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不良とオタクと発達障害

作者: 村田 京介

 自分の頭をガラス窓に叩きつけた。頭はガラス窓を突き破りガラスは飛び散りガラス窓一面砕けた。頭にガラスが刺さり切れ血が噴き出した。

 特に意味は無い。

 なんとなくそうしたくなっただけである。

 周りの園児は泣き叫び先生は大騒ぎになり病院に連れていかれた。

 幼稚園の時の思い出である。

 幼稚園からしたら大問題児だっただろう。毎日何かしら事件を起こす。

 私は特に何が不満でも無かった。衝動的に身体が動いてしまうのだ。

 小学生になり一年生学童保育に預けられていた。

 更に大問題児になり毎日近所の中学生と喧嘩していた。

 私にとって喧嘩は遊びである。

 その頃には有名になり色々な中学生が私を狩りにきた。

 体格では何倍あるかわからない。しかも群れで狩りに来る。

 しかし私は毎日わくわくしていた。

 負けた事は無い。

 その頃歳の離れた兄がいて毎日武道全般の組手スパーリングしていた。兄は大人である。体重百キロ近くあり筋肉の塊である、武道全般で十段以上、格闘技のプロでもある。

 その兄との毎日の組手スパーリングに比べれば中学生などたいした事のない遊びである。

 余りに喧嘩ばかりするので学童保育の先生に国旗をあげるポールにくくりつけられ上げられて人間国旗状態でよくポールにぶら下げられていた。

 山狩りで捕まった宮本武蔵のように。

 学校では相手が居なくてつまらなかった。

 余りに刺激が無いので壁に正拳突きをしたり回し蹴りをしたり教室中穴だらけであった。

 身体中からエネルギーが溢れ出てきていてじっとしていられず絶えず動き回り落ち着きがなかった。

 高い所が好きで登っては飛び降りていた。

 屋上から飛び降りた事もある。下をみるとわくわくするのだ。しかし怪我らしい怪我はした事は無い。

 電車を止めた事もある。

 線路に降りてみたくなり降りた。理由は無い。

 現代ではそれをADHDと呼び発達障害と呼ぶらしいが子供なら誰でも通る道ではないだろうか。危険な事が好きで好奇心の塊なのである。

 因みに発達障害の症状にネガティヴとあるが私は物凄いポジティブである。

 兎に角目立つ事が大好きなのである。色々な意味で。非常ベルを鳴らしたりして全校生徒のまえで謝罪したりしていた。

 勉強はしたことがない。

 しかし成績は常に一番でありテストの成績は満点であった。

 何故か?。試験前に教科書の試験範囲を聞いてパラパラと読むと記憶したのである。

 問題用紙に教科書を書き写すだけの作業にしか過ぎなかった。記憶の中に何ページの何行目まではっきりと記憶していた。これも発達障害なのだろうか?。不思議な事が出来た。

 見た目は中性的でよく女の子に間違われた。

 細くて華奢で青白く北欧の女の子のようだった。

 スポーツ万能で何でも習わずに出来た。しかし球技は何故か苦手だった。

 迫ってくる物を避ける習性ができていた。

 兄が小さな時野球をしていて球が眼にあたり失明しかけて大騒ぎになり大手術をしたのも何か原因かもしれない。

 毎日中学生と喧嘩をしていた。遊びである。

 日に三回はしていた。

 当然私はステゴロである。

 中学生の身体の大きな男に馬乗りになられ大きなハサミで顔を刺された事がある。

 あの時は流石にヒヤリとした。

 寸前で顔を捻ったので頬が切れただけで済んだが。

 手首を捻りハサミを取り上げながら態勢を返して何とかなったが。

 大きななハサミで顔を刺したら死ぬとは想像できないのであろうか?。想像力が足りない。

 女の人は平気で他人の眼の玉に針を刺せるときいた事がある。女の姿をした人は怖いと思った。残酷である。

 そのハサミを私の顔に刺そうとした男は慌てて逃げて前を向いていなくて壁に顔から突っ込み気絶した。

 その後その男は警察に被害届を出して私は警察に呼び出され傷害の冤罪をかけられた。

 私は何もしていないのに。

 お金持ちの息子さんで親が警察に手を回して。

 しかしまだ小学生の低学年流石に警察もどうにもできずに怒られて釈放された。

 うちの親はネグレクトなので警察で見受けされる時情けない情けないとしきりに言って私の正論は無視された。

 しかしその男にはあとできっちり百倍返しした。

 中途半端にど突くと返って恨みを買う。この人には関わりたくないと心を折っておく必要がある。

 少し私の身体も大きくなると更に相手は強くなっていった。

 中学相撲で優勝するような百キロ越えの巨漢とステゴロに。

 私は初めて百キロ越えの相撲チャンプとの闘いにわくわくした。

 対峙するとなんの怒号も無く距離を詰められ服を掴まれあっというまに叩きつけられた。

 そこまでは兄によくアスファルトに頭から落とされてるので慣れていたが。

 その後頭をうって意識が朦朧として動けない私の頭を力一杯踏みつけた。何度も何度も。

 流石にアスファルトと百キロ越えの足にサンドイッチにされて頭が軋んだ。

 ぼっとしながらもごろごろと回転しながら距離を取り立ち上がる。意識が飛びそうになる。

 ここで注意しないといけないのは寝たまま防御しようと頭を抱えて丸くなると終わりである。どうしても防げない。

 立って距離を取り間を開ける事だ。

 こちらは的が小さい。距離を開けて速く動く。

 巨漢にはついてこれない。

 と思ったのだが相撲チャンプというのは伊達では無い、巨漢でも動きが速いのだ。

 相撲チャンプでなければ足にタックルを決めて倒す手がある。しかし相撲チャンプ足腰は半端じゃない。倒れないだろう。何せ私の何倍も体重があるのだ。しかも私は細いし力は無い。と悩む暇無くまた掴みかかってくる。

