アジア人街の端にまで来たらしい?
ショーンとマルルン達は、道路で燃え盛るトラックにより、合流出来なくなった。
これにより、それぞれ左右から別の道を通って、アジア人街を目指す事にした。
「しまったな? みんな、取り敢えず、俺が先導するから、着いてきてくれるか? 文句はあるなら、今言ってくれて構わない」
「いや、文句はないな? リーダー役は、マルルンに任せていたから、お前でも別に構わないぞっ! それより、拳銃で援護射撃してやる」
「私たちは、魔法で貴方をサポートしますっ! ショーン、リーダーは任せましたよ」
何時もと違うメンバーに対して、ショーンは自分が指揮を取ると言って、前へと歩きだす。
そんな彼の左側に回り、ゴードンはピストルを構えながら、警戒しつつ着いていく。
アイスバールを手に取り、敵の奇襲に備えながら、ジャーラは右側を進んた。
こうして、彼等は交差点を左に曲がり、アジア人街へと向かっていった。
「ここは、アジア人街の端の方だな? こっちは余り来た事がないが…………」
「ここは住宅街だな? 海辺に面した商店街は、安全だと言うなら、まだ活気は有るはずだ」
「そうだと嬉しいです、私もアジア人街に知り合いが避難しているかも知れませんから」
「まあ、行ってみたら分かるさっ! とにかく、歩こうじゃないかっ!」
ショーン達は、アジア人街に存在すると言う、安全区域への雑踏を慎重に進んでいる。
色とりどりの看板が目を引く中、スパイスや唐辛子など、異国を思わせる香りが漂ってくる。
アジア人である、テアンは、クロスボウを構えて、背後を見張りながら歩く。
その左右を固める、サヤとカーニャ達は、互いに背中を預けて、建物に注意を向けている。
「さっきまでは、戦闘音が五月蝿かったが、妙に静かだな?」
「気のせいです…………と言いたいんですけど、殺気を感じますっ! どうやら、薙刀を振るわねば成らんようですね」
「私も魔法を、射ってやるさっ!!」
ショーンは先頭を歩きながら、誰かに見張られているような雰囲気を感じ取る。
赤い建物の窓や屋上に、まるで何者かが隠れているような気がして成らない。
それは、サヤも何となくだが、肌で察知しており、薙刀を握る両掌に力が籠る。
カーニャは周囲を囲む建物の窓に、両手を向けて、瞬時に魔法を放てるように身構える。
「不味い、囲まれているな…………」
「バレてたか」
「へへっ!」
ショーン達には、そこら中から、静かに不穏な影が忍び寄っていた。
チンピラ達が、路地の奥や建物から、密かに彼等を見つめていたからだ。
連中は、既に包囲を完了しており、ぞろぞろと複数人で道路に登場した。
屋根や屋上から、飛び降りたり、窓や玄関等を開けて、飛び出てくる。
「おい、そこの連中、女を差し出せっ!」
一人の黒人マッチョが叫び、鋭いナイフを片手に突っ込んできた。
ショーンは、瞬時に状況を把握して、仲間たちに目配せすると、即座に動いた。
「殺られるかよっ! こっちだって、もう何年も冒険者をやってるんだからなっ!」
「ぐわっ! ぐぶっ!」
「このっ! ごばああああっ!」
心臓が高鳴る中、ショーンは迫る、黒人マッチョの腹を蹴り上げる。
そして、体勢を崩した所を狙って、ショートソードで胸を突き刺す。
もう一人、シロアリ人間が、スモールソードを振るったが、それを彼は後ろに飛んで回避する。
と同時に、一気に前へとジャンプして、反撃に袈裟斬りを喰らわせる。
「この野郎っ! 大人しくしなっ!? ぐばあ?」
「やっちまえ、遠距離から攻撃だっ! げば…………」
「させるかよ、間抜け」
「私の魔法の方が、速いってのっ!!」
白人のチンピラは、窓に身を隠しながら、弓を構えていたが、テアンによって射たれてしまう。
散弾銃を抱えた、アジア人のチンピラは、屋根に上がったが、カーニャにより紫ビームで殺られる。
「こうなりゃ、接近戦だっ!」
「来れでも喰らえっ!」
「やっちまえ、奴らは数人だっ!」
