いた様子、すかさず隠れる》』

語り手「知り合いは確かに寝ていた……けど、寝言にしてははっきりと、誰かと"会話"をしていたんだ。」

聞き手「なにそれ……《怪訝》」

語り手「……で、知り合いの近くに"手"があった。浮いてるっていうか、透明人間が手だけを出している感じ。その手が……知り合いに近づいたところで自分は叫んだんだ。"やめろッ!!"って、その日から、知り合いにとりあえず、"清潔にする事"、"悪口ばかりを言わない"、これだけでも守るようにさせたら……今では大好きなアニメも見れるようになって、アニメイトでも働けるようになれたって。ビッックリする程に、爽やかに──」

聞き手「とりあえず語り手の怖いもの知らずが一番怖いわ。」

語り手「おーまーえ、」



第4話【エアコン】ノンフィクション


語り手「機械って、喋ると思う?」

聞き手「……一度病院行ってみようか。」

語り手「待ってください。まだ判断するのは早い、……うん。早い。私はいたって正常です。」

聞き手「ほんとかよ」

語り手「機械の音……電子レンジとか炊飯器とか、なんかスイッチの音とかって、日常的に聞くじゃない?」

聞き手「そうだね。」

語り手「チン! って音も、それが鳴ったら、『あ、電子レンジだ』って、反射的にわかるわけよ。頭で覚えてるから。ただ、炊飯器とかって、メーカーによって若干音とか変わるんよね……。」


《エアコンの起動する音、風が入る。》


語り手『んーー……やっっぱ、反応が悪いなァ~……』

語り手「自分の部屋のなんだけど、何十年も使ってるし、ちょっとガタもきてたし使いにくくて、“そろそろ買い替えだなァ”って。6月も入ったし、これから暑くなるじゃない? 冷房は必須だ!」

聞き手「熱中症には気をつけなきゃね、お金が~とか考えてられないね?」

語り手「え、ちゅー? そんな大胆な──」

聞き手「話を続けて」

語り手「はい。……んで、ちょっと財布叩いて新品のエアコンをついに購入! 数日後に自宅に届けるようにして、その間に前使ってたやつは処分したワケですよ。」

語り手『ンンーー……! 設置完了! さて、涼みますかねぇ~……《リモコンスイッチON!》……ぁー……風がきたきた! ……はぁぁ~、……気持ちぃ~!』

語り手「快適だったね! 数日間キンキンに冷えた部屋ん中でアイス食べて腹壊したり、昼寝したり、久々の休暇だし思いっっきり寛いだ!」

聞き手「ちょっと調子ぶっこいてるね。」

語り手「うるさいやい! ……楽しかったし今も快適なんだけど、……一つだけ、不思議な事が起きたんだ。」

聞き手「不思議な事?」

語り手『はぁー……お腹すいたなー。』


《ピィッー》


語り手『あぁ、お母さんがエアコン付けたんかな? ……いや待て?』

語り手「お母さん近くにそん時いたんだけどさ、“私は何も押してないよ?”……って、」

聞き手「え、」

語り手「それも不思議なんだけど、それより不思議に思ったのはさ…………ありえないんだよ。」

聞き手「エアコンの音なんじゃなかったの?」

語り手「いや? エアコンの音……ただ、」

聞き手「ただ?」

語り手「……そのエアコンさ、“捨てたばっかのやつ”なんだ。」

聞き手「同じメーカーのやつじゃ──」

語り手「ない。音のした方向はリビング、リビングのエアコンの音も昔からどんなものか聞き慣れてる。だからわかる。“あれは違う”……あの音は、どこからしたんだろうね?」



第5話【人違い】フィクション


語り手「猫に人違いはされた事はある?」

聞き手「え、……ちょっと何言ってるかわからないな。てか、飼い猫であれば主人を間違えることってそうそうないし、野良猫なんて人間に興味ないでしょ、ワンチャン餌くれっかなァ~って寄るかもしれないけど。」

語り手「まぁね。……いやぁそこが可愛いんだけどさ!」

聞き手「話が逸れてるよ、照れるんじゃない。それで、人違いされるって何?」

語り手「あぁ、……いやね、可愛いとは言ったけど、……ちょっとこの前怖い思いをしてさ。」


《チャリンチャリン 自転車の音》


語り手「バイト終わったのが17時頃……かな? その日は平日で、中学生とか高校生も下校中がチラホラ見えてたのよ。何歳か年下の男子の知り合いが自分にはいてさ、ほら、小学生って学年6年あるじゃない? 自分が6年生の頃に、同じ共通のゲームが好きな1年生の知り合いがいたのよ。学年も学年だし少ししか関わりなかったけど。」