 そのタイミングにカウンターを合わせて鼻に全体重をかけて頭ずき。私の身体の一番重く硬い頭の塊を。

 ドサッと顔を抑えて倒れ込んだ。鼻は折れたはず。

 しかし巨漢起き上がってきたら太刀打ちできない。

 巨漢の弱点は末端にあり。

 手首足首、指を折るしか無い。

 力一杯足首を踏みつけた。

 私は軽い。ポイントがずれたら終わる。

 のたうち回る中学相撲チャンプ。どうやらアキレス腱でも切れたようだ。

 間髪入れず足首を何度も蹴る踏む。何度も何度も。

 悲鳴をあげてのたうち回る。

 ここで心を折れば私の勝ちである。

 無言でガンガン足首を蹴る踏む。

 かんべんしてくれ。

 やっと泣きが入った。

 やり過ぎると警察に行かれる。

 顔面に蹴りを一発入れて終了。

 恐怖心は植えつけたはず。

 危なかった。

 紙一重の攻防であった。

 私は今まで道場に通った事もなければジムで格闘技を学んだ事も無い。

 私のステゴロは我流である。

 誰に習ったわけでは無い。

 兄は道場やジムに通い沢山の人達からか習っていた幼少の時から。

 故に段持ちでありライセンスなどなど色々持っている。

 体格は良くガッチリしていて体重も百キロ近くある。

 勿論筋トレもしている。

 所謂格闘技マニアである。

 実践経験は多分ないだろう。

 所謂喧嘩である。

 路上でのストリートファイトは何でもありである。

 当然武器の使用もありである。

 格闘技マニアには少し荷が重いであろう。

 私はバトルジャンキーである。更に言えばステゴロ専門である。

 だからといって不良では無い。中性的な一般人である。

 がたいも良くないし見た目華奢で女の子にもみえる。

 これは偽装でもある。

 見た目弱そうに見えると絶えず絡まれる。

 夜の街を歩けば直ぐにカツアゲだのなんだの不良予備軍みたいな人が寄ってくる。

 これがまた面白い。

 相手には困らない。

 何故喧嘩が好きか?。

 それは本能だと思う。

 産まれてから一度も負けた事が無い。これが厄介である。

 一度でも誰かに負けたら考え方も変わるかもしれないが負けない。才能ってやつなのかもしれない。

 かといって格闘技や道場に興味は無い。

 ルールがある試合は本番では役に立たない。

 百回試合をするなら一回ストリートで喧嘩した方が強くなるという人もいるくらいである。

 私は鍛えない。才能のみでどこまでいけるのか試したい。

 虎は鍛えなくても強い。

 しかも単独で行動し狩りをする。群れをなさない。

 カッコいい生き方に憧れる。

 最近は何処にでもカメラがある。

 家庭用の防犯カメラにドライブレコーダーにスマホまで。

 うかつに喧嘩もできない。

 喧嘩とは遊びである。

 殺し合いでは無い。

 最近その線引きが無くなった。

 直ぐに凶器を出す。

 少年法に守られているから刺しても直ぐに出てこられる しかし、それだけ腹が座ってる人も居ない。

 けしかけて囲んで置いて喧嘩に負けると直ぐに警察に泣きつく。

 もっと達が悪い人だと刑事事件にしたくなければ金を出せと示談交渉をしてくる人までいる。

 今は見た目は一派人の方が達が悪い。

 普通以下の人達でもネットで知識だけはあるから手を出したら終わりだと知っていて皆んな賢い。

 直ぐに警察弁護士がでてくる。

 単純に喧嘩を楽しめない時代になった。

 しかし私は止められない。

 バトルジャンキー。

 小学校高学年になり引越しをした。

 当然その小学校には小学校のルールがあり仕切っている人達がいる。

 わくわくした。

 転校初日に仕切っている人達十人くらいに呼び出される。

 小学生のガキ同士である。

 私は見た目華奢で中性的で女の子にみえる。戦闘力ゼロと偽装している。

 使ってない体育館である。

 私は念入りにカメラがないかチェックした。

 ボイスレコーダーも気をつけて無言で。

 前に住んでいた地域では有名になりすぎて喧嘩相手が同世代に居なかった。

 転校してゼロからになり場面は増える。

 弱い人は群れる。

 十人で囲んだ時点で弱いと確定した。

 しかし油断はできない。

 戦闘力が私が十で相手が一でも十人いれば互角である。

 武器を持たれたりすると厄介である。

 しかし油断したのかステゴロである。

 囲まれた経験や対峙すると大体ボスは誰なのか判る。

 強い人がボスとは限らない。

 集団をまとめるカリスマのある人がボスの場合が多い。

 まず突っかかってくる最初の人は小物のお調子者である。

 多勢に無勢で余裕があるのだろう。

 一人身体の大きい人が大声をあげて寄ってきた。

 小学生で身体が大きいだけで自分は強いと思い込んでいるタイプである。

 こいつは無視だな。

 後方に集団が群れてニヤついている。

 群れのポジションで大体の序列がわかる。

 あいつがボスか。

 身体の大きい奴を擦り抜け一気にボスに駆け寄る。

 慌てる群れ。手加減をしてボスを叩く。軽く右ストレートを鼻に。

 ボスが吹き飛ぶ。

 倒れたボスの顔面にサッカーキックを軽く。強く蹴ると死んでしまう。恐怖心を植え付ける作業。終わりである。

 あとは蜘蛛の子を散らすように子分は逃げ出す。怪我はさせていない。淡々と終わる。

 所詮小学生である。

 私の敵では無い。

 残されたボスを優しく介抱する。警察に言われるとまずい。

 話を聞くと地元で一番大きな寺の息子で大地主の家系で代々周辺の土地はボスの家の物で国が買い上げて開発したらしい。

 当然地元の名士で親は国とつなかりがある大物らしい。

 子分は檀家の息子達であり親すら子分である。

 よくある構図である。

 このボスの経歴はそんなところである。喧嘩が強い訳では無い。がカリスマはあるタイプである。

 地域に詳しいみたいなので色々聴いてみた。

 その小学校は規模は大きく数千人以上いる。地元に根付いた地主組と高級住宅街の新参者の二者に分かれていて高級住宅街の子供は一部上場企業の子供で帰国子女が多いと言う事で月に何人も転勤族の子供達が引っ越してくると言う事である。

 高級住宅街の子供は大体小学校か中学校には私立を受験していなくなるそうだ。

 故にこの学校を仕切っているのは地主組の子供達であると。

 警察も親達は仲良く議員なども沢山いてかなり悪い事をしても捕まらないそうだ。

 敵にすると厄介だなと思った。

 中学校が近くにありそこは更にマンモス校であり三つの小学校の卒業生が集まり地域でも最大の中学であり数千人いるそうである。しかし半分は受験で途中に居なくなったり入ってきたりする。その地区で一番偏差値の高い学校であると聞いた。

 あまり面白そうな人は居なそうだなとがっかりした。

 喧嘩相手はあまり居なそうであった。

 バトルジャンキーの私には退屈な街のようであった。

 それから私は退屈しのぎに繁華街に一人で行きふらふらして絡まれては喧嘩をして過ごしていた。しかし時代は格闘技ブームであり街で喧嘩する相手もなかなか居なかった。

 皆んな賢くなった。

 法律も厳しくなった。

 しかし外国人が街にはかなりいて大人の外国人相手に喧嘩をするようになる。

 外国人はまだまだ勢いがあったがお金儲けに走る大人は子供の私の相手はしてくれなかった。つまらない時代になる。

 うちの親の時代はまだまだ極道が沢山いて夜の街は怖かったそうである。今は表面化にはいない。

 街で喧嘩をしながら一年が過ぎ少し身長も高くなりより鋭利な刃物の様になっていった。

 時代に取り残された感じである。

 前は全国制覇とかいう楽しい少年が沢山居たとは思えない。

 私は中学生になる。

 三つの小学校が一つに集まる入学式。祭りである。

 初日から喧嘩祭りだとうきうきしながら中学校へ向かう。

 拳は何人か殴り当たりどころが悪いと直ぐに割れてしまう。日本刀も同じで数人切れば血で切れなくなると言う。

 とりあえず分厚くバンテージを巻いて拳を固めていく。

 革靴だと脱げる恐れがあるので工事の安全靴を履き硬く紐を縛りその上に紐がほどけないようにバンテージを。

 刺されても良いようにサラシを硬く巻き水をふくませて。

 戦闘準備は万全である。

 中学校の近くに行くと校門の周りに千人近い人が三つに分かれて牽制しあっていた。

 何かあったのかな?とわくわくしながら自分の小学校の人達の所に向かう。

 地域一の寺の息子の群れを発見。近づく。

 寺の息子のボスも戦闘体制に入っていて目立つカッコをしていた。髪も坊主にして掴まれないようにして。武器を皆んな隠し持っていた。ナイフや短い鉄パイプなどなど。

 一気に一年を制覇するようだ。警察も議員も付いてるのでかなり強気であった。

 私が近づくとボス達の集団が笑顔で私を囲んだ。

 ボスが言うには今年違う二校にかなり喧嘩の強い身体の大きい人がいると言う。

 更に先輩とも既に通じていて厄介だと。

 一応不良らしき人達はいるらしい。わくわくした。

 ボスはかなり私に期待しているみたいで私に全員倒して欲しいのがわかった。

 私を盾にして学校を仕切ろうと目論んでいるようだ。

 私は不良が嫌いである。

 更に群れるのは大嫌いである。

 私には私の美学がある。

 誰誰がバックにいるとか知り合いだとか掛け合いと言うハッタリが大嫌いである。

 見た目は弱そうだが中身は野獣のようなギャップを大切にしている。女の子のようだが強いが理想的である。

 だから鍛えないし筋トレもしない。才能だけでここまできた。

 武道、格闘技と喧嘩は違うのである。

 しかしボスは私には敵意は無い、一緒にいると退屈しのぎにはなるかなと思った。

 所謂用心棒である。

 私はボスに皆んなの武器をすてるように指示した。

 何故なら事件になった時必ずこの人達は裏切る。

 その先頭で闘うと責任は全て私のせいにされる。

 集団の乱戦になる程弱い者は集団心理で興奮して刃物で無茶をする。所詮子供の喧嘩である。刃物や道具さえ無ければたいした怪我はしない。

 ボスは渋々私の言う事を聞いて子分達に武器を捨てさせた。

 そのかわり守ってくれと頼まれた。

 私は学校を仕切るとか全く興味がない。ただのバトルジャンキーである。

 ただ今日はボスの用心棒をする事で面白そうだなと思い一日だけボスの用心棒の契約をした。

 ボス達は色めき立つ。

 余程不安だったのだろう。

 確かに遠目からでも他の二校を眺めるとパンチパーマやスキンヘッドなどなど道具を持った集団がみえる。

 これは面白くなりそうだとわくわくした。

 校門が開く。

 皆んな警戒しながらぞろぞろと中に入って行く。

 千人近い。

 大体は一般人である。

 地域一番の進学校でもある。

 他の二校のやんちゃな姿をした集団も群れながら中に入って行く。

 戦国時代なら袋小路に入って行くようなものである。

 流石実践慣れしてない。

 とりあえずボスに伝える。

 校門の中は狭い。しかも一般人もいる。道具も使えるスペースは無い。中に入ったら一校づつ襲う。奇襲というやつである。

 校門に入り体育館と校舎に挟まれた空間、大体バスケットコートぐらいの所にクラス別けの用紙が張り出されていた。

 千人近い人間が一度そこで溜まった。ぎゅうぎゅう詰めである。

 不良は群れる。目立つ。見つけやすい。

 一番後ろから入ったボス達に指示を出す。ここで決着をつけると。一気に叩くと。

 ボスが緊張した顔で頷き皆んなに指示を出した。ボスの子分は皆んな坊主である。私からは見分けやすい。なんせ皆んな同じ制服を着ているので乱戦になると誰が誰だかわからない。

 私は坊主頭以外を潰して行くように気をつけないと。

 ボス達が一斉に校門の中に走り込んだ。一番後ろに私は付く。ラッシュの電車待ち状態の場所でひときわ目立つパンチ頭の集団が塊っていた。十人以上はいる。一校目。まずは数は互角である。ボーっと立っているパンチ頭の集団に坊主頭の集団が後ろから突然殴りかかる。

