表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋愛学校の落第生共よ、恋を知れ  作者: 風野唄


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/52

025話 デートに来る彼女はいつもと違って

誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。

面白いと思っていただけたら評価やコメントお待ちしております!

忍者事件の次の日、俺達は早くも休日を迎えていた。

休日といえば、君達は何を思い出すかな?

忘れては行けないイベントが1つあっただろ?

そう、彩とのデートだ。

デートというか出掛けるだけなんだろうが、彩がデートと言ったものだから妙に意識してしまう。


服を選ぶ時だって、自分の持っているものの中で無難ではなく、1番決まっている服を選ぶ。

髪を整える時だって、これでもかと時間を掛けて鏡と睨めっこ。

終いには、朝食を食べるかどうかすら長考する始末。


これは彩だからではないと敢えて言っておこう。

きっと誰に言われたってこうなっていたと思う。

でも、この瞬間の行動1つ1つは彩の為だけにある。


俺は一足先に待ち合わせ場所まで向かった。

彩にも声を掛けようか迷ったけど、一緒に出れば変な勘繰りをしたアホ共が付いてくる可能性もある。

それに何よりまだ心の準備が出来ていない。

きっと取り乱してしまう可能性だってある。

先送りしたって意味はないけど、ちょっとだけの与えられた猶予を楽しむことにしよう。


「休日の駅前ってどうしてこんなに人が多いんだろうな。これじゃ、彩と合流するのも一苦労だぞ」


待ち合わせ場所に指定された駅前は、想定よりも多くの人集りが出来ていた。

老若男女、国籍問わず、歩き回る人間の姿には少しだけうんざりする。

もっと人が少なければ快適に毎日を過ごせるだろうにと、自分勝手な考えを添えて。


10分後、つまりは予定時刻丁度。

印象に残らない群衆の波から1人、明らかに目立つ美少女がこちらへとやって来る。


「お待たせしました。待ちましたか?」


白日傘を両手に持ち、腕には可愛らしい白のバッグが掛けられていた。


「どうですか?私の私服、可愛いですか?」


なんと言おうかと迷っていると率先して感想を求める彩。

黒のスリットが入ったタイトスカートに、リボンの付いた白ブラウス。

同い年のはずなのに、どこか大人びて見えるオシャレな格好は、彼女の魅力を引き立てると共に、俺の自尊心を下げる。


「あぁ、めっちゃ似合ってるな。俺が隣に立ってるのが勿体無いくらいだ」

「そんな謙遜しないでくださいよ。いつもカッコいいのが天命様なんですから」

「いや、でもさ。やっぱり周り見てみろよ。なんであいつが彩の隣歩いてんだって表情してるぜ?」

「もぉー、今は2人の時間なんですから、外野は関係ありませんよ。それとも見せつけてやった方が良いですか?望むなら、この一宮彩、人前であろうと口付けするのを躊躇いませんよ!」


自然な流れで組んだ腕を引っ張られ、毎回不思議に思う怪力で強引にキスをされそうになる。

じょ、冗談だよな?

全然止まってくれないんだけど?

えっ?ちょ、ちょっ!?


「ストップッ!ストップー!悪かったから!」

「ちぇー、あと少しでしたのに。でも、分かってくれたのならそれで良いです。さて、行きましょうか?楽しいデートへ」


デート開始3分。

主導権を握ったのはやはり彩だった。

振り回されているというよりも、手の上で転がされているような感覚に近い。

まんまと2人きりの時間である事が強調された訳だから。


「天命様は朝食食べたませんよね?」

「食べてない。って、見てたの?」

「いえいえ、寮を出る前にご学友の皆様にお話を聞きました」

「話したの!?」

「大丈夫ですよ、人は選びましたから」

「まぁ、大丈夫って言うなら信じるけど、ウチのクラスの奴らは茶化しそうな奴らが多いからな」

「それはそれで良いじゃないですか。公認のカップルみたいで」

「ははっ、……じゃあ、最初はご飯から?」

「あら、誤魔化されちゃいました」


もう限界なんだよ、こっちは。

何もかも上手過ぎる相手に早くも疲れて来た。

なんだろう、この青春ラブコメの裏で少年漫画のような攻防が繰り広げられている感のある激しい駆け引きは。


次回、「天野 死す」。決闘(デュエル)、スタンバイ。

って、俺このままだと死ぬのかよ!


「では、まずは駅前のカフェでお食事にしましょうか。場所はかなり近いはずなので、すぐに見つかると思いますので」


彩にナビゲートは完全に任せる。

というか、今回のデート(仮)のプランは全て一任してあった。

男としてリードするのが紳士の嗜みという意見もあるかも知れないが、如何せん経験に乏しい。

彩が色んな男とデートして来たのかと言われたら、それも違うだろうけど、俺よりも詳しいのは確かだ。

下手なプランを提示するよりは、身を任せる方がずっと楽しい1日なる。


「着きました!ここですよ、ここ!」

「まじか…」


まだ朝も早いというのに10人前後の列が出来ていた。

2組は明らかにカップル、もう1組は良い感じの雰囲気を醸し出している丁度どっちかは分からない関係性の2人、残りの4人は社会人のお姉様方だ。


「良いのか?俺達がここに混ざって。彩は浮かないかも知れないけど、俺は完全に場違いだ」

「ふふ、天命様と私の関係性も側から見ればカップルにしか見えませんよ。それにそう見えなかったとしても、今日だけはそういう事にしてください」

「……分かった」


抵抗するのは無意味だ。

彩の言葉は一理あるのだから。

1日限りのカップルとして、このカフェを利用する方が都合が良い。

それにネガティブな言葉を吐き続けるのは、気分が良くない。

外へ出たのなら、先程彩が言っていたように思いっきり楽しまなければ休日が勿体無いだろ。


「よし、店のメニュー全部食べ尽くすか」

「全部!?天命様って、胃袋が宇宙なんですか?」

「冗談だよ。そんくらい楽しもうぜってこと」


真面目に返されて、滑ったみたいになる。

その空気を誤魔化すために、早めに訂正しておいた。


「ふふ、そういう事ですか。じゃあ、私も全部食べ尽くしちゃいますね!」


組んだ腕に、頭を寄せて幸せそうに笑う彩。

照れくさい気持ちを隠しながら、スマートな表情でいようと心掛ける。

でも、きっと彩にはバレバレなんだろうなと、自分の早まる心臓の音で思った。

ご覧いただきありがとうございました。

よければ評価、ブックマーク、いいねお願いいたします。めっちゃモチベーションに繋がりますのでどうか、どうか!!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