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恋愛学校の落第生共よ、恋を知れ  作者: 風野唄


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006話 小さき者の挑戦

誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。

面白いと思っていただけたら評価やコメントお待ちしております!

「さてと、副菜と言っても何を作ろうか。小冬は何か食べたい物あるのか?」

「いちごケーキ」

「うん、ごめんな。俺の質問が悪かった。副菜で何か食べたい物はある?例えば、ポテサラとか、きんぴらごぼうとか」


料理を羅列していくと、小冬のお腹がぐぅーっと鳴った。


「ポテトサラダ、食べたい」

「よっしゃ、ポテサラにするか!作る物が決まったし、早速始めようぜ」


普段から料理をするタイプではないけど、ポテサラくらいなら作れそうだ。

小冬は料理した事ないって言ってたし、ここは俺が一肌脱ぐか。

まずは腕が濡れないようにシャツの袖を捲ってと。


それに合わせて小冬がブラウスの袖を捲る。

何でもない行動のはずなのに、小動物を見るみたいにほっこりとした気持ちになるのは何故だろう。

まさか!これがミラー効果か!

口数が少ないだけに見えて、実は恋愛上級者か?


今度は料理をする前に手を洗うと、小冬が真似をして手を洗う。

……俺の奥底に眠った母性本能が目覚めそうなんだけど。


衛生面もバッチリの状態になったので、ようやく食材選びに入る。


「じゃあ、まずはあそこから食材を───」

「分かった。持ってくる」


ふんすと鼻息を荒くして行ってしまったが、大丈夫だろうか?

まだ何1つ食材を確認していないんだけど。

まぁ、見た目が幼いけれど、小冬も高校1年生なのだからそこまで心配する必要もないか。

ベースとなるジャガイモとマヨネーズ、胡椒さえ合っていれば、残りは多少であればアレンジの範疇で誤魔化せるだろうし。


遠目ながらに、沢山食材の置かれた教師用の調理台で頑張っている小冬を眺めていると、次第に様子がおかしくなる。

1人で頑張ろうとしているところに手助けへ入るのは、失礼かと思ったが堪らずに小冬のもとへと急ぐ。


「ストップ、ストップ!明らかに持ちすぎだから!てか、絶対ポテサラに関係ない物まであるから」

「そうなの?小白が食べたい物選んだ」

「うん、そうだろうな」


顔も隠れるくらい大量の食材を抱え込んでいた。

中にはイチゴやバナナなどのフルーツや、チョコレートなどのお菓子、パスタの麺などがぎっしりと。


「……全部ダメだった?」


食材の横からひょっこりと顔を出して悲しそうにこちらを見つめてくる。

……そんな目で見られたら何とかしたくなるよな。


「しょーがない、どれどれ。おっ、これは悪くないな。そうだな、これも入れてみるか。後はこれとこれで、最後に無難な食材を足せば良いか」


小冬が選んだ中からリンゴとペンネ、おつまみのサラミとチーズを取り出して、後はそっと戻しておいた。

大分数は減ったけど、小冬が選んでくれた食材を使う事に意味がある。

それでも、自分が選んだ食材をあんなに戻されてしまったら、本人は不服じゃないかと思って表情を窺う。


「すごい!これ使ってポテトサラダ作れるの?早く作りたい!どんな味なるかな!」


この授業の中で、1番高いテンションを見た。

大したことはしていないけど、こんなに喜んでくれるなら選んだ甲斐があるな。


1人でもギリギリ持ち切れる量だったけど、いくつかは小冬に渡す。

手持ち無沙汰で荷物を持っている人の隣を歩くのは気まずいだろうからな。

多少、非効率だったとして分担する方が心は穏やかだ。


そんな俺の考えは正しかったらしく、小冬はぴょこぴょこという効果音が似合いそうなぐらい、上機嫌で自分達の調理台へと戻って行った。


「うおぉーーー!!!負けないッスよ!とりゃ!ハッ!せいやー!」


どこから出したのか不明な使い古された中華鍋によって轟々と燃え盛る真っ赤な炎。


「あらあら、そんなんじゃ勝てないですよ。それ!えいっ!よっ!」


こっちは上品なフランベによって鮮やかな群青の炎が。


忘れていたけど、自分達の調理台では調理対決をしている女子生徒が2名。

目隠しをしていたら格ゲーのボイスにしか聞けないけど、目を開けたらちゃんと料理してるんだよな。

すごい美味しそうなのは良いけど、うるさいから黙ってやってくれ。

めっちゃクラスメイトから視線を浴びてて辛いんだぞ。


「テーブルの少しのスペースとコンロ1つ借りるぞ」

「「どうぞ!」」


スペースも確保出来たので次の工程に入る。

ここからはいよいよ料理をしている感が出てくるところだ。

逆を言えば、味に大きく関わってくるので下手な失敗は許されない。

適度な緊張感を持って進めていかなければ。


「まずはジャガイモの下処理からだな。1番時間が掛かるのはジャガイモを茹でるのだし、先にやっておこう」


ここからは手際との戦いだ。

最初は皮剥きから。

俺は包丁を使って皮と芽を取り除くが、不慣れな小冬には難しいだろう。

なので、秘密兵器として用意されていたピーラーを渡す。


不器用ながらにも頑張っている小冬と協力して、何とか全てのジャガイモを剥き終える。

それを予め水を沸騰させていた鍋へ。

茹でている間に、リンゴを薄く銀杏切りにして、サラミを細かくして、ペンネも茹でて、色々やって完成したら物がこちら。


大事な調理工程を省くなよって怒られても困るぞ。

アニメ化された時に20分とか30分、ジャガイモ茹でてる映像流す訳にもいかないだろ?

尺の都合上、仕方なくって奴だ。

テレビだってよく使う常套手段だし、許してくれ。


「……小白料理作った。やった!料理出来た!」


完成の喜びで思わず抱き付いて来る小冬。

どうして良いのか分からず、身動きが取れない。

イケメンだったら、ハグで返して頭を撫でるんだけど、流石に俺の面では通報されかねない。


「とりあえず、食べるか」

「うん!」


まだ狛町と一宮は料理が完成していないみたいなので、先に食べてしまおう。

小冬もお腹空いてるだろうしな。


「「いただきます」」


まずは自分が食べるよりも先に小冬の反応を待った。

初めて自分で作った料理だ。

達成感も相まって、美味しく感じるのではないだろうか。


「んっ!?すごい、すごいよ天命!美味しい!上手く言えないけど、美味しい!」

「どれどれ、俺も一口。本当だ!良い感じに出来たな!やるな、小冬」


お世辞抜きで美味しい。

リンゴも味を邪魔している感じがないし、チーズと相性が良い。

サラミもハムとかベーコンの代わりとして成立していて、ペンネが食べ応えを増している。


「違う。これは天命と小白で作った。小白だけじゃこんなの作れなかったと思う」

「じゃあ、2人で作ったから2倍美味しいんだな!ほら、暗い顔しないで笑顔で食べようぜ」

「……ありがとう、天命」


気恥ずかしいセリフのせいで小冬の顔は見られないけど、笑顔だったら良いなと心から思った。

ご覧いただきありがとうございました。

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