 パンチ軍団は驚き応戦できない。武器を使う暇なく逃げ出す。一般人から悲鳴があがる。

 大混乱である。私はボスの横で護衛をしながら一人一人潰して行く。勝負は一瞬で終わる。

 喧嘩は一分もしないで普通は終わる。格闘技みたいなルールは無い。

 ボスに指示を出す子分達に集合をかけろと。

 子分達が集まる。

 十人無傷である。

 ボスに伝える一気にもう一校を潰さないと二校が連合すると厄介だと。

 ボスは頷く。皆んな興奮してぜーぜー言っている。

 まずいなと。所詮小学校上がり体力は無い。まともに喧嘩すらした事はないだろう。囲んで虐める事はできても。

 ボスにまた伝える。私がまず一人で突っ込んで何人か倒したら後から叩いてと。

 一気に終わらすと。

 ボスとボスの子分達が頷く。

 私は混乱した集団の中からスキンヘッドの群れを見つけた。

 あれだな。

 一気に距離を詰める。

 スキンヘッドの連中も十人程である。武器携帯である。

 慌ててはいるがパンチ軍団のように奇襲では無い。

 迎撃体制になっていた。

 まずいな。

 ボス達が怪我をする恐れがある。

 ボスに改めて指示を出す。

 私が一人で行くのでボス達は逃げる人が居たら複数で追って潰してと。とりあえずここで待機してと。

 ボス達は頷く。まだぜーぜー言っている。使えるかな?と疑問に思いつつ。

 私はゆっくりスキンヘッド軍団に近づく。誰が頭かな?。と考えながら。

 数は十人弱かな?伏兵がいる可能性もある。スキンヘッドでないとわからない。ナイフが見えるだけで三本。

 とりあえずナイフの三人を潰すか。ボス達に危害がいかないように。

 と一瞬で判断。ナイフを持つ人との間を潰した。

 ボクシングで言うワンツーを目に入れる。軽く速く。

 うずくまる。ナイフを取り上げ遠くに投げ捨てる。

 それを三回繰り返した。

 一瞬で三人にワンツーを入れてナイフを取り上げ投げ捨てる。

 私の見た目は中性的な華奢な女の子である。髪の毛も長くサラサラである。

 制服の上着は着てない動きづらいから。掴まれても良いように薄いティーシャツを着ている。掴まれても破れる。

 細いパンツに白いティーシャツの華奢な女の子に見えるロン毛である。油断しただろう。

 ナイフは排除した。三人はうずくまったままである。

 安全靴を履いてきてしまったので迂闊に蹴ると怪我をさせてしまう。拳はバンテージで硬くしてあるのでまだ大丈夫である。サラシは見えてない。

 私は全力で十分は動ける。まだ戦闘力の三分の一程度で手加減しながら殴っている。

 怪我させると警察沙汰になるから。急所も当てていない。

 ん?こいつかな。

 色黒でガタイがよく太っている黒人ぽい雰囲気のスキンヘッド。かなり身長も高い。鉄パイプを持っている。何人かがその人を中心に守った。

 こいつだ。

 ゆっくりとその子に近づく。

 周りの護衛が動く。

 私に近づいたタイミングでジャブを鼻に当てる。

 一人二人と鼻をおさえながら膝を落とす。鼻を折った。鼻血が止まらなくなるからびっくりするだろう。

 スキンヘッド軍団のボスらしき大きな男の子が鉄パイプを振りかぶる。

 素人はどうしても予備動作が大きい。パンチにしても武器を持っても。誰でも避けられる。

 があえて避けずにタイミングを合わせて突っ込む。と同時に右ストレートをカウンターで鉄パイプを振り下ろしたタイミングで顎に当てた。

 と同時にスキンヘッドのボスは前のめりに倒れた。

 本当ならとどめの蹴りを顔に入れるところだが今日はやめておこう。あとはスキンヘッド軍団の子分達が蜘蛛の子を散らすように逃げた。

 それを坊主のボス達が追う。

 終わりかな?。

 辺りを見回すがスキンヘッドはいない。皆んなうずくまっている。

 完璧な人間なんていない。

 誰もが短所長所がある。

 出来る事できない事。

 得手不得手。

 国語のできない人数学ができない人。

 集中力のある人無い人。

 記憶力のある人無い人。

 落ち着きの無い人ある人。

 最近の傾向として全てをADHDにあてはめる人が多い。

 十人十色皆んな違くて当たり前なのである。

 自分だけ違うとか自分の子供だけ違うというのは比較するからであり型にはめようとするからである。

 初めから型などないのである。

 違う事は素晴らしい事である。

 私は喧嘩が大好きである。

 今の時代何の役にもたたないかもしれない。

 そんな時代に産まれたのも運である。

 まだ未開発の国では喧嘩が強い事は素晴らしい事かもしれない。産まれた国も運である。

 ただ楽しめばよいのである。

 そこに坊主のボス達が全員無傷で帰ってきた。

 スキンヘッド狩り完了したようだ。

 皆んなテンションが上がり興奮している。

 今日の朝まで入学式が憂鬱だったのかもしれない。

 坊主軍団は入学式初日に一年を制覇したのだから。

 これから三年間毎日楽しいかもしれない。

 今心筋梗塞や事故で死ぬかもしれない。誰にも先はわからないのだ。

 坊主軍団は今最高に愉快であると思う。

 天下取ったくらいに。

 人生は一瞬である。

 アメリカ大統領で天下取ったくらい嬉しい人もいればエベレストに登り嬉しい人もいるし、

 つりをしながらのんびりしていても楽しい人もいる。

 人それぞれなのではないか?。

 すくなくても今の私は日本の首相なんかめんどくさくてやりたくないし一部上場企業の社長なんてめんどくさくて任せると言われても断る。

 人の幸せは十人十色なのではないだろうか?。

 皆んな持って生まれた天分があると思う。

 私の場合は喧嘩の才能である。

 私はある時歳の離れた武道全般で十段以上格闘技もプロである兄より強い事に気付いてしまった。体格は百キロ近い筋肉の塊のような兄に。

 それからは誰とやる時でも物凄い手加減をしている。

 殺してしまうから。

 私は喧嘩が好きなだけで遊びなのである。

 軍人ではないしなりたくも無い。

 著名な空手家や合気道の館長や誰もが知っているプロレスラーなどなど結局喧嘩が好きだと聞いた事がある。裏と表があり裏の世界でも有名だとか。

 さて一年は一応坊主軍団のボスが勝利したがまだ一般人に紛れた強い人もいるだろう。

 パンチ軍団スキンヘッド軍団と繋がりがあると言う先輩達も出てくるだろう。OBも。

 契約は今日一日坊主のボスの用心棒である。あとは知らない。群れるのは嫌いである。

 私は一般人である。

 不良やいじめは嫌いである。

 武闘家でも無いし格闘技者でもない素人である。

 私は自分のクラス分けの掲示板をみて教室に一人で向かった。

 教室に行き指定された自分の席について辺りを見回した。

 強そうな人はいないかなと。

 すると後から坊主軍団が入ってきた。威風堂々と肩で風を切りながら。どうやら坊主軍団と同じクラスのようだ。

 仲間と思われるのは嫌だなと気配を消して席を立つ。

 私は一般人なのである。

 見た目いじめられっ子に見える華奢で女の子のような。

 坊主軍団のボスに見つかる。

 一緒のクラスですね。心強いですと。大声で寄ってくる。

 軍団もぞろぞろと。

 坊主のボスに耳打ちする。

 私は一般人だし。用心棒はさっきまで。ボスはきょとんとした顔をしてわかってますわかってますと愛嬌を振りまいた。

 坊主軍団は後ろの席の方を自由に陣取り周りを威圧した。

 一般人は皆んな怖がり静寂が広がる。

 その一般人と共に私も大人しく目だないように静かに席に座っていた。

 これは下手すると今日中に先輩達から呼び出しがあるなと考えていた。あれだけ派手に暴れたのだ。先輩達もだまってはいないだろう。

 不良の世界は上下関係や横の繋がりで群れている。

 スキンヘッド軍団やパンチ軍団は先輩に泣きをいれている頃である。

 私が先輩ならと考えると坊主軍団のボスを呼び出すかこのクラスにいきなり奇襲をかけるな坊主軍団より大きな群れでと。

 予想してわくわくしていた。

 当然私の面も割れただろうしかなりの数殴ったので標的にされるだろう。

 私はいつ襲撃されても良いように臨戦態勢に入っていた。

 まだバンテージは巻いたままだしサラシもそのままである。

 上着も着ていない。ティーシャツのままである。

 坊主軍団は有頂天になり騒いでいる。

 すると先生らしき人が入って来て入学式が始まるので体育館に行くように指示が出た。

 不良軍団の連絡系統がどこまで繋がっているのか。まだ先輩に伝わってないのか。

 どのくらいの数がいるのか。

 マンモス校なので数は多そうだなと想像しながら一人体育館に向かう。当然いきなり刺される恐れもあれので臨戦態勢は崩さずに。

 体育館の中に入ると異常な数の生徒が座っていた。

 気配を消して静かに自分の席に座る。入学式は終わり拍子抜けする。

 何も起きないかとがっかりしながらまた自分の教室に戻る。

 朝一の乱闘だったのでまだ上に状況がうまく伝わってないようだった。

 体育館の先輩方の席に柄の悪い髪型をした人達はかなりいた。

 楽しみだな。と思いながら初日は終わり帰りにも襲撃は無かった。わざわざ襲いやすいように一人で帰ったのにである。

 がっかりである。

 群れとしての命令系統がきちんと作動していないのか?。

 OBに相談するのか?。

 何にせよ奇襲するなら遅いなと思った。

 私は小学校低学年くらいから中学生相手に喧嘩していたので

 かなりの人数集めてくれないとつまらないなと思っていた。

 今まで不良らしい姿の人で強い人は居なかった。弱いから群れるのである。自然の摂理である。

 日本は平和な法治国家である。拳銃類を持った素人はほぼいない。故にバトルジャンキーの私には都合が良い。

 流石に銃器には勝てない。

 喧嘩は遊びなのである。

 次の日うきうきしながら学校に行くと私の通学路に坊主軍団とボスがいた。

 理由を聞くと校門で二年生の人達が検問をしていて入れないという。どうやら坊主軍団と私に対する検問らしい。

 何人くらいいるのか聞いたがわからないが二年の不良の先輩は全員いると思うという。

 下手するとスキンヘッド軍団にパンチ軍団もいるかもと。

 そうなるとかなりの数だなと。でもスキンヘッド軍団にパンチ軍団は一度恐怖を与えた。

 昨日の今日では使い物にならないはず。一度でも負け癖がついた人は臆病になる。

 使えるとしたら二年生だけかなと。三年は出てこないのか?どうせなり一気けりをつけた方が坊主軍団は安全である。

 ギャラリーは多いほど楽しい。恐怖を与えやすい。

 武器の携帯を坊主軍団に聞くがわからないと完全に怯えている。歳が一個や二個上だからと何故そんなに怖がるのかわからない。

 なら年寄り最強になってしまう。

 不良の世界は不思議である。

 とりあえず坊主軍団には今日は休むように言った。

 何故なら足手まといであるから。

 私一人ならなんとかなる。

 坊主軍団は頷くとどこかに行った。

 私はうきうきしながら学校へ向かった。強い人はいるかな。

 校門近くに寄ると中にずらりと不良君達が並んで顔チェックをしている。武器は見えない。

 とりあえずいきなり武器で総がかりはなさそうである。

 入り口にスキンヘッドとパンチの一年達が顔チェックをしていた。

 私はわくわくしながら校門に入った。かなりいるな。

 入ると直ぐにスキンヘッド軍団がコイツですと先輩に告げる。昨日殴った子達である。目に怯えが見える。

 パンチ軍団達もコイツですと。

 二年生らしき不良ファッションに髪型をした人達とパンチ軍団スキンヘッド軍団で囲まれた。数えるのがめんどくさい。

 二年生の一人が不思議そうに言う。こんな女みたいな奴がか?と。スキンヘッドとパンチ君達がはい、コイツですと念を推す。二年生達は完全に擬装にかかった。なめている。皆んな拍子抜けしたようにだらだらしだす。

 とりあえずここは目立つから来いと囲みながら後ろから誰かが私の背中を蹴った。いやけらしてあげた。流石にこの人数で囲まれていては私もやりにくい。だらだらと囲みが解ける。

 どうやら体育館横にあるプールの更衣室でやきを入れようと言う事みたいである。

 物心ついた時から大人の兄と毎日組手スパーリングをしていた。体重差で言えば十倍とかである。そこで学んだのは防御力である。どんな凄い力で殴ろうが蹴ろうが避ければダメージゼロである。それが例え日本刀であろうと。そして決して掴まれてはいけない。触らせなければダメージゼロである。

