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ジゼル・オルレアンと不治の病

ベッドで眠ったと思ったら、私はまた白い空間にいた


「やあ、次の体は気に入ったか?」


声がした方を向くと、予想していた通り金髪イケメン(自称神)が立っていた


「気に入ったかと言われても・・!

あの体の持ち主である本当のジゼルはどうしたんですか?」


「この世界のジゼルは、君の魂と融合している」


「融合?まさか私がこの世界に転生するために、無理に・・!?」


この金髪イケメン(自称神)はもしかして悪い奴だったのか!?と思い、一歩後ろに下がると慌てて声をかける


「待て待て、話は最後まで聞け!

ジゼル・オルレアンは、不治の病を患っていたのだ」


「不治の病ってどんなものですか?」


「この世界では、先祖返りと呼ばれている」


「先祖返りって、ご先祖様の特徴や性質が強く出ること・・ですよね?」


それのどこが問題になるのだろうか、と疑問に思う


「ああ、その通りだ。

だが、今のネスティア王国で先祖返りが発症すると99%死亡する」


「99%?!そんな・・。」


「そもそもだがお前さんが転生したネスティア王国は、獣人と人間が手を取り合い建国された国だ。

建国から2000年たった今では高位貴族や王族、もしくはまれに血が濃い人間のみが姿を変えたり、能力を使用することができるぐらい力は弱まっているがな」


金髪イケメン(自称神)が指をふると、光が集まりピラミッドの形となる

1番上が高位貴族や王族、2番目が血の濃い人間、3番目が人間と表示されている


(なるほど、能力の強さ順に並べられているんだ・・。

思ったより、人間の割合が多い)


ざっと見た感じ、人間7割、獣人が3割ぐらいの割合だ


「先祖返りは、この3割の中でも特に強い力を持って生まれてきたってことなんですね」


「ああ、ジゼルはオルレアン家の初代当主と同等、いやそれ以上に強い力をもって生まれた。

強すぎる力に、幼い体は耐えられず昏睡状態に陥りお前さんが事故にあったあの日に・・死亡した」


「そんな・・、なにか制御する方法や道具とかなかったんですか?!」


ファンタジー世界なんだ、ご都合アイテムや方法だってあるはず!と思い尋ねる


「確かに、1つだけ方法はあった。

だが、ジゼルが幼すぎたのとその方法が広大な砂漠から1粒の金を探すぐらい難しい方法だった」


「そんな・・」


「先祖返りが発症する原因は不明な上、発症した者は長くても10歳までしか生きられないことから、この国は不治の病だと言われ問題になっているのだ」


「なるほど、大体わかりました。

・・私とジゼルの魂と融合させたのは、どうしてなんですか?」


「お前さんとジゼルの魂の波長は一致していたから、そのままお前さんの魂をジゼルの肉体に宿しても反発されることはないが先祖返りが治るわけではない。

だから、ジゼルの魂と融合させ魂の「質」を上げることで先祖返りに打ち勝てるようにしたのだ」


我は天才であろう?褒めてもいいんだぞ!

うははははは!と笑う金髪イケメン(自称神)に少しイラっとする


「笑いごとじゃないですよ!

私はともかく、ジゼルには説明をしてるんですか?」


「もちろんだ。

昏睡状態になっていた2年間は、我と共にいたしすでに話をつけていた」


自分の体のことだからか、あの子は長く生きれないことを悟っていたんだ。と話す金髪イケメン(自称神)はその時のことを思い出したのか顔を歪める


「そう、なんですね・・」


「・・・ああ。

まだ幼い子供なのに、お前さんの一部になってでももう一度家族に会えるならとすぐに承諾してくれたよ」


「ジゼル・・」


胸に手を当て呟く

なにも返ってくることはなかったが、手のひらが少し暖かくなったように感じた


「わかりました。

この世界で、ジゼルの分まで幸せにいきます!」


「うむ、その調子だ!」


嬉しそうに笑う金髪イケメン(自称神)の姿がぼやけ始める


「あれ、なんだか姿が・・」


「無理にお前さんの精神に干渉したからだな。

これ以上は時間がない、達者で生きるんだぞ」


爽やかな笑顔で立ち去ろうとする金髪イケメン(自称神)


「ちょ、ちょっと待ってください!!

まだ聞きたいことはたくさんあるんですよ!

この世界のことや神様のこと、それにあの子って誰なんですか?!」


消えそうな神様の肩を慌てて掴む


「引っ張るな!我のお気に入りの服が伸びるだろう!?

・・あの子とは、■■■■のことだ」


「え?今なんて言ったんですか?」


ノイズがかかったように、突然金髪イケメン(自称神)の声が聞こえなくなる


「本来、我はこの世界に干渉できん。

だから、あの子の名前や情報を言ったところで、お前さんにはすべてノイズとなって聞こえるのだ」


「あの子の情報についてなんにも言えないくせに、転生条件に「あの子」の幸せを盛り込むなんてこんなの詐欺ですよ!

こんなのクーリングオフ対象ですよ!?」


「あー、うるさい!サインした後で文句を言うな!

クーリングオフできんと書いていただろう!?

それにお前さんなら、一目見ればあの子が誰かわかるからそう怒るな」


肩に置いた手を離される


「・・なにそれ、ジゼルには「あの子」センサーでもついてるんですか?」


「そんなものだ。

・・さあ、お前さんもそろそろ目覚める時間だ」


「え」


金髪イケメン(自称神)が、私のおでこを軽く押すと視界がだんだんと黒く染まり

気が付けばジゼルの部屋の天井が見えた


「・・・あの金髪イケメン(自称神)、次会えたら一発殴ってやる」


そう決意し、上半身を起こすとコンコン、とノックの後に女性の声が聞こえてきた


「ジゼルお嬢様、お目覚めでしょうか。

お部屋に入ってもよろしいでしょうか?」


「あ、はい!入ってください」


「おはようございます、ジゼルお嬢様。

私は、オルレアン家のメイド長スーザンと申します。

そして、右側にいるのがお嬢様の専属メイドのヤナでございます」


「初めまして、ジゼルお嬢様。

この度、ジゼルお嬢様の専属メイドになりましたヤナと申します!

まだ未熟な部分は多いですが、何卒よろしくお願いいたします」


ぺこり、と頭を下げた後ヤナはにこりと微笑んだ

おそらくジゼルより少し年上だろうが、可愛い笑顔が親近感を感じさせた


「スーザン、ヤナ、これからよろしくね」


「はい、ジゼルお嬢様。

では、これから朝の支度を行いましょう。

その後は、胃に優しい食事を用意いたしますね」


「ありがとう」


顔を洗った後、髪をとかしてもらう


(・・・)


鏡に映るジゼルは、公爵と同じ黒髪にルビーのように赤い瞳をしていた

目鼻立ちも整っており、幼いながらもすでに美しかった


だけど、その美しさが霞んでしまいそうなほど青白い肌に細すぎる体に思わず顔をしかめる


「ジゼルお嬢様、どうしましたか?」


心配そうに鏡越しに、こちらを伺うヤナ


「なんでもない!お腹すいたから、ご飯を食べたいな」


「はい、すぐにご用意いたしますね!」


嬉しそうに準備を始める2人を見ながら、今後のことを考える


(まずは体調を元に戻さないと。

今後のことやあの子のことは、それから考えよう!)

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