聞き手「へぇ」

語り手「1年生だった子が、今では小学校卒業して中学2年になってるんだもん。ビックリ。……その知り合いをさ、自分たまたま帰宅途中見かけたんだよね。……けど、なんっか……様子がおかしくて。」

聞き手「え?」

語り手「いやね、自転車止めて、立ったまま何か見下ろしてたんだ。」


語り手『おーい、どうしたん………………。』

語り手「つい、呼びかけていた言葉が止まった。知り合いは、立ったまま下を見下ろしたままフリーズしてたんだ。」

聞き手「まさか……さっき猫って、」

語り手「当たり、……知り合いが言うにはさ、観たい動画配信者の生放送に間に合わせたくて、WiFiは家にあるし急いで自転車漕いでたらしいんだ。……だから、」

聞き手「…………轢いちゃった、……のか。」

語り手「うん。それも子猫。」

語り手「なんて言葉をかけたらいいかわからなかった。知り合いは罪悪感で佇んでて、自分を見て気づいた途端泣き出した。」

聞き手「キツイな……それは。」

語り手「猫には悪いけど、素手で触っちゃダメだろうし、二人で手を合わせて謝罪した後に、お互い帰る方向違うから別れたんだ。……で、ここからよ。」

語り手『……そういや、今日親いないんだ。飯どーしよ。』

語り手「自分は、鍵を開けて中に入った。」

語り手『…………ぅぁ……?』

語り手「“なんだアレ”って思った。」

聞き手「何何、」

語り手「締め切ったカーテンに、遠くからだからぼやけてたけど、“二つの大きな黄緑色のもの”があったんだよ。」

聞き手「どういうことよそれ、え?」

語り手「最初は、何かの飾りか何かかと思った。けど、数秒後に──パチリと、明らかに、“瞬き”をした。」

語り手『ぅぅぁあああああああッッ!!!!!!』

聞き手「……その後は?」

語り手「いや? なぁんにも? さり気なく知り合いに聞いても、あの出来事は自分にしか起きてなくて。……不謹慎かもしれないけど、現れるなら轢いた本人に行って欲しかったなァ~……とは、ね。」



第6話【満員電車】ノンフィクション


語り手「自室は自分にとって唯一の心安らぐ場所じゃない?」

聞き手「そりゃね、ずっと誰かと話してたら疲れるもん。」

語り手「けど、一時期自分は自室が嫌いだった。」

聞き手「珍しいね。なんで?」

語り手「あー……まぁ、嫌いというよりかは、“居たくなかった”が正しいかな……。」


《ガチャ ドアが開き、閉まる音》


語り手『ねむ……』

語り手「その日は外出しててさ、疲労でもうすぐにでも寝たくて……けど、入った数秒後だった。」

語り手『……んんぁぁあ……ッ……もう!』

語り手「背中がなんかへばりつくような、ピリつくような。なんか、よくある“見られてる気がする”っていうあの感覚なんだろうな。立ってるのが嫌な感じ。とりあえず上半身を犬みたいに振ったりした。」

聞き手「んー……気の所為の可能性もあるけど、嫌な感じはわかるかも。」

語り手「ベッドにさっさと行って、毛布を被った。まだ、まだびりつく。背中はベッドで包まれてるから大丈夫だけど、毛布の向こう側が……もー嫌で嫌で。」

聞き手「そんなにぃ?」

語り手「そんなにだよ。……不思議だよ、毛布被ったはずなのに、……こう、なんだろう。……あぁ、なんか、“大勢がそこに固まって居る”……みたいな。……あぁそう! “満員電車”だ!」

聞き手「満員電車?」

語り手「うん! こう……“ぎゅう~”って圧縮されるような感じがさ!」

聞き手「でも、語り手は一人なんだよね?」

語り手「うん。別に……何かしてくるってワケじゃないんだけど、……空気が、なんか嫌。プライベートがプライベートじゃない。」

聞き手「ちなみに、今は?」

語り手「それがさ! ……我が家に新しく飼い猫が来たんだけど。」

聞き手「急に話が変わるな。」

語り手「いや? 関係あるんだこれが……。」

語り手『え、お母さんそれどゆこと?』

語り手「……お母さんが言うにはさ、自分が自室で寝てる時、さっきまで寝てたはずの猫が急に起き出して、ダッシュしたかと思いきや──自分の部屋に向かって唸ったり、威嚇したらしいんだ。」

聞き手「え?」

語り手「暫くすると、猫は元の場所に戻ってまた眠りにつく。……それが数日間続いて……猫もその内それをやめたら、……今では自室が、特に変わってないはずなのに、妙にスッキリした空気なんだよね。」



第7話【子供】???