 武道や格闘技や喧嘩をする人は攻撃的な性格の人が殆どである。攻撃は最大の防御とはきく。確かに一対一ならそうなのかもしれない。

 しかし戦国時代のような集団の乱戦ならどうだろう?。多対一なら。後ろから一切りされたら終わりである。いかに一太刀もいれられないか。かすり傷でも致命傷になる。

 徳川家康の最強の家臣と言われた本多忠勝は生涯かすり傷さえおった事がないそうである。

 防御が完璧ならどんな大勢に囲まれても無敵という事ではないだろうか。

 因みに私の才能は攻撃を避ける事である。

 だから体格や人数は関係無い。まだ完成はしていないが全ての攻撃が避けられるようになれば無敵である。相手が拳銃を持っていようと。日本での喧嘩ではまあないと思うが。

 ボクシングなどは間の奪い合いというが私の場合間をコントロールすることができる。

 間を消したり出したり。

 武道格闘技をする人ならわかると思う。

 故に相手の行動をコントロールできる。

 更衣室のドアを不良君達が開け中に入れと後ろからまた突き飛ばされる、させてあげた。

 更衣室は広いワンルームのコンクリートうちっぱなしである。壁際にロッカーが並ぶ。

 薄暗い中に短い金属バットを手にした男達がいた。

 十人くらいかな。

 にやにやと皆んな余裕である。

 後ろの人達は全員は入らず二年生が入ったのか?四五人。

 あとはスキンヘッド軍団やパンチ軍団残りの二年生は外に見張りみたいである。

 ドアを閉めた。

 中の二年生らしき人達が言う。本当にこいつなの?

 おんなみたいじゃん。と。

 一気にだらだらムードになる。まばらにうろうろしながら短い金属バットを皆んな手にして。

 私はこの建物の間取りと陣形をみながらプール側にもう一つドアがあるのを確認した。

 室内で囲まれると間合いがとれない。しかも短い金属バットを皆んな持っている。外側のドアの向こうにはかなりの人数が見張りにいる。

 一気に動く間を与えず。

 プール側のドアまで。

 完全に擬態に油断した。

 しかも私は一人。

 あとは適当にリンチする予定だったのだろう。

 緊張感が全く無かった。

 私はプール側のドアを開けて一度外に出た。一瞬だったので先輩方は動けない。

 やはりプール側には見張りは居ない。

 慌てて出てこようとする先輩方。

 当然ドアは一人づつしか出てこれない。

 先頭の人の顔面にロシアンフック。中まで吹き飛ぶ。カウンターだからよく飛ぶ。

 次々に出てこようとするが私は冷静に一人づつ潰していく。

 金属バットはもはや役にたたない。出入り口は狭いので振り回す事はできない。

 一瞬で五人潰した。

 フルスイングのロシアンフックなのでかなりびっくりしたはずである。

 あと十人程かな?。

 更衣室の外にはかなりいるがまだ気づいていない。

 先輩方はびっくりしたみたいで中で混乱している。

 私はドアは開けたまま一回更衣室の中に入る。

 右往左往する人達に今度はワンツーを軽く鼻や目に当てていく。急に私が入って来たのでパニックになっている。

 一応プール側のドアを背にしながら逃げ道は確保してないと外の連中が入ってくるとめんどくさい。

 ナイフは無いかな。と観察しながら倒れている人達の顔面に蹴りをいれる。起きてくるとめんどくさい。

 鼻から血が噴き出す人達をみて先輩達は余計にパニックになる。鼻は折れると血は当分止まらない。目鼻を打たれるとびっくりして膝を素人はつく。

 殴られ慣れてないのである。

 残り三人かな?まだ立ちそうな人が居ない事に気をつけながら膝をついてる人達の顔面に蹴りを入れて吹き飛ばしていく。

 因みに安全靴である。かなり硬い。革靴だと脱げたり破れたりする。スニーカーだと蹴った時硬い物だとこちらにダメージがある。頭はかなり硬い。

 早く終わらせないと外の連中に気づかれる。

 プール側のドアを無視して一気に間を潰す三人にワンツーを目鼻に入れ、崩れたところに膝を顔面にいれる。流れ作業である。

 ドアの鍵を閉める。入ってこれないように。

 これで一応終了。

 外の連中は気づいていない。

 ここまで一瞬で終わらせないとまずかった。

 流石に戦闘力が私が十としても先輩一人一の戦闘力プラス短い金属バットは厄介である。

 かける事の人数だと勝てない。

 かりに一人でも剣道の有段者でもいるとかなりまずかった。

 剣道三倍段というくらいに。

 この人達はいじめは慣れているのだろうが実践経験は少ないのであろう。室内で金属バットなど集団で振り回したら同士討ちになる。天井も低い。

 短い金属バットで集団で叩いた場合警察が介入しても誰が致命傷を与えたか立証できない。

 流行りの武器ではある。

 血の海に転がってる先輩に二年の頭は誰か聞く。怯えた先輩は素直に指を指した。側に行く。頭の先輩は鼻血を吹き出しながら怯えていた。怪物でも見るような目で。

 まず坊主軍団に手を出さない約束をさせた。当然スキンヘッド軍団とパンチ軍団にも伝えるようにと。約束を守らない場合頭個人の手の指全部の骨を折るとハッタリを言った。

 二年の頭に恐怖を植え付けた。頭の子はガタガタと震えていた。

 三年の頭は誰か聞いた。

 OBの愚連隊と何時も一緒に居てあまり学校に来ないと言う。三年の不良君達は愚連隊に仮入隊していて学校に来ないと。

 ありがとう。と礼をいい。

 更衣室からゆっくりと出た。

 外には二年生の残党とスキンヘッド軍団とパンチ軍団がのんびりたむろしていた。

 返り血を浴びて白いティーシャツが赤くなっていた。こぶしの白のバンテージも真っ赤に血の海を歩いたので靴と足跡にも血が。その場の不良君達の動きが止まり一斉に私を見て驚く。

 私は壁を背にして数歩横に移動して臨戦態勢を崩してはいない。

 まだ数十人いる。

 二年生の残党が慌てて更衣室に入ろうと中を見て血の海に転がり呻いている人達をみて更に驚く。

 パンチ軍団とスキンヘッド軍団は私の姿を見て動けない。

 目が怯えている。

 手加減はしたから中の二年生もたいした怪我はしていない。

 ここで一番に攻撃してくる奴がいたら厄介である。数十人は集団心理で興奮してしまう。

 スズメ蜂の巣を突いたように。

 私はじっとして不良君達を冷静に観察していた。

 更衣室の中から声がした。

 二年生の残党が我に返り中に全員入っていく。

 更衣室のドアが閉まる音がした。

 二年生が居なくなりスキンヘッド軍団とパンチ軍団は更に怯えた。

 私は壁際を離れてわざとスキンヘッド軍団とパンチ軍団にゆっくり近づく。

 蜘蛛の子が散るように皆んなバラバラに逃げる。

 一度心が折れたら終わりである。

 臨戦態勢を解く。

 なかなか面白かった。

 中学校二日目である。

 愚連隊があるのか。いい情報を聞いた。わくわくした。

 流石に返り血だらけで教室には行けない。私は一般人なのである。一人家に帰った。

 ADHDが今流行りである。

 症状は不注意、衝動的な行動、多動性などがあるらしい。

 原因は解明されていない。

 世の中に本当に解明されているものがあるのか。

 真実はわからない。

 十人いれば皆んな違う事をいう。意見や考えは右と言う人がいれば必ず左と言う人が出てきて上と言う人が出てきて下と言う人が出てくる。

 不注意とは集中できないすぐ忘れるなどなどが書いてある。かなり極端に言えば勉強が嫌いな人はあてはまる。

 衝動的な行動も極端に言えば短気な人。

 多動性で言うと好奇心が強い人。におきかえてもおかしくはない。

 捉え方は皆んな違うので沢山のアンケートをしてそうかもと思う人は沢山いるだろう。そういうアンケートはいくらでもつくれる。どちらにもあてはまるような文言にすれば良いだけである。占いのようなものである。誘導しようとすれば誰でもあてはまるように。

 短絡的にADHDを仮に要約すると勉強が嫌いで短気で直ぐになんでも行動してしまう人。

 不良君達などに当てるのではないか?。

 ルールに従わない人とか。

 捉え方一つでかなりの人があてはまるはずである。

 それ程曖昧である。

 ASDもざっくりと要約すると臨機応変でなくマイペース融通がきかないこだわりが強い人ともとれる。

 オタク君達があてはまるのではないか?

 これらが今流行りの発達障害と言われていることである。

 皆んなと違い量産型の型にはまってない人ともとれる。

 個性がある人ともとれる。

 今は個性的な人を病気扱いにする。何故なら学校や社会では個性は邪魔になるからではないか?

