異世界キノコ転生~クズ女神に歩くキノコへ転生させられたので、女神を信仰する神聖王国を超速で乗っ取ったる~
肩の力を適度に抜いて、お楽しみ下さい。
サクッと始まり、サクッと終わります。
「キミねぇ~…25にもなって大学卒業出来て無いの、おかしいでしょ」
「それでなんで面接受かると思ったの?というかなんで面接来ちゃったの???」
又五 舞茸太郎。25歳。独身。3留。彼女無し。
この男は、今ある中小ブラック企業の面接に落ちようとしていた、いやもう落ちていた。
(金が欲しいからに決まってんだろ!このハゲ!)
(リ○ブ21にも行ってそうじゃないのに、悩み無用ってか!?)
面接官は、眼鏡の縁をクイッと上げる。
「あのねぇ~それでねぇ~ウチではねぇ~……」
「もういいかなぁ~~…あぁ~うん」
舞茸太郎は完全にイラつき始めていた。
彼の額と顔に青筋が走る。
キノコヘアーカットと相俟って、さながら彼の首から上は勃起したアレだった。
「分かった。もう帰るわ」
「じゃあな、ハゲメガネ」
舞茸太郎はスクッと勃ち上がり、鞄を持って部屋を後にしようとする。
面接官は、慌てて彼に食ってかかる。
「ちょっとぉ~~キミィ~~!そんな態度は失礼じゃ無いかねぇ~!?」
「こちらはわざわざキミの為に時間を取ってあげたんだ、そんな事も分からないようじゃあ……この先やっていけないよぉ~~?」
「それになんだね、キミのその頭!公然猥褻じゃないのかぁ~~?」
言葉が終わると同時に、勃起したアレみたいな舞茸太郎が、面接官の元へズカズカと歩いて行く。
そして、面接官の髪の毛を引っ掴み、殴り飛ばす。
面接官の残り少ない地毛が、宙へ散って行く。
「今度俺の頭を侮辱したら、そのハゲ頭で毒キノコを栽培してやる」
「じゃあな」
舞茸太郎はその会社を後にし、通りに出る。
「もうパチンコ行くの、止めた方がええんかな……」
「また単位落としそうだわ」
「いや、やっぱ寄っていくわ。駅前のパチンコ屋にエ○レカセブンの新台出るって、新台カレンダーに載ってたし」
彼は横断歩道の前まで行き、エウレカセ○ンのOP歌詞を歌いながら信号が青になるのを待つ。
「くっちずさむメロディーが、思い出させてくれぇ~る~(パチンコで勝った日の事を)」
「めっもりーはい~つまでも輝やぃてぇ~い~る(換金した日の)」
彼は信号が青になったのかと思い、横断歩道を渡る。
そして、古式ゆかしく大型トラックに跳ねられて、その25年のクズな生涯を終えた。
~女神の間(笑)~
舞茸太郎はリクルートスーツのまま、ソファーに寝転がる女神に謁見する。
「なんじゃここは……」
「これがウワサに聞く異世界転生か……!?」
女神はビールを飲み、ゲップする。
「そんなの見りゃわかんだろ、亀頭ヘッド」
「私はパチスロに負けて、機嫌が悪いんだ。早く仕事済ませたいんだよ」
「あー美味い飯は高くて食えねぇし、結婚は出来ねぇし、借金は出来るし、社畜だし……マジでクソだな天界!」
舞茸太郎は懐からタバコを取り出し、火をつける。
そして、煙と共に言葉を吐き出す。
「パチスロ止めたら良いんじゃね?」
「少なくとも、寝転がってビール飲みながらパチスロの事話す女に、彼氏は出来ないと思うが」
「てかパチンカスの俺よりクズじゃん」
女神は舞茸太郎を睨んで叫ぶ。
「やめぇれたらヤレルっていってんだれぇー!!」
「亀頭ヘッドが、ナメた事にゅかしてぇnじゃぬぇ~!」
「てめぇどぅたぁってぇパチンコやってんじゃねぇくわぁ~!」
(もうダメだな。酒のお陰で呂律が回っていない)
(ヘンなスキルとかくれるなよ)
