表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バーチャル教師の指導案  作者: 風上昴
第4章『三期生』
62/78

3期生に怖がられないようにしたい①


 一姫嬢と企画を詰めていって数日。普段と同じ20時に私はPCの前に座っていた。今日がコラボの当日である。プラットフォームは一姫嬢のチャンネル。裏では一時間ほど前からすり合わせを行っていた。

 ちなみに、三次面接は5分の1程度が終わったらしい。情報源は一姫嬢だ。詳しくはわからないが、どうやら一姫嬢は2ndstreetの社員でもあるらしい。本人曰く、社長と共に会社の創設時から居たらしい。いろはも『社員として入社しようとしたらVTuberになってた』と言っていたし、2ndstreetは懐が深いのか適当なのか、よくわからない会社である。


 今回のコラボは私と一姫嬢、一二三嬢と小春嬢の四人だ。念の為に言うと、オフコラボではない。ファンからは『ハーレムだ』だのとありがたい声援を頂いた。人によっては炎上しかねない発言を笑いに出来るのは天秤秤のお陰である。

 画面を見ると既に蓋絵は消え、配信画面になっている。画面を4等分に、上には私と一姫嬢が、下には一二三嬢と小春嬢が配置されている。私達の背景は暗い色に、一二三嬢達の背景が明るい色になっているのは、一姫嬢が悪役を意識しての事か。


『……それでは、同じ穴の貉のご紹介から。先生、どうぞ』


 オープニングの雑談もそこそこに、私にお呼びが掛かった。


「どうも、『面接官になって欲しいVTuberランキング』最下位の諏訪美旗です。理由は『なんか怖そう』『圧が強そう』『居るだけで圧迫面接』とか言われ放題ですね」

『ちょ、先生!笑えない笑えない』

「笑っていいんですよ?」

『そういう所が圧が強そうとか言われる原因ですよ』


[草]

[久々の先生]

[自己紹介が既に草]

[絶対根に持ってるwww]

[笑えねぇw]


『さて、先生。お互い言われたい放題でしたね』

「そうですね。しかしまあ、三期生に怖がられるのは避けたいということで、二人で対策を考えた訳です」

『でも、先生はそこまで怖がられない気がしますけどね』

「いやいや、一姫さんこそ」

『うふふ』

「あはは」


[怖い怖いw]

[背景も相まって悪の組織のツートップみたいになってるw]

[そういう所なんだよなぁ]

[そもそもアンスレに近い内容のスレを監視してる時点ですでに怖い]

[スレタイ『2ndstreetが素人を面接官にしようとしてるらしいwww』だからなぁ]

[みるくらいぶとは違ったヤバさがある]


 雑談はそこそこに、一姫嬢が一二三嬢を呼ぶ。


『では、ランキング一位の一二三、どうぞ』

『ええ……この中に入らなきゃいけないの?こんばんひふみ!2ndstreet一期生の楠一二三です!』

「一二三さんもお久し振りですね」

『先生とは事務所でよく会うから久しぶりって気がしないね』


[癒やし枠①]

[こんばんひふみ!]

[……二人の霊圧が、減った!?]

[消えないのかw]

[消えるわけ無いんだよなぁ]


 一二三嬢とは、表での会話こそ一姫嬢と同じく同時視聴会以来だが、裏では直近には面接の昼休みなど結構会っている。


『次に、ランキング二位の小春さん。どうぞ』

『こんばんは、2ndstreet二期生の青山小春です』

『今日は、お二人をご意見番に私達の威圧感を減らせればと』

「これじゃ、私が生徒ですね」

『先生の先生かぁ。任せといて!』

『……まだ見ぬ後輩の期待をひしひし感じてます』


[……本当に頑張ってくれ]

[開始早々企画倒れの予感が……www]

[この二人だけでどうにかなるのか?]

[どうにかならないに一票]

[ひふみんと小春ちゃんには後輩の期待が掛かってる]

[後輩には先生と番長の圧が掛かってる]

[うまいこと言ってて草]


 雑談もそこそこに、今日の流れを一姫嬢が説明する。


『一二三と小春さんには、後輩役をやってもらいます。私達が話し掛けて、悪かった所を指摘してほしいんです』

『おっけ、後輩役ね!』

『先生はともかく、一姫さんは今も先輩なんですけど』

「お二人共、宜しくお願いしますね」


 ここまでの説明が終わると、画面が切り替わる。画面の3分の2程の窓に一姫嬢と一二三嬢の立ち絵が、残りの部分に私と小春嬢の立ち絵とコメントが表示される。


『先ずは私と一二三からですね』

『じゃあ、宜しくね、一姫先輩?』

『あなたに先輩って言われるとむず痒いですね』

『……もう、とにかく始めるよ!』


 一二三嬢は一息開けてから後輩役を始める。


『あっ、一姫先輩!はじめまして、2ndstreet三期生になった楠一二三です』

『ええ、はじめまして、一二三さん。……2ndstreetには慣れた?』

『はい、ブッブー!』


 開始早々一二三嬢がダメ出しをする。


『ええ……。何で?』

『駄目だよ一姫ちゃん!そんな事を先輩に聞かれたら「慣れました」としか答えられないじゃん!』

『……じゃあ、どうすれば良いのよ』

『先ずは世間話とか、色々あるじゃん!そういう話は少し仲良くなってからだよ!』


[草]

[早速ダメ出しwww]

[圧が隠せてない]

[これは番長]


『じゃ、もう一回。はじめまして、2ndstreet三期生になった、楠一二三です!』

『……日経平均株価が』

『ブッブー!突然何言い出してるの!』

『いえ、世間話を……』

『そういう意味の世間じゃ無いよ!?』


[草]

[日経平均株価デッキ]

[これにまともに返せる奴居るのかよ]


『……とりあえず、一姫ちゃんは相手を褒めることから始めようか』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