 量産型ロボット機械のように決まった事を死ぬまでする人を学校が作り社会に出す。

 でないと困る人がいるのではないか?。

 個性とか才能ある人は邪魔なのでないか?。

 現状維持する為には。

 今私達は社会の歪みにいる。

 気づいた人、気づきそうな人は排除されるのである。

 社会不適合者又は病人として。

 私はバトルジャンキーである。発達障害と烙印を押されるであろう。

 社会の役にはたたない。

 私は攻撃力が弱い。

 華奢で体重も軽い。

 筋肉もつきにくい。

 虚弱体質といっても良い。

 体力はない方である。

 肉体的には喧嘩に向いてない。

 性格も残虐性などない。 

 かなり優しい性格である。

 性格的にも喧嘩に向いていない。

 あるのは喧嘩の才能のみである。

 人間は考える葦であるという言葉も人ぞれ捉え方が違うようである。クレオパトラの鼻の話も。

 人はそれぞれ考え方が違う。

 故に感じ方も違う。

 他人に命令するには頭を使う命令される方は頭を使わないで良い。楽なのである。

 親や世間や学校や社会に疑問を持たず生きた方が楽なのである。

 何も考えない葦の方が楽なのである。

 考える葦は疲れるし辛いのである。

 型にはまれば楽なのである。

 クレオパトラの鼻のような例え話のようにささいな事で全て変わるし決まってしまう。

 決まってるなら考えない葦を選んだ方が楽である。

 だから皆んな考えない葦を選んだのだろう。

 時代や国やタイミングで楽な方へ楽な方へ。

 今の日本は情報過多である故に考えてしまう人が多い。

 しかし考えても答えは出ない。答えは人それぞれ違うのだから。

 答えは無いから。

 物事全てに裏表がありとらえようによる。

 何も知らない考えない型にはまる方が楽だが才能や個性が邪魔をする。

 才能や個性は悪とされるのである。今は。

 形が整っていて皆んなと同じでないといけないのである。

 目立つ事はいけない事。

 出る杭は打たれるのである。

 情報操作されながら均一した動きをしないといけないのである。

 それが社会というものなのかもしれない。

 裸の王様に裸とは誰も言ってはいけないのである。

 それが社会が作り出した常識であり法律なのである。

 ルールを守らない人はいじめられ迫害されるか排除される。

 考えてはいけない。

 与えられた情報常識に従い疑ってはいけない。

 喧嘩に強い事に価値が無い。

 常識である。

 遊びとして損しかない。

 私はバトルジャンキーである。

 損得の常識の世の中に必要無い。

 自己肯定をしたいだけのわがままである。

 故に遊びなのである。

 中学生三日目

 学校に遊び相手がまだいるのか楽しみにしながら行くと。

 通学路にまた坊主軍団が待っていた。

 怖いという。

 一緒に行ってくれないかと。

 一応ボス達には手は出さない約束はさせたと伝えたが。

 それでも怖いとボス達はいう。

 大丈夫だよ。遊びなんだからと言ったがいう言葉を信じない。

 不良という型にはまった人達の考え方もわからない。

 楽しく無いなら止めればよいのにと心の中で思った。

 不良には不良のルールがあるのかもしれない。

 似た者同士で群れを成すわけだし考え方も似ているのかもしれない。

 最近は大人にならない永遠の不良みたい人達もいて中年でも半グレと言われ暴力に価値をつけて凄く頭がよく稼いでいると聞く。そんな生き方も面白いのかもしれない。

 死ぬまでの暇つぶしに何に時間を使うかは各自自由である。

 死ぬ間際楽しい人生だったという生き方をしないといけない。

 全力で毎日を楽しまないとその時後悔する。

 坊主軍団は半端者である。

 学生時代の思い出づくりくらいだろう。

 その程度だから怖いのである。本気ではないから。

 仕方ないのでまた一日だけ用心棒を引き受ける。

 ボス達は私を保険に利用したいようだ。

 私は今日も三年と愚連隊の遊び相手が来るかとわくわくしている。いざという時はボス達を逃す為に身体をはらないといけないのはめんどくさいが。

 少しは初日の件で責任があるので承諾した。

 校門にまでぞろぞろと行くが特に変わった事はなく入れた。

 教室にぞろぞろと行くが何も無かった。

 安心したのか坊主軍団がまた教室の後ろを陣取り騒ぎ出す。

 私は仲間だと思われては心外なので前の方の自分の席で静かにしていた。

 一般人は皆んな恐怖で顔が引きつっていた。

 確かに一般人からしてみれば不良の群れは異質であり邪魔である。学校のルール常識を守らない人達だからである。

 更にいえばこの学校は地域一の進学校なのである。半分以上は高級住宅街の高級市民なのである。価値観が全く違う。

 不良の群れとか邪魔な人は排除したいであろう。

 しかし地域一帯の地主であり地域一の寺の息子とその子分である。権力者の息子。そうはいかないのである。

 私は群れ同士の権力争いなぞ全く興味無しである。

 静まりかえる一般人の中に紛れて三年と愚連隊の事を考えながら臨戦態勢に入っていた。

 私からは行かない。

 私から喧嘩は売らない。

 迎撃するのが面白い。

 どんな場面を作ってくれるのかが楽しい。

 遊び方楽しみ方は人それぞれである。

 勝てば良いだけならどんな手も使える。それでは楽しく無い。この待っている緊張感も脳に何かが出ていて幸福な気持ちになる。それも楽しい。

 純度が高い喧嘩をする為に。

 勝ち負け損得ではない。

 遊びに意味はなくて良い。

 絶対勝つ相手としてもつまらない。

 幼稚園児相手にでもすれば良い。絶対に勝てる。

 私は常に幼少の頃から体格の何倍も違う相手に狙われて倒してきた。勝った。勝てば勝つ程に相手は強くなり群れになった。追いかけ回され逃げ回りながら勝って来た。

 相手は強い程喧嘩は面白い。

 勝ち続ける度に私は喧嘩の才能だけはあると自己肯定できる。

 いつかは負けるだろう。

 いつか飽きるだろう。

 その時まで、時間は短い。

 今日かもしれない。

 この遊びが終わるのは。

 だから毎日が楽しい。

 永遠の命などないのだから。

 昼休みになり奇襲も呼び出しも無い。授業中に奇襲が面白いと思っていたが無かった。

 窓の外を見ると黒塗りの車が止まり中から不良らしい感じの人が降りた。重役出勤の人である。三年かなと眺めてわくわくした。黒塗りの車は愚連隊かなと。

 しばらくすると柄の悪い人が教室に入ってきた。さっきの重役である。

 教室は凍りついたように静まる。坊主軍団も。

 坊主軍団に近寄り何か話している。ボス以下全員立ち上がり整列して話を聞いている。

 完全に臆しているのか顔が引きつっている。

 十対一の教室。

 戦闘すれば勝てるだろうに?と分析しながら眺めていた。

 直ぐに柄の悪い人は教室にから出て行く。

 教室の全員から緊張がとれる。それ程異質な存在なのだろう。

 坊主軍団とボスが私を囲む。

 迷惑な事である。仲間と思われる。ボスが私に顔を強張らせながらさっきの人から伝言があるという。

 私に今日の夜二十時に学校の校門で待てとの事である。

 私は了解と小声で言う。

 とりあえず坊主軍団の用心棒がめんどくさいのでその場で帰る様に伝えた。

 頷くと坊主軍団は慌てて教室から出て行った。

 権力者の息子達である。あとは警察にでも泣きつけばなんとかなるだろう。

 わくわくした。

 今日の二十時か。

 うちはネグレクトなので私に家族は感心がない。

 学校に用が無くなり私も一時帰宅して身体を休めた。私は体力が無い。少し仮眠した。

 私は二十時少し前に戦闘準備に入る。

 何時もの様に拳にバンテージを厚く巻きさらしをキツく巻く上半身を守る様に。薄い破けやすいティーシャツにジーパンを履く。軍隊用の靴を履く。目立たぬ様に。

 準備運動を少し。ストレッチ。

 さて行くかと家を出る。

 途中自動販売機でコーラを飲む。エネルギーである。

 二十時少し前に校門に着く。

 誰もまだ居ない。

 待ち伏せの奇襲もないようだ。拍子抜けする。

 二十時かなり過ぎる。

 そこに黒塗りの車が一台ゆっくりと近づいて来て目の前で止まる。窓も真っ黒のワンボックスの車の後ろのドアが開く。

 中から柄の悪い体格の良い作業着の二人ゆっくり出てくる。奇襲は無い。なめているのだ。その二人が私を威圧しながら車に乗れと言う。

 車に乗るのはかなり危険である。身動きがとれない。いきなり刺されれば終わりである。

 私は素人である。その時の護身ができない。車を乗る人達は大人である年齢である。体格も良い。

 降りてきた二人と運転席と助手席に作業着を着た人、計四人である。一瞬このまま四人潰すか迷う。今なら簡単である。

 相手は油断している。

 しかしそれでは面白くない。

 私はバトルジャンキーである。

 しかし車に乗ればゆういつの才能である防御ができない。

 リスクしか無い。

 と考えていると降りて来ていた二人がいきなり私を掴もうとした。

 反射的に二人の顔面にワンツーを入れてしまった。

 跪く二人。流れで顔面に膝蹴りを入れてしまった。

 慌てて運転席と助手席の二人が降りてこようとする。

 私のスイッチが入る。

 助手席の人が近い。

 降りようと不安定な姿勢の所顔面にロシアンフック。

 私のパンチは軽い。

 タイミングよくカウンターでピンポイントに当てないと効かない。

 助手席の人はドアを開けたままその場でかがんだ。そこに顔面に膝蹴り。

 降りて回り込んでくる人とはゆっくり遊べる。

 武器はない。なめてる。

 走って無造作に近づいてくる。間を潰しロシアンフックをカウンターで入れる。吹き飛ぶ。間髪入れず顔面を蹴る。

 軍用の靴は硬い。

 うずくまる四人。

 仕方ない車に乗る程の危険は侵せない。遊びを超えてしまう。

 しかし黙って乗ると思っているところがなめている。

 群れ故の油断である。

 警察が来るかもしれないので少し四人を眺めて怪我が無いのを確認してその場を離れた。

 自動販売機でコーラを飲みながら帰宅するか考えた。

 いきなり家を襲撃されるおそれもある。家を襲撃されるのは迷惑である。それはもはや喧嘩ではない。遊びの範疇をこえる。

 一気に終わらせないと家に来そうである。最近は家族を襲う愚連隊もいる。

 直ぐに校門に戻るとまだ黒塗りの車が居てくれた。

 まだ混乱しているようである。

 気づかれないように近づく。

 四人集まり何か話している。

 まだダメージはある。

 少し距離を開けて話しかける。

 驚く四人。四人にもう戦闘する目は無い。心が折れていた。

 私から提案する。運転手だけ一人にして三人は残り、後部座席に私一人なら乗ると。

 臆した目をした四人は顔を見合わせて話し合った。

 直ぐに頷いた。

 私をリンチする場所に連れていけば沢山の群れがいて頭がいるのだろう。つれていかないと頭に怒られるはずである。

 不良君達の上下関係は厳しい。四人で一人拉致できないのは命令違反になるはずである。

 しかも私は中学一年なのである。四日前まで小学生の。

 なめているのである。

 運転手が乗り私は後部座席に一人乗りドアを閉めた。

 車が走り出す。

 何処に行くのだろう。

 とりあえず今日中に終わらせないとめんどくさくなりそうな気がした。

 しかしわくわくはした。

 油断している群れである。

 私の初動で決まるなと。

 運転手に何処に群れが居るのか何人いるのか聞く。

 現役の愚連隊が街の立体駐車場に三十人程車で集まっている。OBなどその上の人達は来ていないそうである。

 現役の頭は来ているのか聞いた。来ているとの事である。

 街の立体駐車場は犯罪の穴場である。人目がないのである。車で入り徒歩でも逃げれるし車を乗り換えれば尾行されていてもまけるのである。警察も巡回はしているが出入り口に見張りを置けばかなり安全にリンチができる。群れが集まっても目立たない。あとはカメラを壊しておけば良いのである。