女神は舞茸太郎になにやらか魔法をかける。
そして、大笑いしながら言う。
「お前の次の人生は、歩きキノコだぁ~!」
「良かったな!卒業だ!チンポヘッドから卒業だぁ~!見た目自体がチンポみたいになっちまったけどなぁ~~!!ギャハハハハ!!」
「じゃああなぁ~せいぜいがんばれやぁ~!」
(人間ですらなかったわ)
(クソ面接官の次はクソ女神かよ)
(クソってよりはクズだけど)
舞茸太郎は地面に吸い込まれ消えて行った。
~異世界~
~樹海~
舞茸太郎は目が覚める。
そして、叫ぶ。
《ステータスオープン!》
出るわけがない。
それが出来るのは人間、または知性のある存在だけ。
歩くキノコに、そこまでのINTは無かった。
(……じゃあアレやってみるか)
《レベル表示!》
舞茸太郎のレベルが表示される。
ステータスは出ないのに、レベルは表示される。
歩くキノコは、基本的にモンスターや魔物扱いだが、舞茸太郎自体は転生者なので、敵のレベル表示機能だけは使えたのだ。完全な仕様のバグだった。
《名前:舞茸太郎》
《レベル1》
《種族:歩くキノコ》
《スキル:胞子(レベル1)》
(……《スキル:胞子》ってなんじゃ?)
(取り敢えず小動物で試してみるか)
彼は風上まで歩き、《スキル:胞子》を発動させた。
傘から出た白い粉が風に乗って、ウサギみたいな魔物に付着する。
たちまち魔物の背中にキノコが生えていく。
《《スキル:胞子》のレベルが2になりました》
この時、舞茸太郎は胞子スキルレベルを、どうやって上げれば良いかを理解した。
(しかし、胞子スキルってどうやって使うんだ?)
(取り敢えず念じてみるか)
(右に曲がって木に激突しろ)
舞茸太郎の念じた通り、魔物は右に曲がって木に激突し、死亡した。
《舞茸太郎のレベルが2になりました》
(……ふぅん、なるほどな。そういう事か)
(この能力と種族は、案外アタリかもな)
(取り敢えずレベルを100くらいまでに上げて、それから情報収集するか。レベルの上限が100かは分からんけど)
~数日後~
《レベル表示!》
魔物や動物に胞子を植え付けまくり、倒しまくった舞茸太郎のレベルが表示されていく。
《名前:舞茸太郎》
《レベル250》
《種族:歩くキノコ魔人》
《スキル:胞子(レベル400)》
いつの間にか舞茸太郎は人間の形を取り戻し、種族すら進化していた。
だが、全裸だった。
「股間からもキノコ生えてんじゃん。これじゃあ歩く変態だろ」
彼は人里を探し始め、4時間後には山奥の村に辿り着いた。
そして、彼は第1村人を発見し、胞子スキルを使う。
村人は彼の許へおびき寄せられ、洗いざらい情報を喋らされた後、服を奪われた。
《《スキル:胞子》のレベルが410になりました》
「マジか。人間の経験値ウマすぎるな」
「まるで、店側が設定ミスった台みてぇなシステムだ」
舞茸太郎は村人を操りながら、次々と胞子を拡散させ、スキルレベルを上げていく。
「スゲェな、こりゃ」
「人間相手だとまるでマルチ商法だ」
「胞子を植え付けた人間に適当な命令を出しておくだけで、レベルがカンストしそうだ」
彼の予想通り、胞子を植え付けた村人を数日間放っておくだけで、レベルがドンドン上昇していく。
野菜や乳製品、肉を食べているだけで、ムキムキになっていく。
しかし、頭の傘だけは変わらなかった。
「こりゃステータスも上がってるんだろうな……そういや、今なら開けんのかな」
「試してみっか」
《名前:舞茸太郎》
《レベル3100》
《種族:歩くキノコ魔人》
《スキル:胞子(レベル4500)》
(ん???これ何人か死んでんのか?)