「魔法を喰らえっ!」
ゴルフクラブを片手に、青肌インキュバスのチンピラは襲いかかってきた。
それに合わせて、蜘蛛人間のチンピラは、スローイングナイフを幾つも投げてきた。
痩せこけた、黒人のチンピラは、鉄パイプを片手に、一直線に突撃してくる。
太った、白人のチンピラは、ウォーハンマーを振り回しながら走ってきた。
「ヤバい、周りから一斉に来やがったっ! ぐっ! このっ! 止めだっ!」
「喰らえ、ぐぅっ! うおっ!」
ショーンは、アラブ人チンピラの突き出した、レイピアをバックラーで受け止める。
その反撃で、トリップソードを振るうが、敵も刃で斬撃を受け流す。
しかし、最後は再び、素早く動いて、敵の頭を袈裟斬りにした。
「心配しないで下さい」
「うわっ! 来るなっ! 来るなっ! ぐえっ!」
「俺達だって、強いんだからなっ!」
「頭を叩き割ってやるぜ」
スローイングナイフを、薙刀の刃で弾きながら、サヤは蜘蛛人間へと、一気にジャンプした。
次いで、距離を詰めたあと、頭上から一撃を振り下ろして、敵の体を真っ二つに切り裂く。
テアンは、クロスボウを手放し、腰から釵を取り出しながら、ゴルフクラブの殴打を避ける。
そして、青肌インキュバスの腹を刺し、両手で押さえた所で、頭を何度も叩きまくった。
「これで終わりだっ!」
「いや、俺トロール族だし…………」
「行くぜっ!」
「これくらい、簡単に避けられますよっ?」
痩せこけた、黒人チンピラは、鉄パイプを、ゴードンの顔面に叩きつけた。
それを喰らった当人は、平気な顔で、相手の胸ぐらを掴んで投げ飛ばすと、壁に衝突した。
太った、白人のチンピラは、ウォーハンマーを横凪に振るったが、ジャーラは頭を下げて回避する。
そして、奴がバランスを崩した所を狙って、アイスバールの尖った部分を、喉に突き刺した。
「に、逃げろっ!!」
「退け、退かないなら、斬るぞ」
「邪魔だああああっ!」
「死ねえっ!」
茶アリ人間のチンピラは、一目散に逃げ出し、戦場から離れようとする。
それに続いて、グールのチンピラは滅茶苦茶に、ロングナイフを振るいながら逃走する。
ツルハシを両手で握る、白人のチンピラは、頭上に掲げながら疾走していく。
赤いリザードマンのチンピラは、手裏剣を何枚か適当に投げながら、踵を返して走った。
「逃がしはしない、もし仲間が存在して、お前たちが増援に連れてきたら厄介だからな」
「く、くるなら殺るまでだっ!! ぐああ…………」
「死ねえ~~!? ぎゃああああっ!?」
「やってられるかっ!」
「助けてーーーー!!」
ショーンは逃げる敵を追って、正面に回り込むと、トリップソードを振るった。
グールのチンピラは、邪魔な彼を目掛けて、ロングナイフで斬りかかるが、逆に首を跳ねられた。
ツルハシを握る、白人のチンピラは、突進しながら両手を頭上に掲げたが、胸を一突きされる。
茶アリ人間のチンピラは、攻撃はせずに逃げ切ろうと走り続ける。
赤いリザードマンのチンピラは、手裏剣を落としながら、とにかく道路を駆けてゆく。
「あっ! 待ちやがれっ!」
ショーンから距離を取り、左右から抜けていった連中は、そのまま逃走していく。
「逃がさないわよ」
「後ろは狙いやすいんだっ!」
「ぎゃああーーーー!!」
「ぐ、うう…………」
カーニャは、右手から暗黒球を放ち、茶アリ人間のチンピラは、胸部に円い穴を開けられた。
テアンは、クロスボウから、サンダーボルトを発射して、赤いリザードマンのチンピラは倒れる。
「勝ったな? しかし、まさか、チンピラが出るとは」
「やはり、ゾンビが一掃された分、安全圏や食糧を求めて、チンピラ達が移動してきているのでしょう」
ショーンは、倒れている赤いリザードマンの死体を見下ろしながら蹴る。
ジャーラも、周囲を警戒して、残敵が残ってないか、険しい表情を浮かべながら呟く。
こうして、彼等は全員無事に、チンピラ達に勝利する事ができた。




