040話 ケイドロは地域によって呼び方が違う
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『ルールを説明するね』
整理の追いつかない俺としては、待ってくれと言いたいが、映像は無機質に続く。
『みんなはケイドロのルールは知ってるかな?そうそう、警察は逃げる人を捕まえていくんだけど、捕まった人は牢屋から味方によって解放してもらえるの。だから、警察側は牢屋を見張りつつ逃げる人を捕まえる遊び』
確か、ケイドロ以外にもドロケイとか、助け鬼みたいな名前もあると聞く。
懐かしい感情に包まれたの束の間、ルール説明が本格的になる。
『恋愛祭式は各クラスの男子が警察に近い役割を、女子が逃亡者に近い役割を与えられているよ。そして、最終的に多くの生徒を捕まえたクラスの勝利となる。以下、詳しい説明は画像を見ながら説明しよう』
画像の説明を要約すると、
・各生徒には、電子ブレスレットが配布される。
・電子ブレスレットは、他クラスの男子生徒にタッチされると色が変わる。
・色は2段階で変化。1回目が黄色、2回目が赤色となり、赤色になった場合はその場に停止する。
・ブレスレットが赤色の生徒は、誰でも牢屋へ連れ行く事が可能(牢屋へ連れて行く生徒は、捕まえたクラスを問わない。ただし、クラスメイトは不可)。
・女子生徒は触れたクラスメイトのブレスレットの色を1段階戻す事ができる(ただし、連続して使用は出来ず、30秒のクールタイムが必要)。
・牢屋にいる生徒に女子生徒が触れた時のみ、クールタイムは不要。
・最終的に、牢屋にいる生徒(男女問わず)の人数がポイントとなる。
・制限時間は2時間。
思っているより考え込まれた設定だ。
重要であるのは間違いないが、一度では覚えられないので写真を撮っておくことにした。
『ルール説明はこんなものかな。開始は今から30分後、それまでにみんなが選んだ勝負服に着替えてね。結構ハードな戦いになるからみんな頑張ってねー!』
画面が30分をカウントするタイマーに切り替わる。
今のルール説明を踏まえて、多少の作戦会議をする時間は与えられているというみたいだ。
その前にテントで作られた更衣室へ行き着替えを済ませる。
改めて周りを見るとふざけた格好ばかり。
なんなら、まともな格好をしている俺の方が浮いているという珍事件が発生していた。
気恥ずかしいので、さっさと着替えを済ませて外へ出る。
他のみんなが着替え終えるまでの間は、軽く準備運動をして体を慣らす。
最近、体を動かしているからと言って、いきなり動き出すと怪我をするからな。
怪我をすれば当然戦力にはならない。
全員が着替え終えた段階で、満導を起点に作戦会議が始まる。
「このルールにおいて重要なことは1人で動かないことだと思う」
満導の言うことは正しい。
自分達のクラス以外は全員敵であることを考えると、敵と遭遇する確率はかなり高い。
このルールのポイントとなるのは、女子生徒を守り、回復を沢山して貰えるかだと思う。
全員がバラバラで動いていたら、助けることは困難だ。
「必ずツーマンセルで動こう」
「他に作戦はあるッスか?」
「牢屋を守る人が必要だから、1組か2組くらいは見張を付けよう」
「なら、バディが捕まった場合は一度見張り組と合流した方が良さそうッスね」
「その方が円滑に情報共有が進めそうだ」
スムーズに作戦会議は進んでいく。
1人として自分達が負ける未来を想像していない。
絶対に勝つと言う気持ちがひしひしと伝わってくる。
それからいくつかの決め事を話し合い、残り1分で始まるというところまで来た。
「最後に満導の言葉で気合い入れた方が良いんじゃねーの?」
さりげなく俺がパスを出す。
始めてクラスが団結する行事なんだ。
スタートダッシュはリーダーが導くべきだろう。
「僕達は落第生クラスと揶揄されている。でも、僕はこのクラスが好きだ。色んな人がいて、僕がいて、個性が認められて、欠点を受け入れられて、そんな最高のクラス。だから、誰1人として欠けないように。見せてやろう、ここからは落ちこぼれの時間だ!」
「「「おぉーー!!!」」」
タイマーは0になった瞬間、スタートという文字が映し出された。
そして、また2時間を測るタイマーが作動する。
まずは作戦通りペアを組むところから。
満導によって無作為に選ばれていく。
俺のペアは犬子だ。
まだ交流のない生徒よりは話しやすい。
変な所にリソースを使わなくて済む分、パフォーマンスは十分に発揮できるはず。
「俺達の最初の役割は偵察だとよ。森の中は結構動きにくいけど大丈夫か?」
「大丈夫ッスよ!ほら、これえっちいチャイナ服じゃなくて、ちゃんとズボンタイプだし」
「なら、大丈夫そうだな。別に運動神経が悪い訳でもないだろうし」
「悪くはないッスけど、期待はしないで欲しいッス」
話をしながらも森へ足を踏み入れると、空気がガラッと変わった。
木々から溢れる光だけが辺りを照らし、日中である今も薄暗い。
時折、風に揺られて鳴る木々の合唱が、不安を少し和らげた。
もっとゆっくり堪能したい所だけど、ケイドロは始まっている。
呑気に歩いてる奴は格好の的になるだけだ。
「まずは相手陣地を探すか。浮いてる奴らがいたら、そこも狙う形で」
「いやー、緊張して来たッス。トイレとか寮出る前にしておくべきだったッス」
「漏らすなよ?」
「……さぁ、行くッスよー!」
頼むから約束して欲しかった。
マップは紙で支給されているのがある。
自陣の位置を見て、おおよそ他クラスの位置も予測出来た。
大体円状になっている森の地形。ここに五角形になるよう陣営が配置されているのだろう。
その証拠を裏付ける為にフィールドのなるべく端を歩きながら、敵陣へと向かった。
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