 今街はかなり職質があり車に凶器らしき物は積めない。少しでも怪しい武器があればそのまま軽犯罪で捕まる。工具、ゴルフ道具、バット、カッター、ライトまで。

 運転手に聞く。武器持参かどうか?。群れ同士の抗争ではないしリンチなので持ってないとの事である。

 一応運転手の言う事を半分だけ信じた。

 やはりなめているのは確かである。一人に三十人集めた時点で強い人はいない。

 しかし三十対一勝てるはずはない戦力の差である。私が武器持参でも無理である。

 何人か刃物で殺して仕舞えばあとはびっくりして逃げるだろうが。それは喧嘩という遊びでは無い。

 運転手に言った頭の人の近くに止めてから頭が誰か教えてと。頷く運転手。何を私がするのかはわからないだろう。

 立体駐車場に入るぐるぐると上がる一番上まで、連絡がまだきていない。黒塗りの車が沢山並んでいる、広い駐車場に。

 他に車が無いので目立つ。

 運転手にゆっくりと近づいてもらう。まだこの車に気づいていない。黒塗りの車の群れから遠目に人がまばらにみえる。

 ばらばらにたむろしている。

 彼らにしてみればただのリンチ、緊張感など無い。

 頭の車の真横に止めるように運転手に指示。

 運転手は頭の車の横に静かに止まる。頭の車の横にかなり人数がいる。運転手に誰が頭か聞く。白の上下の服だと言う。

 こちらの車に気づいて何人かが近づいてくる。

 と同時に私は横のドアを開けて飛び出た。白い服の上下まで走り抜け。頭突きをそのいきおいのまま白の上下の顔面にに入れた。吹き飛ぶ。が間髪入れずに頭の右手を取り肩甲骨にくの字にひねり逆関節に肩を極めた。白の上下はうつ伏せになる。そこを私は膝で背中を圧迫した。

 一瞬の出来事に群れは動けない。

 白の上下に言う。動くなと。

 呻く白の上下。

 やっと周りの群れが我に返り怒鳴りながら近付こうとする。

 私は大声で叫ぶ、近づいたら折ると。まだばらばらの群れには気づいていない人が沢山いた。頭の近くにいた人達だけがその場面をみている。

 一瞬近くの群れが静まる。

 私は膝で白の上下の背中を圧迫している故に中腰である。

 私の顔の位置は低い。

 近寄られ蹴られれば吹き飛ぶ。私は華奢で体重も軽い。

 賭けである。一対一ならこれで終わりだが複数相手だと危険である。

 まばらな群れも異常に気づき集まる。と同時に皆んな興奮状態になる。と私の危ない間合いに入る人がいる。

 ちっ!

 白の上下の肩を捻りきり外す。悲鳴をあげる。

 群れがびっくりして止まると同時に私は車と車の間に逃げ込む。黒塗りのワンボックスの群れは二メートル近くはある壁である。私の姿は消える。

 慌てる人の群れ。

 私の姿を追う人は居ない。

 ここは広すぎる。

 多対一には不利である。

 見つからないようにするすると車の後ろを走りきる。

 階段とエレベーターの出入り口はさっき確認してある。

 そこまで一気に走った。

 私の姿を群れが発見、ぞろぞろと追ってくる。ここは最上階である。

 エレベーターホールにたどり着く。エレベーターは来てない。ボタンを押す。

 と私は駐車場とホールの出入り口に陣取る。まばらに息を切らした群れの一人が入ってくるのを蹴り飛ばし駐車場に吹き飛ばした。数人が巻き込まれて倒れる。ここの出入り口はかなり大きい。数人同時に入ってこれる。しかも群れは皆んなかなり力強そうな体格をしている。

 作業着から肉体労働関係者である可能性が高い。彼らは体力も力も体重もある。不利である。エレベーターが来るまで保つかが勝負の分かれ目になった。

 体格の良い人達が数人同時に入ってくる。ここは捨てよう。

 階段で降りる。華奢で軽い私は速い。愚連隊の群れは追いつけない。一気に一階までとその時一階のエレベーターホールに群れが溜まっていた。

 エレベーターで先回りされたのだ。

 階段を上がろうとする数人の群れ。仕方ない、怪我しないでくれよと思いながら下にけり落とす前蹴りで軽く。

 数人が群れでドミノ状態で落ちていく。大丈夫かな?と心配しながら。一時待機、踊り場になっているとこで。

 また怒号と共に駆け上がってくる。学習能力はないのか?と笑いそうになりながらまたけり落とす。を数回。静かになる。

 間をおかず一気に一階まで飛び降りる。かなりの数が倒れて負傷したようだ。数人残っていたのをワンツーを目に入れ動けなくする。頭の中で数を数える。十人ここに居る。ほぼ動けない。くる前に車の四人潰した。頭も潰した。十五人。残り十五人が上にいるが混乱している。迷わずエレベーターに乗り最上階に向かう。

 エレベーターが開くと五人がいた。驚いた顔で怯む。間髪入れずにエレベーターを出ながら頭ずきを目の前の体の大きな男の鼻に。吹き飛ぶ。と同時に周りにいる人の目に軽くジャブを入れていく。膝をつく人達に膝蹴りのプレゼントも。

 あと十人。

 いきなり最上階のエレベーターホールから飛び出して黒塗りの車に移動、まばらにいる作業着の人達を一人づつ潰していく。静かに早く。と上下白の服が肩を抑えて地面に座っていた。それを介抱する五人は私に気づいていない。

 静かに速く近づきこちらに顔を向けた順番にジャブを目に軽く。五人綺麗に入る。突然叩かれてびっくりして声を出しながらしゃがむ。軍靴で綺麗に顎を蹴り上げる。五人とも綺麗に吹き飛ぶ。その後のたうち回る。

 顎はしばらく立てない、脳がゆれているし。顎が割れたなら血が止まらない。

 フーッと息を吐く。中腰になり休む。辺りを見回しながら残党がいないか確認する。

 立っているのは私だけのようである。愚連隊現役頭の子は足元で震えていた。

 私はしゃがんで静かに。今度私に関わるなら家突き止めて両腕折ると宣言した。

 頭の子は震えながら頷いた。

 私は速やかに立ち上がり非常階段を探して降りた。カメラに映らないように。

 怪我人がでたので警察が入る可能性が高い。あとは愚連隊の面子の問題である。一人に現役全員潰されたと警察に恥を言うか。OBの手前後輩の手前言えないはずである。不良の世界は狭い。あっという間に何処までも広がりハッタリが効かなくなる。箝口令をひいたとしても。

 私は念の為カメラを気にしながら家路についた。もう夜遅いので職質にも気をつけながら。

 階段降りたり走ったりしてかなり疲れていた。私はスポーツマンではない。乳酸がたまり動けなくならないようによくマッサージとストレッチをしてお風呂で身体をよく温めた。牛乳を沢山飲んで体力を回復するようにして早く寝た。怪我一つない身体で。

 次の日気持ちよく起き一応学校は綺麗に片付いたかなと。

 学校に数日通ったが静かであった。

 坊主軍団はどんどん態度が大きくなり学校で周りを威圧した。私と同じクラスなのでいざと言う時助けてくれると感じているのだろう。

 そんな時家に電話があった。転校した前の学校の子から。

 遊びに来ないかと。

 懐かしく思い一人で前の学校の子に会いに行った。

 すると遊びに行った子はパンチ頭の不良君になっていた。

 うちはネグレクトなのでその子の家で毎日のようにご飯を食べさせてもらっていて双子でスポーツマンであった。お父さんが新聞記者でお母さんは看護師の家で祖父母が私達のご飯を毎日作ってくれていた。彼の家もネグレクトぽかった。

 しかし真面目なスポーツマンだったはずが二人ともニグロパンチの眉剃りで立派な不良君になり驚いた。

 仲間を紹介するというのでついて行くと住宅街の裏に駐車場がありそこにニグロパンチ眉剃りの柄の悪い服を着た集団が溜まってバイクをいじっていた。数えきれない数である。大きな連合に加盟しているチームの人達だという。規則でニグロパンチ眉剃りだそうで全員同じ顔にみえる。その中にぽつんと華奢な女の子のようなロン毛の私がいてかなり浮いていた。

 顔見知りがいて話しかけてくるが皆んな私にぺこぺこする。

 それをみて他のニグロパンチ君達が不思議な顔をして見ていた。

 OBは極道と右翼と言う事で準構成員でもありかなり忙しいという。不良エスカレーターに乗った人達だという。

 連合はかなり大きく全員集まる事は滅多にないそうだ。地元の現役だけでも百は軽く超える人数だそうだ。この地域は大きな団地が沢山あり子供も多いからかもしれない。

 私は暫くぶらぶらしていたが何かいごごちが悪く幼馴染に帰ると告げた。双子の幼馴染は今度集会があるから来なよと言っていた。

 彼等は何故に群れるのだろう。確かに群れは強い。が其処が目的ではない気がする。

 特に喧嘩をするわけでもない。不良という群れも型の一つである。学校の型にははまらないだけである。

 不思議なのは何故私をあの場所に連れて行ったのか?

