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バーチャル教師の指導案  作者: 風上昴
第一章『重圧』
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飲み会と旧友


 先日、ボーッとランキングを眺めていたら、ジャンル別日間で56位に入っていました。ありがとうございます。

 ところで、ランキングに載ると通知が来るんだろうと思ってたんですが、来ないんですね。あらすじの欄に○/×日間ランキング何位って書いてる人達って手動で確認してた……?凄いです。

 校舎裏連合こと、私と一姫嬢、一二三嬢のコラボ配信が終了した。[校舎裏連合]のハッシュタグには、もともと一二三嬢が用意していた[新人をいびり隊]のハッシュタグよりも多くのトゥイートがされていた。


『よう、悠人。バーチャルミーチューバーとして順調に伸びてるみたいだな』

「ああ、お陰さまだよ、龍生。お前が誘ってくれたお陰だ」

『いや、伸びたのは悠人の力だ。彩奈と静も驚いてたぞ。まさか一週間で登録者がそこまで増えるなんてってな』


 コラボ明けの日曜日。私は、電話をしていた。相手は井嶋龍生。私の大学時代からの親友であり、2ndstreet一期生のフィリップ・安曇野の中の人でもある。彼の言った山本彩奈、石井静もそれぞれ、私の友人であり、一期生の椿いろは、勿忘瞳の中の人をしている。


『どうだ、登録者数5万人記念に、彩奈と静を誘って飯でも行かないか?』

「ああ、サンキュー。4人が集まるのも久しぶりだからな」

『本当だよ。お前は教師になっていっつも忙しそうにしてるし、俺達も忙しかった』

「日付は何時にする?」

『取り敢えず俺と彩奈達は配信はオフだ。悠人もトゥイッターで配信予定はまだ出してないだろ?』

「おいおい、今日かよ。オッケー、オフにするわ。集合は駅で良いか?」

『よし来た。いやー、彩奈と静には先に話を通しといたんだが、これで悠人がダメだったら2人に怒られてたな』

「何時も言ってるが、龍生のその場の勢いで行動する癖は、良い方に転がるときもあるが気を付けろって」

『はいはい、わかりましたよ、先生』


 龍生からの電話が切れた。昨晩、校舎裏連合コラボのお陰か、私の登録者数は5万人を越えた。全てのバーチャルミーチューバーの登録者平均から見れば、圧倒的な数字だ。しかし、企業所属としては中堅に分類される数でもある。喜ぶべき事だが、一方で兜の緒を締めるべき時でもある。


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諏訪美旗@2ndstreet二期生


 本日、登録者数が5万人を越えました。ありがとうございます。そして、これからもよろしくお願いします。

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青山小春@2ndstreet二期生


 先生おめでとうございます!


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竹浪昼女@2ndstreet二期生


 おめでとう!でも先生固い!笑

 そのうち私達も追い付くからね!


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諏訪美旗@2ndstreet


 お二人とも、ありがとうございます。なお、5万人記念の配信ですが、現在事務所と詳細を決めておりますので、しばらくお待ちください。

 あと、本日の配信はお休みとなります。


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 私がトゥイッターで呟くと、すぐに小春嬢と昼女嬢から返信が来た。他にも、配信で見る視聴者の名前でお祝いのメッセージが返信されている。私は1度スマホをスリープし、外出した。

 電車に揺られること1時間強。私はいつもの駅-新橋駅-に立っていた。龍生達と大学生だったころ、飲みに行くのは歩いて1駅ほどの新橋の飲み屋街だった。大学を卒業し、3人とは数年間SNSでのやり取りが殆どで会っていなかった。特に彩奈と翼の2人は異性であることや、サークルでの繋がりが殆どだったこともあり、どこかこのまま疎遠になっていくのかと考えていた。


「あ!悠人先輩、おひさー!」


 駅前で物思いに耽っていると、女性の声がした。そちらを見やると、金髪ショートの女性が手を振っていた。


「久しぶりだな、彩奈」


 山本彩奈。大学のサークルの後輩にして、2ndstreetの先輩である椿いろはの中の人。大学の時よりも見た目は少し大人びたものの、雰囲気や態度は変わっていなかった。


「久しぶり!悠人先輩1人?」

「ああ、龍生達はまだ来てないよ。静とは一緒じゃなかったのか?」

「うん。家は遠いからね」

「龍生から聞いたときは驚いたよ。まさか3人がバーチャルミーチューバーになってたなんて」

「私も驚いたよ。2ndstreetにはミーチューバーじゃなくて裏方で応募したのに、いざ就職したら龍生先輩と静が応募してるし、私までバーチャルミーチューバーになっちゃったし」


 彩奈がからからと笑う。2人で話ながら時間を潰していると、時間丁度に静がやって来た。


「2人とも、お待たせ。ゆうさんはお久しぶり」

「私達が早いだけだから。龍生先輩は?」

「一緒じゃないです」

「相変わらずだな」


 静も、雰囲気は殆ど変わっていなかった。大学時代に戻ったように感じる。


「おう、みんな早いな」

「遅いですよ、龍生先輩」

「遅いです、りゅうさん」

「お前が遅いんだ。もう少し申し訳なさそうにしろ」


 結局、龍生は5分ほど遅刻してきた。龍生がそのまま先導するように、予約していた飲み屋に私達を連れていった。


 お読みいただきありがとうございます。次回は11/21更新予定です。気に入ってくださったら、ブックマークと評価をよろしくお願いいたします。

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