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バーチャル教師の指導案  作者: 風上昴
第4章『三期生』
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2ndstreet聖夜祭③


 あれから数時間、雑談やボードゲームを適度に回しながら2ndstreet聖夜祭は順調に予定を消化していった。

 今は防音スタジオにテーブルを持ち込み、私達8人はケーキを囲みながら雑談を続けていた。


「そういえば、3期生のデビュー準備もだいたい終わったらしいですね」

「そうなんですか。一姫先輩、詳しいですね」

「ええ、社長が前に言ってました」

「私達もそろそろ先輩かぁ。先生、どんな人が来ると思う?」

「あー、私達も二次面接にしか関わってないからな。ただまあ、中々にキャラの立った人が数人来そうではある」

「そう言えば、台本のここなんだが、シークレットゲストって何だ?」

「メタいですよ、フィリップ先輩。私も気になりますけど」


[2ndstreet全員揃っての雑談は久しぶりな気がする]

[なんかまったりしてる]

[我が家って感じだよな]

[ここまで仲の良い箱って中々無いよな]

[何故か情報通の番長]

[社長がリーク元かwww]

[2ndstreetに来る奴がキャラ立ってない訳がない]

[この先輩にして、だよな]

[フィリップ、シャラップ]

[メタい話はやめろwww]

[いつか重要な機密漏らしそうで怖い]

[ん?フィリップのお漏らし……]

[ヤメい]


 フィリップが言った通り、台本にはこれからの予定として[シークレットゲスト]の文字が書かれている。ゲームや雑談が伸びることも織り込んで、具体的な時間は設定されていない。


「そう言われると、気になってきますね」

「美旗、何だと思う?」

「何で私に聞くんだ?」


 8者8様、そう言われると気になってくる。フィリップの適当なフリに、私は適当に返す。


「具体的な時間は設定されていないから、外部から誰かを呼んでくるとなると手間も時間もそれなりに掛かるだろう。そう考えれば、さっきから姿が見えない社長辺りがゲストじゃないか?」

「でも、社長はケーキ行脚に行ってるんじゃ?」

「いくらクリスマスとは言え、そろそろ帰ってきてもおかしくないですね」


 ここまで話したタイミングで、スタッフがカンペを出す。


「あ、スタッフさんからカンペが。えーっと、『勘の良いガキは嫌いだよ』だって」

「それ、ほぼ答えだよねー?」


 それに従い、暫く当たり障りのない雑談をしていると、配信画面に動画が表示される。どうやら事務所の会議室で撮影したであろう見慣れた背景に、パイプ椅子に座る社長の動画だ。


『メリークリスマス。2ndstreetの諸君、そしてファンの皆様』

「あ、しゃちょーだ」

「たかさん、普段はこんな喋り方してない」

「メリークリスマス!」

「お前ら、動画が聞こえなくなるだろ」


 思い思いに勝手なことを言うフィリップ達を諌めつつ、私も動画の内容を確認する。


『この動画は私からのクリスマスプレゼントだ。2ndstreetの諸君も内容は知らない。きっと楽しんで貰えると思う』


[サプライズ?]

[2ndstreetってこういうの好きだよな]

[周りから見てる分には常識的な事務所だけど、沼にハマると一番非常識]


『この年末、2ndstreetでは3期生の募集を行っていたことは、知っていると思う。2ndstreetの全員の協力は勿論、応募してくれた人にも感謝を。欲を言えば、全員を採用したかった。殆どの応募者に落選の連絡をするのは心が痛んだよ、本当に』


『そして、3期生のデビューの準備も整った。デビューの予定は1月3日。新たに、2ndstreetに四人の仲間が加わる事になる。是非リスナーの皆も応援して貰いたい』


「これは……、サプライズですね」

「私達も3期生の事は知らないですからね」


[ここで告知か……]

[【悲報】三が日仕事のワイ、無事死亡を確認]

[アーカイブ、あるから……]

[涙拭けよ]

[社長、話し方にいい人感出てる]

[中々肉声聞く機会ないからなぁ]

[社長が3期生でデビューするんですよねわかります]

[その前に二期生マネージャーのシェヘラザードさんが居るだろ]


 私達は、動画の邪魔にならない程度に雑談を広げていく。コメントを見ると、やはり3期生のデビュー告知というサプライズに言及するものが多い。


『さて、これでサプライズは終わりではない。折角の機会だ、3期生の顔見世も同時に行った。4者4様、個性的なメッセージを用意してくれている。それでは、私はここで居なくなるが、是非最後まで楽しんでくれ』


 社長が画面から消えると同時に、画面には一人のアバターが表示された。


 

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