 あの群れに入れという事なのか?それとも自分の今の力を自慢したかったのか?。

 確かに極道や右翼に喧嘩を売る程の力は無い。それは遊びでは済まない。私は一般人なのである。

 私は常に自由でありたい。

 どの群れにも属したくないのである。

 ただ身体中にエネルギーがたまる他人よりも多くたまる。

 たまたま私の才能が喧嘩であるからそこに放出しているだけである。損得勘定でしているわけではない。

 たまたまお金に直結してない才能だっただけである。

 今は子供が少なく学校は多い。大学など星の数程ある。

 余程儲かる商売なのかもしれない。東大でも目指さない限り何処かには入れる。

 特に勉強しなくとも。

 一般的な流れにのり型にはまりやすいようになっている。

 就職も今は人材不足であり、中小企業には人は集まらない。

 一部上場の会社を望まければ何処かには入れる。

 昔とは違う。就職も特にしなくてもスマホ一つあれば稼げる世の中である。お金を稼ぐのに特に学歴は必要ない。

 しかし未だに日本は学歴社会である。一応大学まで皆んな行くように流れがある。

 極道の世界も学歴社会らしい。

 もはや武力など必要ないのかもしれない。

 如何にお金を集める才能があるか。

 日本の学校では教えないが海外の学校では教えている所もあるらしい。

 そこが日本の学校の賢い所である。労働者はつくらないといけない。

 幼馴染の不良君達も労働者である。

 不良になれるのも立派な才能である。

 不良君達も資金力がないと成り立たない。稼ぐしかない。

 お金が無ければパンチにもできないし単車や車も買えない。

 社会に属してはいる。

 極道も看板は出さないが沢山の企業を営んでいる。

 半グレ君達も金儲けに優れていないといけない世の中である。もはや暴力など必要ないのだろう。

 群れをつくるのも才能である。人脈という財産である。

 喧嘩は金にならない。

 帰宅しながらぼんやりとそんな事を考えていた。

 学校が嫌いで勉強ができない例えば学習障害LDであってもスマホやパソコンがあるので特に問題なく群れに入れる。

 発達障害というのが本当にあるとして特に困る世の中ではない気がする。

 長所と短所は誰にでもある。

 ただし企業からみて労働者として使いづらいだけである。

 世代が違えば考え方も違うし昔は宇宙人だのゆとりだの言われた時代と同じである。

 ただ平成の世代を学校で過ごした人達は個性や才能がある人が多いような気がする。

 考える時間も情報もあり少し自由であったので損得が基準の人も多い気がする。

 昔の人のようにお国の為とか会社の為に命を捨てたり身を削る人の考え方とはまるで違う気がする。

 でもまだ日本社会は昭和の考え方なので平成的な考え方だと生きづらい。これから令和はもっと生きづらくなるのだろう。まだまた昭和の人達の時代は長い。

 才能や個性は社会には必要無い。それがお金を生み出すなら良いが私のような喧嘩の才能では全くお金にならない。

 しかし誰のせいでも時代のせいでもない。全て自己責任ではないかと私はかんがえている。

 結局は皆んな個であり孤独なのではないだろうか?。

 発達障害だろうとなかろうと。

 学校は金を払えばれば入れるから生きづらくても過ごせるかもしれない。最近は大学院まで行く人も少なくない。しかし社会に出るとやはりいきづらいだろう。何年かは保つかもしれないが正規雇用なら尚更難しいのではないか?。派遣でたらい回しにあううちに自分が社会に受け入れられていないのに気付くだろう。自己肯定できなくなる。終身雇用でもないし大企業もリストラするし潰れる。

 個性だ才能だとか関係ない世界でもある。ひづみ世代が中間管理職である。組織として機能しなくなるのではないだろうか?。それでも労働者は沢山必要なので時代の変わり目に私達はいるのではないだろうか?。

 スマホやパソコンが世界中に広がった時のように。

 哲学的に世の中は変わるような気がする。

 愛、性別、結婚、今までの常識が徐々には変わってきているのを感じる。

 私は中学一年生である。

 シニア世代は逃げ切れるかもしれないが私は今からである。

 どこかに居場所をみつけないといけない。幼児期に才能個性がみつかりそれで稼ぐ事ができない人は皆んなと同じ道つまりは学校に通いながら大学まで出てどこかに雇ってもらえるように可能性を広げ学歴という資格をとるか専門学校で資格をとるか資格という個性を買うしかないのかもしれない。

 発達障害の人の特徴として何かができないのなら吐出した何かができるはずである。

 芸術や音楽、職人といった才能を持つ人何か一つでも稼げる才能があればよい。

 しかし私は喧嘩が才能である。これでなんとか稼げる仕組みをつくらないと難しい。

 手取り場合のはお金を稼ぐ才能があるとよいのだが商才というような。岩崎弥太郎のように。

 他人と自分を比較するのは良くない事である。

 羨んでもその人にはなれないのだから。

 私は学校のテストは百点取れるが馬鹿である。今までも勉強したことがない、というかできないのである。努力ができない。なので努力根性気合いなどと言う言葉さえ嫌いである。

 運と才能とタイミングと言う言葉が好きである。

 努力できないのも病気なのかもしれない。

 しかし最近は学校の勉強はできるが仕事はできない人も多いみたいである。東大をでても社会適応能力がないといった人である。企業からしても使いづらいと聞く。勉強しかできないと塾講師くらいしか仕事が無い。

 バランスの問題なのかもしれない。

 よい才能とは努力する才能、最後まで諦めない才能がある人は何をしてもうまくいく気する。本人も楽しいと思う。

 残念だが私には無い。

 最大の弱点は群れに属せない。不良君達のように群れをつくれれば何かしら仕事はあるし人脈は広い程チャンスも巡ってくるのかもしれない。

 お宅君達のように一点集中型なら職人、芸術家や研究者といった道もある。

 良いところを更に伸ばしていけばノーベル賞だってとれるかもしれないし天下も取れるかもしれない。

 私はノーベル賞も天下もいらないが。

 才能が無くても楽しい事をしながら生きていきたい。

 やりたい事だけしながら。

 我儘に自己肯定しながら。

 帰り数日登校した。

 坊主軍団が調子に乗り過ぎて

 教室に立て籠もる遊びを始めた。出入り口に机やら椅子を積んで。一般人も巻き込み皆んな出られない。ドアの上の空調みたいな小窓から先生に物をぶつけたりしながらお祭り騒ぎを一日中やって授業ボイコットをした。因みにうちの学校は新学校で偏差値は地域で一番である。

 一般人は国立や六大学に行く。皆んな大迷惑であった。

 当然私も大迷惑である。

 私が居ることで坊主軍団が調子に乗っている。

 夕方になり飽きた坊主軍団はバリケードを壊して帰って皆んな解放された。

 次の日職員室に私が呼ばれた。私が命令してやらせたと先生から言われた。

 何時ものパターンである。

 坊主軍団が嘘を言ったのか、先生が決めつけたのか。

 違うと言っても信用はしてくれない。また冤罪である。

 私は入学式から喧嘩しまくり先生からみて大問題児なのである。排除したい人一番である。

 坊主軍団のボスは地域一帯で一番大きな寺で地主で権力者の息子である。この中学も元を正すと寺の土地である。

 先生方も要領よく坊主軍団には見て見ぬ振りである。

 社会的地位や権力をもつものには何も言わない。

 私は否定し続けたが結局私が全て悪いと言う事で終わった。

 私は無駄が嫌いである。

 先生に正論は通じない。

 私が折れれば丸く収まる。

 しかし坊主軍団の悪ふざけは法律を超えていた。万引きや盗難強盗まで。単車を何十台と乗り捨てするようになり隠しておいた盗難車数十台には警察が犯人探しをした。先日近くのガソリンスタンドに強盗に入った件でボスは警察に捕まるが親がもみ消したばかりであった。

 盗難車窃盗団としてかなり大きな事件になり警察が動いていた。嫌な予感がした。

 突然家に警察署から電話があり出頭しろとの事である。

 誰かがまた私の名前を語ったようである。

 出頭して冤罪だと言うが警察も聞き入れてはくれなかった。

 しかしボスが手を回したのか捕まる事はなく一応は犯人だが見逃すといったような処理をされた。そんな事が続き警察にも私の名前が知られていった。

 地元で何かおきると直ぐに警察に呼び出されるようになる。

 誰かが密告しているようである。

 愚連隊がした事も坊主軍団や誰がしたかわからない事までみんな私の名前がでるようになる。

 直接喧嘩はしたくないが目障りなのだろう警察を使ったいじめである。

 不良君達による同調圧力である。今の不良君達は賢い。

 群れに属さない者は潰されてしまう。

 喧嘩が強いだけではどうにもならない。

 かといって他人の真似をすることなどできない。不器用なのである。同調圧力には潰されてしまう。

 喧嘩が強いと言う事だけでは不良の世界でも生きてはいけない。

 やはり多面性を持ち自分探しをしてどこかの群れに入らないと個では弾かれてしまう。

 私はどうにもこの自分探しと言う事が嫌いである。何故なら答えなどないからである。

 何処かで妥協して皆んな我慢しながら生きている気がする。

 やりたい事と才能が合致してタイミング良くうまくいき運も味方にして人生を過ごしている人など極少数なような気がする。

 シェアハウスとかシェアオフィスとか前に流行ったが自分探しをして何処にも居場所がないから皆んなといると安心するとか聞くと結局はどこかの群れに属さないといけないのかなと考える。

 人間は結局は弱気生き物なのかなと群れを作るのは弱い証拠である。

 夕方息苦しくなり外に出る。

 家の前の道が渋滞している。

 ライトで眩しい。

 目を細めて空を見る。

 小さな空はどんよりしている。

 深呼吸をしながら歩く。

 排気ガスを体の隅々まで。

 息苦しい。

 交差点には沢山の人達が信号待ちをしている。歩道も四方八方に皆んな整列しながら歩いている。

 皆んなきちんとルールを守りなんの疑問も持たずに。

 皆んなと同じ行動をしている。皆んな同じような服を着て。息苦しい。皆んな息苦しくはないのか?。

 ビルをあちらこちらでつくっている。隙間なく。

 ドミノのように。

 私の後ろに小走りに人が近づく、ビクッとしながら身体が反応する。いきなり刺されるかもしれない。後ろから近づく自転車や原動付きバイクに身体が反応する。いきなり囲まれて金属バットで殴られるのを警戒して。見張りはいないか警戒しながら。