(戦争でもやってんのか?まぁいいや)
実はこの時、神聖王国というこの土地を治める国で、胞子に操られた人間の行動が問題になり、討伐隊が出されて居たのだった。
結論から言うと、適当に出しすぎた命令が災いしてしまっていた。
~更に数日後~
マスケット銃や槍で武装した兵士達が、舞茸太郎の生息域に現れ始めた。
「あー……これ、魔物を討伐にでも来たのか?」
「まぁいいか、取り敢えず交渉してみるか」
舞茸太郎は茂みから出て、金髪の女騎士に話し掛ける。
「ヘイ!俺舞茸太郎!」
「アーユーリーダー?アイウォンチュートークウィズユー!」
その言葉に対して、返ってきたのは銃弾の嵐だった。
しかし、舞茸太郎の肉体は全ての銃弾を弾き、ひしゃげた弾が辺りに散らばる。
「言葉通じてないのか?いや、村人には通じたし……」
「まさか俺が討伐対象か?」
怯える兵士達を尻目に、舞茸太郎はそこら辺の葉っぱを使って作ったタバコを吹かす。
煙が兵士達に吹き掛かり、兵士達は次々と味方に銃や槍を向け始める。
「うぉ~……マジ?このハッパまさか大麻とかそういうヤツか?」
「まさか俺自体が、マジックマッシュルームになっちまったのか!?」
舞茸太郎はレベルを確認する。
《名前:舞茸太郎》
《レベル3100》
《種族:歩くキノコ魔人》
《スキル1:胞子(レベル4500)》《スキル2:幻覚成分(レベル200)》
(ヤバいな、コレ)
(俺自体が麻薬及び向精神薬取締法に引っ掛かってんじゃん。日本に帰っても帰る所ねーじゃん)
(ウケる)
「まぁ……取り敢えず胞子植え付けて、城に案内させるか」
「胞子は道中バラ撒いてけば、それでええか」
~数日後~
城下町は彼の支配下にあった。
王城も彼の支配下になり、教会だけが結界に護られ無事だった。
「おじゃましまーす!」
彼は教会に入っていこうとするが、見えない壁みたいなモノに弾き返される。
そして、見えない壁の向こうに、酒の飲み過ぎで顔が青くなっていた女神がいた。
舞茸太郎はハッパに火をつけ、吹かす。
「女神の《レベル表示》!」
《名前:シャンピニオン》
《レベル5000》
《種族:女神(笑)》
《スキル:なんか沢山》
「そして俺のレベルは、と……」
「《レベル表示》!」
《名前:舞茸太郎》
《レベル8200》
《種族:歩くキノコ魔王》
《スキル1:胞子(レベル6000)》《スキル2:幻覚成分(レベル2700)》
(勝ったな)
舞茸太郎は、結界にドロップキックを入れ、破壊する。
「お~ぅぃ!クズ女神!」
「パチスロの調子はどうだ?勝ってるか~~!?」
女神は慌てた様子で返事をする。
『今、お前が人間達へ植え付けたキノコのせいで、私への信仰が減りに減って、神性がヤバい状態なんだよ!』
『どうにかしろよ!』
『このままだと、減給なんだよ、減給!私のギャンブルライフ崩壊の危機だ!!』
しかし、舞茸太郎は悠然とビールとチーズを貪る。
「やめちまえよ、女神なんて」
「どうせブラックなんだろ?シケた仕事なんか放り出して、俺と一緒に昼間からギャンブルやろうぜ」
「お前となら、どこまでも舞える。そんな気がする」
女神はため息をついて、座り込んで言う。
『辞表なんか、とっくに何回も出してんだよ、キノコヘッド』
『創造神のハゲが、仕事をやめさせてくれねーんだよ』
そして、舞茸太郎は女神にとって耳を疑う提案をする。
「じゃあ、ブチのめしに行くか、創造神」
「その後、金ふんだくってギャンブル三昧と行こうじゃねーか」