※兄のセリフは同一人物がやっても良し。


語り手

聞き手

兄役


語り手「ウチさ、小さな子供って、ちょっと怖いんだよね……。」

聞き手「ん? なんで?」

語り手「本物の生きてる子供は可愛いよ? いやね……これ、ウチが幼稚園とかの頃の話なんだけどさ……」


(ガラガラ……とドアを開ける。)


語り手「ピクニックごっこ~!《ちょっと幼い感じに》」

語り手「小さい頃、何となく外で食べるご飯が美味しく感じてさ、お昼ご飯はお弁当にしてもらって、庭でよく食べてたんだ。」

聞き手「庭なんだ。(笑)」

語り手「あんま遠くに行けないしね~、雰囲気大事! サンドイッチよりおにぎりが好きだから、よくシャケ入れて貰ってたァ~!」

聞き手「良いお母さんだね。」

語り手「うん! それで食べ終わったあと暇だから、庭でウロウロしてたんよ。で、……ウチ日本家屋にほんかおくだから、縁の下覗けるんだけど……ここでね、奇妙なの見ちゃったの。」


(小石をふむ音)


語り手「ん~暗い…………あれ?(幼い感じで)」

語り手「……西洋人形かな? フリフリの可愛らしいお洋服着てたの。なんでかわからないけど、縁の下の中で立ってこっち見てたんよね。」

聞き手「え、」

語り手「勿論私のじゃないよ? ……でさ、気味悪くて家の中入ったんだ。ゲームしててもお絵描きしてても、ずっっと頭に人形がチラついてた。」

聞き手「嫌でもこびりつくよね。」

語り手「怖かったけど、夕飯食べ終わったあと、おにーちゃんに頼んで一緒に縁の下覗いてもらったんだ。……そしたら」


兄「あれか?」

語り手「女の子が……!!(幼い感じで)」

兄「え? 男の子だろ。」

語り手「え……?(幼い感じで)」

兄「ほら、兵隊の子が」



第8話【ホテル】フィクション

※友人のセリフは同一人物がやっても良し。


語り手

聞き手

友人


語り手「山で遭難しかけた」

聞き手「ヤバいじゃん」

語り手「うん。焦った。そん時の話なんだけどねー」


(草を踏んで歩く音)


語り手「友達二人と私が歩いてて、なんか段々“これ、道わかんなくなってね?”って気づいて足を止めたんだ。で、友達の一人が指をさして『あそこに建物がある!』って言ったんだ。私達は指をさされた方向を見て喜んだ。友達の二人と私は必死にその場を走り出して、その建物に来たんだよね……。」