 帰るか。

 後ろを気にしながら歩く。

 尾行はいないか。

 曲がる前に後ろを見る。

 曲がる前に。

 いきなり後ろから刺される世の中である。

 私は素人である。

 護身できない。

 家の前で少し見回して素早くドアを開け閉めて鍵とチェーンをかける。

 ふーっと息を吐く。

 息苦しい。

 ネットでキャップとニット帽を買う。紛れないと生きてくのが息苦しい。

 目立たぬようにメッキを貼り擬態しなければ。

 夜中にコンビニに行く。

 何時も何件かはしごする。

 何時も同じ中年の男性がいる。無言でテキパキと働いている。バイトのようである。

 昼間はサラリーマンなのだろう。

 いつ寝ているのか不思議に思う。

 彼等は私ぐらいの時はどんな子供だったのか?。

 昼間はサラリーマンをして夜中はコンビニでバイトするのを目指していたのか?。

 楽しそうな仕事では無い。

 才能も必要は無い。

 中年の方には家庭があり家族もいるのかもしれない。

 もくもくと毎日毎日同じ事をしながら時間を過ごしている中年の人をコンビニで眺めながら立ち読みをする私。

 私もあの中年のようになるのかなと思った。

 特に日本にも社会にも不満は無い。平和な国で幸せな国だと思う。

 私は総理大臣、宇宙飛行士、プロスポーツ選手、芸能人になりたいとも思わない普通の何処にでもいる一般人である。

 このままいけば皆んなと同じサラリーマンになるのだろう。

 起業する夢も才能も無い。

 ユーチューバーになり目立ちたくも無い。

 運良くテストの点だけは良いので受験すれば東大は無理としても六大くらいには入れる気がする。努力しなくても。

 趣味特技は喧嘩だが武道家格闘家としての才能は無い。

 不良になれる才能も無い。

 皆んなこんな感じで大学まで行きなんとなく入れる会社に入るのだろうか?。そこで初めてできない事に気づき数年我慢して自分探しを始めたり自分が出来ないのは病気なのでは?。とか理由探しを初めて発達障害にあてはまり安心するのだらうか?。誰かのせいにするのだろうか?。何事も自分で考えずに。巷に溢れる情報を鵜呑みにして。

 早く気づいた。

 私は社会適応能力がない。

 皆んな無いのかもしれないが。損得勘定はできるのかもしれない。

 人間本当に悲しい時涙は出ない。涙がでるのはまだ余裕があり客観視している時である。

 震災で全て失った人達は微笑んでいた。希望も無いのかもしれない。暗い顔している人はお金がない人である。

 お金がないと心が荒むのかもしれない。

 だからとりあえず皆んなレールに乗り学校に行き会社に勤めてお金を稼ぐのかもしれない。

 やりたい事などみつからないし。周りと同じだと安心するから。皆んな安心安定が最優先なのかもしれない。奴隷として何も考えずに生きるのは楽だから。楽な方楽な方へ。

 中一にしてそれに私は気づいてしまった。

 私は電車やバスが苦手である。人混みは大丈夫である。

 あの密閉された空間に押し込められると間合いが取れないどころの話ではない。鮨詰め状態である。更に音が大きいのもきつい。

 これから進学、就職すると毎日である。学校よりきつい気がする。それだけで労働である。しかし通勤通学は労働時間から省かれている。拘束された時間なのに不思議である。

 思春期というやつなのだろうか?。身体中にエネルギーが溢れる感じがする。当然ストレスも。つい未来を考えてしまう。

 考えても仕方が無いのに。

 そんな時幼馴染の双子から連絡が来る。集会に顔ださないかと他所の地区地域を通過する時喧嘩があるから来てくれないかと。用心棒の依頼である。

 最近もやもやしていたので気晴らしにいいかなと引き受けた、

 当日何時もどうりの戦闘態勢をとりジーパンにティーシャツに軍靴にバンテージにサラシをまいてうきうきしながら双子の家に行く。彼等は特攻服である。パキパキに目が飛んでる。

 薬物でもしてそうな感じである。双子の単車の後ろに乗り二台で集合場所に行くと数百台の車と単車が集まっていた。

 OBも来ているらしく皆んなきびきびと動いている。軍人のように。双子に聞くとOBが捕まらない様に単車の現役が護衛に入るそうで警察が出てきた時も命がけで逃すそうである。

 皆んな目が飛んでるようでパキパキである。

 大丈夫なのかな?。死人とかでないかなと心配になる。

 今日は地元だけの集会なので

 数が少ないそうであるが皆んな武器携帯である。双子も包丁を携帯している。ちらほら日本刀らしき物も見える。不良世界の事を全くしらない私だが双子が言うには地元集団はかなり武闘派らしく無茶して捕まっても極道や右翼になるのではくがつくくらいに思っているらしい。

 無茶をする人程恐れられているみたいである。当然リンチや拷問もである。しかも薬物をしているようで抑えはきかないだろう。もはや遊びではない。

 黒の特攻服にニグロパンチ眉なしのクローンの中で私だけサラサラロングヘヤでジーパンティーシャツである。物凄い違和感がある。目立つ。先輩らしき人達やOB達にみつからないようにこそこそと隠れていた。

 男だけしかいない。規律が厳しい世界に社会ってこんな感じなのかもと感じた。息苦しい。

 彼等は何故かお金持ちである。何か悪い事をして稼いでいるのだろう。利益が出る仕組みの中にいる犯罪集団なのである。そこがまた怖い。大人なのである。集会も武力を維持する手段であり仕事であり遊びではないのである。

 頭や幹部らしき人達とOBが密に打ち合わせをして何かあるらしい。頭らしき人が下の者に説明を大声でしている。

 双子と私は下っ端なのでかなり遠い所なのでよく聴こえない。どうやらルートの説明をしているみたいである。

 私には関係ない。私は双子の用心棒だけすれば良い。

 こんなに統率されるのが好きなら自衛隊や警官にでもなればよいのにと感じた。それ程自由はなく楽しそうでは無い。

 自衛隊や警察なら公務員であり地位や名誉権力もあり給料も出るし今流行りの職でありモテる。終身雇用である。なにも茨の道を選ばなくてもと思いながらキビキビと動く群れを眺めていた。

 双子が言うには細かく仕事が分かれていて信号留めや親衛隊や特攻隊や遊撃隊やしんがりなどなど本当の軍隊のように動くらしい。楽しく無いだろうなと思った。人は命令されるのが好きなのかもしれない、楽だから。

 号令と供に出発する。

 規律正しく。

 ゆっくりゆっくりと走り始める。

 私達は真ん中辺で出発した。

 下っ端は安全な位置らしい。

 数が多すぎてなんだかわからない。

 道路をゆっくりゆっくりと走る。何が面白いのかわからない。

 暫く幾つかの街を通過する。

 一般車は避けるか止まる。

 エレクトリカルパレードである。皆んな避けて眺めている。

 歩道の人達も。

 なんとなくはずかしい。

 と私達の集団が止まった。

 前の方で何かあったみたいである。街のど真ん中である。

 双子に何があったのか聞くとわからないと。とりあえず情報を集めてもらう。私は一般人である。犯罪に巻き込まれるわけにはいかない。極道にも右翼にもならないので刑務所に行くわけにはいかない。

 どうやら先頭集団に自転車を何台も投げつけバリケードのようになってしまい動かないみたいである。柄の悪い私服の人達と先頭がぶつかったみたいである。半グレ極道のヤンキー狩りのようである。乱闘になるのかと思ったが何事も無かった様に

 その人達を相手にせず反対車線にルートを変えて少し速度が上がる。一気に柄の悪い私服達を置き去りにして。

 そしてまた同じくゆっくりゆっくりと流す。

 数時間流して元いた場所に集まり、頭や幹部らしき人達が何か大声で話して解散。

 何がなんだかわからないが面白くも何も無かった。

 私は拍子抜けしてしまいがっかりした。やはり群れ対群れの闘いなど現代では無理なのだろう。日本は法治国家なのである。何をしても必ず捕まるようにできている。

 少数で襲い金属バットでめったうちや拉致して拷問、監禁して拷問などなどが暴力の主流になり。金にならない暴力など意味がないのかもしれない。不良君達も結果金にする事でしか動かない。不良と言うより犯罪集団である。普通の大学生や会社員も含まれているみたいである。もはや不良と一般人の垣根はないみたいである。

 本でみたが大きな極道の親分は普通のビジネスマンより優秀で起業家であり真面目であると。勿論見た目も優しそうな普通のどこにでもいるサラリーマンと変わらない。

 半グレ君達も今やタレントのように人気があり金持ちである。

 私のような喧嘩が趣味の人は誰にも必要なくなってしまった。

 賢い人達は捕まらないように若い人や扱いやすい人や騙されやすい人を捕まり要員に育てているのだろう。賢い人達は何をしても捕まらない。

 私は賢く無い。

 故に群れに属せば必ず責任を取らされるだろう。

 日本人は責任をとらない民族である。少なくても近年は。

 出る杭は打たれて。

 ミスしない事が美徳とされる。

 それだけ皆んな賢いのだろう。

 悩みに悩む。

 発達障害というのは進化か退化なのではないだろうか?。

 その環境に合わせて変化する。私の喧嘩の才能は別にしても。優れた人が多い気がする。

 吐出した才能がある人を発達障害と言うのではないだろうか?。同調圧力で自分が変なのだと思ってしまうのでは?。

 出る杭は打たれるように。

 発達障害の人達の割合が大きくなれば迫害されれ事もなくなる気がする。オタク文化のようにeスポーツ人口が増えて億万長者が出た今彼等を発達障害という人達は少ない。

 喧嘩でご飯は食べられない。

 私は集会の後に考え込んでしまった。

 個性は押し殺して生きていかないといけないのかもしれないと。

 今のところは発達障害は生まれつきと言われているが確かな情報とは言えない。原因不明だからだ。世の中の病気と言われるものは大体原因不明である。

 考えても仕方ない事は無視しよう。

 私は今日から一応学校に通おう。普通と呼ばれている生き方をしてみよう。息苦しくても。

 擬態というやつである。

 うちの学校は偏差値が高い。

 帰国子女も沢山いる。

 途中で中学受験をする人達も沢山いる。

 真似してみるか。

 偏差値の高い学校に行き一部上場の有名企業に就職する。

 これが今の流行りである。

 東大から官僚、そして政治家というのもあるが。

 とりあえず学校に行き情報を集めた。近所に六大の付属中学があるらしいそこに入れば大学までエスカレーターだそうだ。

 調べたが編入はできないみたである。

 自転車で行ける位置に六大の付属がある。ここなら苦手な電車やバスを使わないで行ける。

 しくじった。

 あと少し前に気づけば中学から行けた。仕方ない高校受験まで待つか。

 私は馬鹿である。勉強した事がない。しかし試験は何時も百点である。試験前に教科書を軽く読むだけで写真のように記憶に残る。意味は全く解らない。

 がそれを丸暗記して書き写す作業をすれば良いだけである。

 これも普通では無い。

 発達障害なのかもしれない。

 しかし学歴はとれてしまうだろう。社会の役に立つかは別にして。

 私は自分にメッキを貼る事に決めた。極上のメッキを。

 

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