女神シャンピニオンは数秒間考える。
『……ちょっと待て』
創造神のパワハラシーンとセクハラシーンとモラハラシーンが、走馬灯のように彼女の脳裏を掠めて行く。
女神は結論を考えるまでもなかった。
『良し!創造神を殴りに行こう!』
『ひゃっほーぅ!これで昼間っから競馬場でストゼロ三昧だぁ!』
女神は、創造神のオフィスに繋がるゲートを開ける。
舞茸太郎と、女神はゲートに飛び込んで行く。
『ちわーっす!』
『Amaz○nよりお届けモノでーす!!』
舞茸太郎の跳び蹴りが、創造神のハゲ頭に直撃する。
《なっ、なんだね君達は!!》
《私は創・造・神だぞ!!》
《君達の存在は私が握って……》
女神が、問答無用で創造神を上へ放り投げる。
そして、舞茸太郎はジャンプして創造神の手足を掴み、パイルドライバーをカマした。
女神は地面へめり込む創造神のケツに辞表を叩き付け、端末を操作して多めの退職金を受け取っていった。
『舞茸太郎!私ら、これから宙まで舞うで!月まで一直線や!』
『ゴートゥーザムーン!』
「ああ!俺等ならやれる!」
「クズの底力見せたろうぜ!」
舞茸太郎と女神シャンピニオンは、肩を組んで日本に帰って行った。
~数週間後~
~大井競馬場前~
『なぁ、舞茸……』
『胞子植え付けて、金巻き上げて来て』
『軍資金がパーになってもうた』
「知ってる」
「取り敢えず悪そうなヤツから、金巻き上げとくわ」
「鉄板レースのハズだったのに、おかしいな、コレは……」
そして、女神シャンピニオンは、タダの紙切れになった馬券を放り捨てて言う。
『舞茸、私と結婚しろや』
『お前が居ないと、私は軍資金も酒代もゲット出来へん』
『お前、モテないんのやろ?』
舞茸はチンポのポジションを直し、タバコを吹かす。
「分かった。結婚しよう」
「これから、二人三脚、どこまでも舞っていこうぜ」
「大井競馬場のB級グルメ、食って帰ろうか。マジで美味いんだわ、ここのメシ」
そうして舞茸太郎と女神シャンピニオンは、幸せなギャンブルライフを送りましたとさ。
めでたしめでたし。
初代ポケモンの技、キノコほうしは命中率100%で、友人相手によく使ってました。
田舎のコンビニで飯を買った時、若い男5人組が店内へ入って来たけど、全員キノコヘアーだったのが衝撃的でした。
まるで、どっかの国のアイドルグループみてぇだな、と思いました。
この二つの経験を元に、この作品を着想しました。
女神の行動に関してですが、多分筆者でも同じ事します。
キノコは好きですが、キノコヘアーの男は好きではありません。
自分ならその場で即鍋にブチ込みます。
自分はパチンコはやりません。
株と競馬はやりますが。
友人の一人は、かつて麻雀にハマり、就職を無に帰しました。真面目そうに見えたんだけどなぁ~……
今、その友人は果物農家をやっています。今度はパチンコにハマってますが。
大井競馬場のB級グルメ達は激ウマでした。
紙クズになった馬券を放り投げるおっちゃんの姿が、更に美味さを引き立てていました。
別に馬券買わんでも、競馬場は楽しめます。
ここまでお読みくださりありがとうございます。「クソ面白かった」「クズ主人公が好き」「クズ女神も好き」と思っていただけましたら、ブクマ・評価いただけると励みになります。よろしくお願いいたします。
もし、この短編の評価が高ければ、連載化するかもしれません。
ご感想も是非お待ちしております。