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閑話④


 さて、ついに私にも外部からのコラボの依頼が来た。なお、ごまだんご先生は外部かどうか怪しいので、カウントしない。

 お相手は、みるくらいぶの弥魔田王姫嬢。恥ずかしながら、殆ど存じ上げないお相手だったので、取り敢えずアーカイブを見て予習をしておこう。


「……なんと言うか、凄いですね」


 と思い、アーカイブの中から適当な雑談枠を開いてみて、出てきた感想がそれだ。同期の男女ペアを話題に、かれこれ二十分ほど話続けていた。


『つまりね、死神と不死者の組み合わせがまずてぇてぇの、わかる!?』


 勿論、私もアニメやマンガと言った創作物は結構好きな部類である。そう言う意味では、王姫嬢の言うことには一定の説得力があるし、二次創作として特段悪いものではない。

 しかし、彼女は企業所属の身である事を考えれば、アウトである。企業所属の彼女の発言は、ファンにとっては公式に準じる重さがある。さらに、同期であっても箱内であっても異性の絡みを嫌う人種も居る。てぇてぇ、てぇてぇと鳴き声の様に言いながらイラストを書いていく王姫嬢の配信に、アンチコメントや低評価が付くことも致し方無いのだろう。


「さて、どうしたものでしょう」


 コラボのオファー自体にはOKサインも出した今、私に出来る事は、コラボ配信で荒れないように努力することだけである。


「……いや、どうしたものか」


 と、意気込んだは良いものの、対策案は全く見つからなかった。寧ろ、王姫嬢の配信中の発言で『先生と生徒の禁断の関係が好きで……』等と発言しているのを聞いた辺りから、半分ほど諦めかけている。

 これは、小春嬢と昼女嬢のファンから嫌われる事を覚悟するしかないのだろうか。


諏訪美旗[と言うことなんだが、どうすれば良いと思う?]

フィリップ・安曇野[あー、魔王ちゃんとのコラボはなぁ……。俺の時は、いろはと瞳が『フィリップは無理』って揃って却下したから何とかなったが……]

諏訪美旗[そうか……。ありがとう]


 フィリップに試しにメッセージを送ってみるも、返ってきたのはこんな返答だった。

 気になって、フィリップと王姫嬢のコラボ配信で検索をかけてみると、中々に面白い事になっていた。

 『フィリップ・安曇野と弥魔田王姫のコラボ、想定外の結末を迎える』と銘打たれた記事があり、それを開くと、先ほどフィリップから来た返信の細かいことが説明されていた。

 簡単に纏めると、王姫嬢の発言をいろはと瞳がコメント欄で[それはないです][ずみさんはそんなロマンティストじゃない]とぶった切りまくり、挙げ句コラボ後にいろはと瞳が『フィリップ先輩ずみさんはそんな目で見れない』とトゥイートし、後日改めてフィリップと通話した王姫嬢まで『フィリップさんはロマンスの主人公じゃなくてコメディの主人公でした。もう変な目で見れません。ごめんなさい』とトゥイートしたと言う話である。余談であるが、それから数日間、配信で『ロマンスの神様ならぬ、コメディの王子様(笑)』とフィリップがイジられたらしい。


「なるほど、この線で行こうか」


 取り敢えず、大体の方向性を決めた。王姫嬢の前ではなるべく情けない姿を晒し、王姫嬢の幻想をぶち壊す。おそらく、配信後の私のリスナーからの印象は『だらしない先生』とかに変わっていそうだが、致し方無い。


 こうして、私と王姫嬢のコラボの当日。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 魔王様チャンネル@弥魔田王姫


 【コラボ】性癖の塊!?2ndstreetの噂の新人、諏訪美旗先生を呼んでみた【みるくらいぶ】


 いや、性癖の塊とは何だ。変態と罵られているようで不本意である。そして、先ほどからコメント欄の待機に見知った名前がちらほらと見える。


[待機]

フィリップ・安曇野[待機]

[待機]

[待機]

[待機]

ごまだんご[待機]

[待機]

[待機]

椿いろは[待機]

勿忘瞳[待機]

[待機]

青山小春[待機]

[待機]

[待機]

竹浪昼女[待機]


 実に不本意である。小春嬢と昼女嬢はともかく、フィリップ達に変なところを見られたら末代までからかわれそうだ。


『みんな、こんばんおうき!みるくらいぶの弥魔田王姫だよ。今日は、普段の雑談配信とは一味違うよー?』


 そんなことを考えていると、王姫嬢が配信を開き、挨拶をする。私にはこのような決まった挨拶は無いが、バーチャルミーチューバーの多くはこのように、お決まりの挨拶と言うものを持っている。


「みなさん、今晩は。2ndstreetの諏訪美旗です。王姫さん、本日はお呼び頂きありがとうございます」

『むしろ私としては、来てくれてありがとうって感じだけどね。最近はコラボに誘っても断られることが多いから』

「残念ながら、真っ当な対応だと思います」

『酷い!』


[ようこそ魔界へ]

[魔王軍としては、久しぶりのコラボで嬉しい]

[まあ、コラボ断られるのは残当]

[先生にも言われてて草]


 こうして、私と王姫嬢のコラボが始まった。

 お読みくださりありがとうございます。次回は12月30日更新予定です。気に入ってくださったら、ブックマークと評価をよろしくお願いします。

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