036話 議論とは個性だ
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ボクシング部を後にした俺達は、めげずに様々な部活を見学した。
何故だか小白が選ぶのは運動部ばかり。
メジャーどころは全て見学に行ったと言える。
ただ小白は見た目もあってか、マネージャー希望として間違われることが大半だ。
本人としては実際にやってみたかったらしく、不服そうにしていた。
気になるのは、何でそんなに運動部に固執するのか。
彼女は元々運動は得意ではない。
寮と学校の行き来でさえも若干の疲労が見受けられる。
得意でないから、してはいけないなんてルールは存在しない。
それどころか苦手な事に挑戦するのは良い事だ。
だけど、理由は気になる。
「何で運動部ばかり見学するんだ?実は動くのが好きとかなのか?」
「うーん、嫌いではない。でも、見学する理由は違う」
「どんな理由なんだよ」
「近々恋愛祭があるから、小白も活躍したくて。運動部入れば運動神経良くなるでしょ?」
成程、恋愛祭の為だったのか。
クラスの役に立つために色々と考えた結果なのだろう。
「でも、部活に入る必要まではないんじゃないか?恋愛祭はすぐなんだし」
「それ以外には思い付かなかった。小白、1人だと運動するにしても限界がある」
「俺が一緒にやろうか?指導とかは出来ないけど、トレーニングについて全く無知って訳でもないし」
これなら運動部に入る必要はない。
小白自身がどうしても入りたいなら話は別だが、こだわりがないなら俺が教えるだけで十分だろう。
「本当!?ありがとう、天命」
「お礼を言われる事じゃないだろ。小白が頑張りたいって気持ちは分かるし」
「それでもありがとう」
お礼を言われるとむず痒い気持ちになる。
最近は感謝される機会が増えてきて尚更そう感じる。
「じゃあ、その辺りの話は後するとして、文化部の方も回っていくか」
「そうする。見たい部活があるから」
今度は文化部を中心に見て回る事に。
文化部は運動部よりも部数が多い。
理由は単純で、運動部とは違い大半は狭い部室1つで十分活動できるからだ。
オマケに部費まで出るとなれば、申請依頼は後を絶たない。
その分、活動実績として学校側が納得出来る物を提出しないと即刻廃部になるらしいから、どの部活もこの時期は部員の確保に躍起になっていると茶道部に入った彩が言っていた。
部数が多いから、今日で全部見るのは不可能だろうな。
時間から考えて、2〜3個見るのが限界だ。
特殊な部活も多くて、どれから見れば良いのかは迷うばかり。
ここは小白の勘に頼ってみることにしよう。
どこを見学するのかと聞いてみると、付いてきてとだけ言ってスタスタと歩き始めた。
部活一覧を眺めながら、予想をしていると意外にも早く着いたようだ。
部室の前には、コピー用紙に綺麗な字でディベート部と書かれていた。
小白は珍しい部活に興味を持ったんだな。
「見学したいのは、ここか?」
「そう。ずっと気になってた」
「そこまで気になるなんて、何か理由でもあるのか?」
「お喋りするの好きだから、色んな人の色んな視点の話聞きたい」
ディベート部ってどんなものか知らないけど、小白くらいの頭脳があれば、楽しめるかもな。
俺にはちょっとだけ縁のない部活に思える。
頭を使うのは得意分野じゃない。
「すみませーん、見学したいんですけど」
ノックをしてから開けた扉の先には数名の生徒。
活発な議論をしていると想像していたが、各々がソファーや椅子で寛いでいる。
「なっ!?なんでアンタがここにいるのよ」
オフィスチェアに座っていた見覚えのある少女が勢い良く立ち上がる。
顔は嫌な物を見たと言いたそうだった。
名前は確か……、
「……ツンデレ子」
「高飛紫乃よ!最悪なんだけど。落第生クラスの中でも悪目立ちしてる男が見学に来るなんて。そこに立ってるだけなら帰ってくれる」
「こーら、紫乃ちゃん。ダメでしょ?5等級クラスを差別したら。ほら、2人とも座って座って。2人は紅茶で良かった?」
茶色の長い髪を三つ編みにして、優しそうなふんわりとした雰囲気を醸し出すお姉さんがソファーへと俺達を案内する。
手際良く紅茶まで淹れてくれて歓迎されているようだ。
反対に、高飛は渋々俺達を受け入れたが、歓迎していないのは見れば分かった。
「私は3年3等級クラスの葉桜栞。この部活の副部長をやってるの。そして、私の隣で興味津々に貴方達を見ているのが、2年4等級クラスの早乙女咲夜ちゃん。今日の格好は女子の制服だけど、男子の制服の日もあるし、声も中性的だから性別は分からないんだよね。まぁ、普段はこんな感じで自由に過ごしてるけど、ちゃんと1日30分くらいはディベートやってるかな」
葉桜先輩の説明は頭に入らない。
何故なら、めっちゃ早乙女先輩に見られているから。
ジロジロと見られている割に一言も発さないのが不気味だ。
葉桜先輩の邪魔をしないようになのか?
だとしても、何か一言くらい発して欲しい。
「えっと、俺が天野天命で、こっちに座ってるのが」
「小冬小白です。よろしくお願いします」
「きゃわたんはぴはぴだ」
……早乙女先輩が喋った。喋ったけど、謎の言葉だ。
「小白ちゃんはミルクみがあってばぶかわすぎる。モフありならすぐモフりたい」
「咲夜ちゃんは独自を言い回しする子なの。通訳するとしたら、小白ちゃんが可愛いから撫でたりしたいなって言ってるのよ」
気付けば小白は囲まれていた。
あの高飛でさえも、小白の魅力に釣られてしまっている。
「まぁ、確かに小冬さんはそこの男と違って可愛いし、是非とも入部して欲しいわね」
「本当にねー!でもでも、天命くんも鍛えられた体付きしててお姉さん好きだなー!」
疎外感を感じさせない為になのか、わざわざ俺の事も褒める葉桜先輩。
どんな反応をするのが正解なのか分からず、苦笑いをして返した。
「おいっすー!諸君、元気にやってるかね?」
「あっ、部長!見学したいって子達が来てますよ!」
「ほぉ、それは素晴らしい。ようこそ、ディベート部へ。私は3年2等級クラスで、部長の剣海拓馬だ。ちょっと私用で遅くなってしまってすまないね」
灰色のベストを着た短髪の剣海部長は、わざわざ俺達に向けて謝る。
こちらとしては急な見学だったので、謝る必要は全くない。
社交辞令みたいなものなのだろうが、彼の誠実さは際立った。
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