語り手「おっっほこれは……」

友人一人「ラブホ……じゃね?」

語り手「アッハハ!! まぁ一晩だし、いいかっ!」

語り手「夕方でこれ以上は危なかったから、寝れる場所あるならここでいいやーなって、部屋とったんだ。」

聞き手「女の子同士でラブホにとりあえず泊まるのもあるあるだよね~!」

語り手「そそ、! それでさ、コンビニで多少お菓子買ってたから食べつつ、一晩過ごしたんだけど、翌日……」

語り手「何何……《恐る恐る部屋を出て》」

語り手「なんか悲鳴が聞こえて友達と出たらさ、別の部屋の前で血のべっったりついたナイフが落ちてたの。」

聞き手「ぅっ……」

語り手「私と友達二人でその場をすぐ退散……なんで警察が来るのを待たなかったかって? ……おかしなことに、ホテル内がボロッボロだったの。」

聞き手「……待って、《何かに気づく》」

語り手「明らかに、廃墟だったから。」

聞き手「待って待って待って《ゾワゾワする》」

語り手「……わかっちゃったか、」

聞き手「語り手含めて、行ったの何人……?」

語り手「……そ、二人」

聞き手「あとさ、」

語り手「ん?」

聞き手「私、言ってないからね?」

語り手「何を?」

聞き手「語り手が『おっっほ』って言ったあとの……」

語り手「…………あっはは! ……この話やめようか。」

聞き手「うん。」



第9話【身代わり】フィクション


語り手「バトルゲームとかでさ、“身代わり”って技とかあるじゃない?」

聞き手「あー、味方とか、なんかアイテムとかが代わりに攻撃受けたりその場を逃げれる的な?」

語り手「そう! ……まぁ、味方に当たるパターンだったらそれはそれで申し訳ないけどね。」

聞き手「たまったもんじゃねー。」

語り手「んー、あれさ、現実でも実際にあるんじゃね? って思えてきてさ。」

聞き手「なんで、」

語り手「実はさ……」


語り手「いや~まいったまいった!《病室のベッドでデヘヘっと笑う。》」

語り手「階段から盛大にすっ転んで足骨折してさ、入院してた時期があったじゃん?」

聞き手「あーあれね、もー呆れたよ! 命があったから良かったけどさ《ぶつくさ言うように》」

語り手「ごめんって!(笑) 実はさー……その数日後に今度はパピーが腕骨折したの。」

聞き手「何だこの親子」

語り手「ね、これだけならまだ“親子揃って……”って呆れるだけなんだけど。……イトコまで足骨折したの。」

聞き手「……え?《流石におかしいなと》」

語り手「その一週間後かなー……。パピーとそのイトコと私が共通して特に懐いて大好きだったのが、イトコのお兄ちゃんだったんだけどさ、そのお兄ちゃん夫婦が旅行立ててたはずなんだけど、急に行くのやめたらしいの。」

聞き手「用事とか?」

語り手「いや?」

聞き手「え? じゃあ……そのお兄さん夫婦の内誰かが体調不良とか……」

語り手「いーや?」

聞き手「えぇ……《どういう事だ? みたいな感じで困惑》」

語り手「お兄ちゃんがさ、急に“行っちゃダメ”って思ったらしい。」

聞き手「どういう事?」

語り手「オチ話すね。……お兄ちゃん達が泊まるはずだったホテルで、大火事が起きて多くの数の人が死亡した。」

聞き手「……ぁ、もしかして」

語り手「うん。助ける代わりに、代償として私達が三人で痛みを分け合ってたのかもなー……って。」



第10話【カーテン】半分ノンフィクション


語り手「この前はごめんねー! 通話出られなくて!《笑いながら》」

聞き手「ホントだよ……文字打つの大変だったんだから! 急ぎの用の時くらい、すぐに出れるようにしときなー?《全くもう! といった感じで》」

語り手「これには実は訳があってさ……この前怖い思いをして……」

聞き手「ふーん?《半信半疑》」


語り手「《電話越しで友人と話す》でさー! その後センセーカツラがズレて~」

語り手「その日、自分は友人と暇だから通話してたんよ。ホントに内容のないただの雑談。」

聞き手「オイ、センセーに失礼だろ」

語り手「サーセン」

聞き手「で? センセーヅラの話とどういう関係があr──」

語り手「いや全く? 微塵も関係ない。」

聞き手「ないんかい」

語り手「そんでなんの話のきっかけか、怪談話する流れになったんだよね。」

聞き手「ほう?」

語り手「自分の親は昔から変なもの見る体質でさ、たまに親の実話をネタに友人に話すんだよね。たまに話してて気分悪くなるから、そのタイミングで話をやめたりするんだけど……。この時、気分もまだ悪くならなかったから沢山実話話してたの。したら……」

語り手「え? 今なんて?《通話越しで友人に聞き返す》」

語り手「友人がさ、『嫌だねー、それは。それで、さっきから誰がいんの?』って聞いてきたんだよ。」

聞き手「……どういう事?」

語り手「友人曰く、さっきから、“通話の向こうでカーテンをガシャガシャ激しく動かす音”がするって。」

聞き手「え、動かしてた?」

語り手「してないよ! 自分はその後“冗談やめてこわいー!”って笑ったんだけど……友人さ、ガチだったんだ。普段冗談そんな言わないし、反応的にホントっぽかった。」

聞き手「普通は気付くよね。」

語り手「うん。何も聞こえなかった。でも……相手は確かに“通話越しだった”って。」

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