表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

第0話「異世界転移」


 ダンジョン第5層。


 咆哮する翔竜を目の前に、次々とパーティーメンバーは倒れていく。

 「くっ・・・・ダメだ。これ以上はわたくしの反魔法は持ちませんッ!!」

「シンバルさんっ!!私は・・・・なにをしたら・・」


シンバルと呼ばれた女魔導士は片膝をついた。


 「本魔導士資格を獲得したばかりのあなたを連れて来たのは間違いでしたわ・・・。これはわたくしの責任です。シリナ、『転移魔法』を使いなさい・・・」

「『転移魔法』ッ!??そんな高度な魔法、私には・・・」


  円錐形の帽子に白色の長髪の魔法使い。シリナと呼ばれた少女は驚いた。


 「シリナ・・・あなたの魔力はあなたが思っている数十倍もの力を有しています・・・・。

 何故なら、あなたの母は、『転移魔法』を使えましたからね・・」


 「シンバルさん・・・母を知っているのですか!?」


 「彼女はわたくしと同期でした。あなたと同じくくらいの歳の時に今のような状況になり、彼女は咄嗟に『転移魔法』を使用してわたくし達はその場を切り抜けられましたから・・・・」


 シリナの母はシリナが幼い頃にS級ダンジョンに仲間と挑み、行方不明となっていた。

 

 「母は、おかあさんは『転移魔法』を使えた・・・・。そんなすごい魔法使いの娘なら、きっと私も・・・・・」


 彼女の中で何かが湧き上がっていった。


 「私、やってみますシンバルさん!!一緒に帰りましょう!!!」


 シリナの体から光が溢れ出ていく。目を閉じ、魔導書を天に掲げた。

 高い魔力を感じた飛龍は空高く飛翔し、シリナに突撃してきた。


 「はーーーーーーーーー行きますッっつ!!!

 『光照らす場所に、汝ら暗黒、交える事もなし!!!転移魔法、こえるせかい!!!』


 シリナは転移魔法を詠唱した。


 その瞬間、周りが一瞬にして光に満ちたーーーーーーー。

 あまりの眩しさに目を閉じた。

 


 「せ、成功したの・・・・?」


 シンバルの声がし、ゆっくりと目を開いた。

 

 「ダメです・・・・失敗しました。私達はまだ5層にいます」


 風景が変わっていない。不発だったのだ。

 肝心な時にしくじるなんて、母親とは違う。


 「やっぱり私は、ただの初心者魔法使い・・・・・」


 悔しがるシリナに近寄るシンバル。


 「シリナ、これをみて」


 シリナはシンバルの指差す方向を見た。

 さっきまで二人と戦っていた飛龍が無惨にも倒れていた。

 よく見ると、飛龍の死体の上に人が立ってた。


 見た事のない身なりをしている男。

 この世界には存在しない服装。

 『ブレザー』を着ている『高校生』だ。


 驚く二人を上から覗く男は、何かを察したのか。

 大きくため息をついた。


 「はぁ〜また『異世界転生』かよ。何度目だよ」


 「あ、あの・・・・・・」


 シリナは恐る恐る声をかけた。


 「ん・・・・誰あんた」

 「いや・・・・・こっちのセリフなんですが・・・・・・」

 「今どういう状況?」

 「私も知らないんですが・・・・・・」

 「てかそれ日本語?この世界って日本語通じるのか〜」

 「フェロリア語と言います。あの・・・・・『この世界』って今言いましたか?」


 不思議がるシリナに男は頭を抱えた。


 「あーごめん。この世界に来たのは多分俺の『体質』のせいなんだ。悪いけどもう帰るねぇ」


 「体質・・・・・・?いや!!ちょっと待ってくだい!!まだ帰らないでください!!聞きたいことがまだ・・・」

 「離れなさいシリナ!!!きっとこの男は魔の世界からの使いですッ!!」


 シンバルはシリナの前に飛び出て、詠唱し始めた。


 「『汝の秩序よ。叡智と伏せ!!炎の魔法、ファイヤーボール!!!」


 「ちょ!!!何者でもないって俺は!!!」


 男は焦りを見せているが、シンバルそんな彼を無視して魔法を放った。

 灼熱の焔の火球が男に迫る。


 「今です!!この場から離れましょうシリナ!!もう一度転移魔法を!!」

 「あえ!?!?あ・・・・転移魔法、こえるせかい!!!」


 シリナが魔法を唱えると同時に、男が叫んだ。


 「おいふざけんな!!『チェンジ』で!!!!」


 その瞬間ーーーーーーー。

 シリナとシンバル、男の姿が光に包まれて消えていった。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