呪いの『ひまわり』
第四回なろうラジオ大賞参加作品第二十三弾!
「ゴッホの本物の『ひまわり』は呪われてる、ねぇ」
私は某高校に通うJKだ。
と言ってもただのJKではない。
それは世を忍ぶ仮の姿。
裏では世間で有名な美術品専門の怪盗ロザンヌだ。
と言っても現在は、主に警察からの依頼で資金洗浄用に作られた贋作のみ盗んでる。初仕事の時に、間抜けにもその時いた刑事が張った予想外な罠に掛かり警察に御用になり、そして出所後に資金洗浄関連の事件に協力しろと言われたからだ。
出所後に警察に協力するハッカーの怪盗版だ。
時代は変わったなと思うけど、どっちにしろ先代こと死んだおばあちゃんごめんなさい。
「理解に苦しむ話だが」
私が警察に協力してる原因たる刑事が苦い顔で言う。
「そんな都市伝説が実在し、そして今回のお前の仕事は、偶然か必然かその本物を入手し死んだ資金洗浄事件の犯人の、トラップだらけの家からその『ひまわり』を回収する手伝いだ」
※
話によると、どうも犯人はその呪われた本物のゴッホの『ひまわり』を資金洗浄に使うつもりだったらしい。怪盗の私が言うのもなんだけど犯罪のために美術品が利用されるのは見過ごせないので今回も協力する。
その刑事と部下と機動隊、その他大勢と犯人の家に乗り込む。
怪盗としての罠判別及び、罠解除の技能を駆使して、共に、用心深い性格だったらしい犯人の家の中を進む。
そして多くの罠を乗り越えた先で、犯人が入手した『ひまわり』及び贋作な美術品が飾られてる倉庫をついに発見。私の怪盗の技能がなかったら全滅だったわ。
「ッ!? こ、これは」
刑事が『ひまわり』を見ながら絶句した。
気になった私も『ひまわり』を見て……暫くしてからゾッとした。
なんとなく、嫌な予感がしたんだ。
と同時に私は、おばあちゃんから亡くなる前に教わった知識を思い出す。
ゴッホはかつて同じ画家のゴーギャンと同棲してたらしい。
だけど二人の同棲生活は……共に天才画家であるが故に途中で破綻した。
自分の才能を理解しうる相手にして最大の好敵手がすぐ近くにいるという環境が画家二人を狂わせたから。ゴッホの方は己の耳を切り落とすほどの狂気に呑まれたそうな。
同じ、狂気かは分からないけど。
この『ひまわり』からは狂気じみた雰囲気を感じる。
まさか本当に当時の狂気が込められてて。
そしてその狂気が犯人を殺したのだろうか。
その後、ゴッホの『ひまわり』は一応除霊処理される事になった。
それからその『ひまわり』がどうなったかは、私は知らない。
そして今宵、あなたのもとに『ひまわり』が(◞≼⓪≽◟⋌⋚⋛⋋◞≼⓪≽)