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バーチャル教師の指導案  作者: 風上昴
第4章『三期生』
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悪役


 無事に3期生の二次面接が終了した。既に合格者には三次面接に通過した旨の連絡が済まされ、日程調整に入っているらしい。流石に二次面接で二桁まで絞ることは不可能だったようで、三次面接では大幅に人数を絞り、デビューの確定まで持っていくとか。三次面接には私達8人は参加せず、社長を始めとした重役を交えたスタッフのみでの面接になるらしい。


 さて。私達VTuberは本業である配信活動を本格的に再開し、普段の生活に戻りつつある。斯く言う私も配信ペースを週5程度に戻し、雑談枠やゲーム枠を行っている。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 諏訪美旗@2ndstreet二期生


 3期生に怖がられないように、何かしらの対策をしないといけないですね。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 先日の配信後の私のトゥイートである。

 私としてみれば、雑談の延長での軽口のつもりだったこのトゥイートは、予想外に一姫嬢からの返信が来た。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 桜木一姫@2ndstreet一期生


 ……私も対策に参加したいですね。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 予想外と言うのは、私と一姫嬢の絡みがあまり無かった為である。思えば、一姫嬢と最後にコラボをしたのは『私達の主義主張イデオロギー』のPV同時視聴以来か。

 念の為に弁解するが、私と一姫嬢が不仲ということではない。2ndstreetで最初に登録者五万人、十万人を達成した一姫嬢は2ndstreetのVTuber代表としてあちらこちらにコラボで呼ばれたりと多忙なのだ。


 ……正直に言えば、私は一姫嬢の発言の意図を測りかねている。一姫嬢はファンからの愛称で『番長』と呼ばれている。これはとあるゲームでうっかり出てしまった暴言が原因であるが、畏怖ではなく親しみを込めてこう呼ばれているのだ。私を含めた二期生も一姫嬢を怖いと思ったことはない。三期生がデビューしたとて、怖がられるとは思わない。

 では、軽口として流すべきか。その場合、一姫嬢がコラボの布石としてこのトゥイートを返してきていた場合、それを無碍にすることになる。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 諏訪美旗@2ndstreet二期生


 では、何かしらを考えましょうか。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 悩んだ末、私はお茶を濁すことにした。もし一姫嬢が冗談でこのトゥイートを返してきていたのだとしたら、このまま話題はお流れになるだろう。何かしらの意図を以てトゥイートを返してきていたのだとしたら、裏で話を詰めていけばいい。

 一仕事を終えた気分で作業に移ろうとしたタイミングでスマホが鳴る。何かと画面を見ると、トークアプリにメッセージが届いていた。送り主は一姫嬢だ。


桜木一姫[それでは、企画を詰めていきましょう]


 ……どうやら、冗談では無かったようだ。


諏訪美旗[そうですね。ところで、発端は例のランキングですか?]

桜木一姫[はい。面白い事が出来そうだったので]


 私の返信に、直ぐにさらなる返信が来る。


諏訪美旗[なにか案が有るので?]

桜木一姫[どうせなら、例のランキングを存分にネタにしましょう]

諏訪美旗[具体的には?]

桜木一姫[一二三と小春さんを呼びましょう]

諏訪美旗[良いですね。対談形式の企画ですか]

桜木一姫[二人も交えて決めましょうか]


 例のランキングとは、面接官になって欲しいVTuberランキングの事だ。一位が一二三嬢、二位が小春嬢、ワースト二位が一姫嬢で最下位が私だった。

 その後も雑談をしながら雛形をある程度作っていく。


諏訪美旗[では、一二三さんと小春にアドバイスをしてもらいながら、コントのような形で進行しましょうか]

桜木一姫[良いですね。どうせですから、悪役になっちゃいましょうか]


 こうして、企画が進んでいった。

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