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恋愛学校の落第生共よ、恋を知れ  作者: 風野唄


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012話 let's party 前編

誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。

面白いと思っていただけたら評価やコメントお待ちしております!

「ほら、もっと急ぎな。時間とっくに過ぎてるよ」


1階へ降りると、クラスメイトの視線を一気に集める。

視線を集めるのは慣れっ子。

しかし、クラスメイトとなれば話は別だ。

今後も関わりを持っていくのに、こんな間抜けな所を見られてしまった。

恥ずかしくて、どこかへ逃げ出したい気分だ。


「こっちこっち」


見かねた犬子がポンポンと自分の座っている隣を叩いて、手招きをする。

ここは犬子の厚意に甘えてそそくさと座り込む。

座ってしまえば、こちらのものでさっきまで浴びていた視線を嘘のように消えていく。


そこからは寮母さんの説明が始まった。

全員に1度説明している部屋の割り振りを軽くおさらいして、利用ルールやマナー、注意点などの説明が行われる。


恋愛の学校だからと言っても特別な事はなく、考えれば分かるくらい当然の事ばかりで、少数の人間を除いて皆眠そうにしていた。

勿論、俺は眠ったりなんかしない。

真面目だからちゃんと最初から聞いていた。

眠たいなんて感情1ミリたりとも湧いてこないからな。


何々?お前、寝坊してるだろって?

………さてと、そろそろ説明も終盤。

まとめに入った寮母さんの声も心なしか大きくなっている気がする。


「───これで説明会は終わり。アタシはもう帰るからアンタ達もちゃんと寝るんだよ。良いかい?アタシは今日外に出て疲れてるから、どれだけ騒いでも起きない。でも、うるさくしたり、夜更かししたりしたら絶対にダメだからね。……絶対だからね」


これはフリというやつではなかろうか。

あんなに念を押して、騒ぐなと言われたら疑ってしまうのも無理ない。

でも、騒ぐにしても交友が深い訳ではない。

何かキッカケのようなものが無ければ……。


言いたいことだけ言い残して、部屋を後にする寮母さん。

取り残された俺達は、意味ありげな発言の意図を手探りで探していた。


「今の聞いたー!!?絶対、騒げってことだよね!あーし、そういうのめっちゃ得意なんだけど!」


金髪の髪がふわっと巻かれた、いかにもギャルな女子生徒が、真っ先に声を上げた。

確か名前は日纏(ひまとい)陽花(ようか)

専属モデルとして芸能界デビュー、若い女子の中では知らない人はいないらしい。

芸能界に大して興味がない俺にとっては、ただのクラスメイトだ。


「待ちたまえ、寮母さんは絶対に騒ぐなと言っていた。私達はこの施設を学生の間だけ借りている身分だ。問題行動は控えるべきだとは思わないのか。そもそも、学生の本分は───」


永遠とクソ真面目なことを話しているのが、学級委員希望の自称完璧な風紀委員こと、満導(みちしるべ)道千(どうせん)だ。

頭が硬く、融通が効かないタイプだとは思っていたが、まさか寮母さんの話を鵜呑みにするとは。

全員、飽きれた目でお前を見ていることに気付いた方が良い。


「でもさ、でもさ!あーしらってまだ全然仲良くなれてないじゃん?同じ学校で、しかも、クラスメイトならここで仲良く交流会するってのもあり寄りのありなんじゃない?」


おぉーっとー!ここで日纏選手、ど正論パンチ炸裂!

クリーンヒットした満導選手は、まだ1発しか喰らっていないというのに、フラフラとした足取りで狼狽始めた!

メガネがプルプル震えている!もう負けを認めているようなものだー!


「そ、それでもだね!深夜に騒ぐのはマナーとしてどうかと!ましてや、ここは共同生活の場。他人に迷惑など!」

「ここに30人全員いるから関係なくなーい?」

「ぐはっ!!!」

「日纏ちゃーん!キッチンの方に、ピザとかチキン、それにジュースとか色々あるよ。これでパーティー開けってことじゃない?」

「ぐはっ、ぐはっ!!!」


ただでさえ瀕死の状態だったのに、キッチンからの援護射撃がトドメとなり、冷たいフローリングに倒れ込む満導。

ただ倒れているだけのはずなのに、薄らと吐血しているように見えるのは彼が可哀想で見える幻覚か。


みんな、満導を無視してパーティーの準備を始めている。

騒ぐのを否定していたとはいえ、彼もクラスメイトだ。

1人だけ除け者にするのは可哀想だと、近付いて手を差し伸べる。


「おい、大丈夫か?今日は無礼講ってことで、満導も楽しもうぜ」

「……天野くん」


なんで何も言わないんだよ。

黙ってこっち見てないで、手を取って立ち上がれ。

色々準備することもあるだろ。

後、後ろで恋愛ドラマの主題歌流している二階堂。

お前は絶対にシバく。


30人もいれば、パーティーの準備は手際良く進んだ。

2つのローテーブルをくっつけて、ソファーを移動さて30人全員が同じテーブルを囲めるように。

次に、料理をローテーブルに並べていく。

紙コップや割り箸などのカラトリーも用意して、あっという間に用意は完了。


「じゃあ、みんな飲み物持ったー?かんぱーーい!」


発案者である日纏の音頭によって、パーティーが始まった。

誰もが始めの内は様子見とばかりに、料理を黙々と食べ進める。

味の感想はあれど他に話題もなく、イマイチ盛り上がりに掛けるスタートとなった。


会ったばかりで盛り上がれという方が難しいけど、心の中では楽しみたい、仲良くなりたいと思っている。

だから、頼む。誰か最初の盛り上がる火種をくれ。


「うーん、なんかみんな遠慮してなーい?もっと盛り上がんないとー。あっ、そうだ!良いこと思いついた!」


流石は日纏だ。

クラスの仲を深めるキーパーソンとして大きく買って出てくれる。

どこぞのお堅いくんとは雲泥の差があるな。

みんなが期待の眼差しで彼女のことを見ていることだろう。


「今から、みんなで一発芸披露大会しよー!」


期待から絶望へと変わる。

場の空気は一瞬にして凍り付いた。

ツッコミたい、拒否したい。

だけど、今少しの動きでも見せれば、標的にされるのは明確。


一発芸なんてクラスメイトの前でやらされたら、微妙な空気が流れて恥ずかしい思いをするのは目に見えている。

みんな同じ思考に至ったからぴくりともしないのだ。

楽しくなるはずだったパーティーは、ギャルの手によってデスゲームへと姿を変えたのだった。

ご覧いただきありがとうございました。

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