表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋愛学校の落第生共よ、恋を知れ  作者: 風野唄


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/52

051話 俺は少し歩み出した

誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。

面白いと思っていただけたら評価やコメントお待ちしております!

「やべぇ、忘れてた」


俺は今、最大のミスを犯していた。

3等級の牢屋を見つけたのだが、立ち尽くしている。

仲間が牢屋にいるのは確認出来たので、早く助けに行きたい。

だけど、完全に忘れていたことがある。

牢屋から助け出すには女子生徒の助けが必要であるということだ。


……恥ずかしっ!!!


お前ら絶対に数話戻って、自陣を飛び出したシーンを見返すなよ。


風々や犬子にあれだけ啖呵を切って出てきたのに、今更戻るなんて出来ないよな。

かと言って、このまま放置する訳にもいかないし。

クラスの女子を呼んでくるにしても、これだけ広大なフィールドから探すのは骨が折れる。

偶々、目の前を通り過ぎる都合の良い女の子が……いたッ!


「小戸野!ヘルプ!」


みんなのお姉さん小戸野様だ!

そういえば、紹介がまだだったな。

小戸野奏、絶対音感を生まれながらに持つピアニストで、音学界の神童とも呼ばれている。

今までに受賞した回数は自身でも数えきれないらしい。

クラスのお母さん的立ち位置で世話焼きの一面が強い。


無理矢理差し込んだ感が否めないが、心の中で約束した事だったから致し方ない。

これで許せ小戸野。


「小戸野、こっちだこっち」


何度か手を振ってアピールすると、俺に気付いた。

スタスタと走り寄って来る。

どんどん距離は近くなるのに、一向に勢いが収まらないのは何故だろうか。


「歯食いしばってよッ!天野くんッ!」


乾いた音が響いた。

痛みよりも先に後悔が押し寄せる。

きっと彼女にも話が伝わったのだろう。

俺が何を言って、何をしたのか。

勝手に終わったつもりでいたけど、何も終わっちゃいない。


「犬子ちゃんが泣いてた!」

「犬子が……泣いてた」

「なんで背負い込むんだよッ!全部1人で背負い込むのが美徳じゃないだろッ!……私、天野くんが昔何をしたのかも知らない。多分、知られたくない事なんでしょ?でも、みんな一緒なんだよ!このクラスはそんな複雑な想い抱えてる人ばっかりなんだよ!何かを変えろとか言わない。壁を乗り越えろなんて言わない。でも、これはクラスで戦う恋愛祭ッ!私達を頼れよ、馬鹿ッ!……何で人の為なら頼れるのに、自分の為には頼れないんだよ」


すごい剣幕だ。

彼女も疲れたのか肩で息をしていた。

息継ぎすら忘れてこんなに真剣に怒ってくれるなんて、良い奴過ぎる。


「俺だって間違えてしまったのは分かってる。きっともっと良い選択肢があったことも。でも、俺は何度やり直したって間違える。それは変えられないと思う」

「……天野くん」

「でも、小戸野の説教はちゃんと響いた。今の俺には頼れる奴が沢山いるんだって。だから、間違えないようになるまでちゃんと正してくれ。今はそれが俺の精一杯だ」

「分かった。ただし、条件がある」

「条件?」

「ちゃんと犬子には謝んなね。何もない顔して接して来るかも知れないけどさ」


謝る……か。

分かっているが難しい。

謝りたくないという訳ではなくて、どんな顔をしてどんな言葉を掛ければ良いのか分からない。

人に向き合う事を避けてきた俺にとって、何よりも難しい。

たった一言ごめんで済むだろうか。

いや、話さければいけないことは沢山あるはずだ。

言葉にするのが苦手な俺には……。


だからこその条件付きだったのかもな。

条件であるならば仕方ない。

そう思わせることで、背中を押してくれているのだろう。


「小戸野、サンキューな」

「はい、これで話は終わり」


パンッと手を叩いて話を切る。

ここからしんみりするのが、好きなタイプでもないらしい。

俺としてもそっちの方が気持ちの切り替えが出来て有難い。


「で、助けを求めてたけどどうしたの?」

「あんな話した後で言い辛いんだけど」

「何?別になんでも話聞くけど」

「後から気付いたんだ。牢屋に捕まってるクラスメイトを助けるのに、女子生徒が必要なことに」

「……天野くん」


顔に手を当てて、見てられないといった感じだ。

俺も同じ立場なら同じ気持ちになっただろうな。

なんか度々申し訳ない。


「そんで敵の状況は?3等級でかなりの人数が退場したんでしょ?さっきアナウンスがあったよ?」

「あぁ、見ての通りだ。牢屋の護衛は誰もいない。元々、勝つつもりなんて無かったのかもな」


ただ暴れたかっただけだとすると、相当血の気の多いクラスだ。

こっちとしては迷惑な話である。

助け出すのは容易なのが、唯一良かった点と言えるだろう。


「油断は出来ないね。身を隠しているって可能性もある訳だし」

「十分、気を引き締めていこう。ここで小戸野を失ったら大変だ」

「その時は頭下げて犬子ちゃんに頼んでみたらー」


ちょっとした意地悪でそんな事を言う小戸野。


「勘弁してくれ。俺にはちゃんと謝らないといけないことあるんだから」

「おっと、そうだったね。じゃあ、さっさと終わらせようか。犬子ちゃんもそうだけど、風々ちゃんも心配だしね」

「そうだな」


牢屋の前に移動したが、やはり3等級クラスが現れることはなかった。

最後の最後まで何が起こるか分からないと気を引き締めていたんだけどな。

帰り道も、自陣に着いた瞬間も無事だった。


戻って来た。

みんなの助けを借りて、ようやくみんなの所へ。

1人では決して戻れなかった。

感謝してもしきれない。


みんなに謝りたいけど、それよりも先に頭に浮かぶ犬子の顔。

彼女はどこに。

必死に俺は探し始めた。

ご覧いただきありがとうございました。

よければ評価、ブックマーク、いいねお願いいたします。めっちゃモチベーションに繋がりますのでどうか、どうか!!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